絵本の部屋4 大人心を裏切る清々しさから気づく、子育てのこと
海のある町でのびのびと暮らす、クリエイター夫婦の子育て
- 名前
- ヨシタケシンスケ & 吉竹祐子
- 家族
- 中2と小3の男の子をもつ、4人家族
- 所在地
- 神奈川県
- お仕事
- 絵本作家(夫)、クリエイター(妻)
- URL
- くりひょうたん。by吉竹祐子
【ヨシタケシンスケ邸〈絵本の部屋〉から、家族の思い出が詰まったおもしろ蔵書をご紹介。妻の祐子さんが綴ります】
長新太さんの絵本は、夫も私も大好きで何冊もありますが、どの絵本もページをめくる度のドキドキと、めくった後のニヤニヤがたまりません。期待以上に奇想天外な展開だったり、そうきましたか!という良い意味の裏切りだったり。長さんならではの独特な短いフレーズの繰り返しと、その単純さに子どもたちは楽しみを見出すように思います。我が家では、次男が特にそうでした。
今回ご紹介する『しっぽ』は、「誰のしっぽかな?」と想像しながら、小さな子どもと一緒にページをめくっていく絵本です。
『くる くる くる くる くるくる』と、先がくるりとなっていて、長めのしっぽ。私は、「間違いない!これはおさるさんだな」なんて思ってページをめくったら......『はい いぬですよ』の展開。この裏切りと、冷静さ。大人の私には、深いものを感じずにいられませんが、小さな次男は、「そんなことより次!次はなに?!」と、ワクワクでページを急ぎます。
私だけかもしれませんが、文頭に『はい』とつけてあることで、「いぬですけど、何か?」と、なんだか冷静に言われているような気がするのです。大人の思い込みでモノを見ていてはいけませんよと、長さんから言われているような気がします。そこがまた長さんが大好きな理由です。
1971年に出版された絵本で、我が家の一冊は初版。"絵本の部屋"で見つけた時には、すでにボロボロだったこともあって、骨董品のような気がして、大事に保管しておこうと思っていました。しかし「それなに?」と息子が興味を持ったので、そっと壊れないように開きながら読んであげたら、本当に楽しそうな表情で、興味津々でした。こんなにいい絵本、しまっておくのはもったいない!読んでなんぼだな!と痛感。今にも壊れそうなボロボロの絵本なので、ものすごく丁寧に扱いながらですが、"絵本の部屋"の持ち主だった亡き義母からもらった大切なプレゼントを、大切に受け継いでいきたいと思いました。
〈連載概要〉ヨシタケシンスケ邸のおもしろ蔵書の数々を、妻の祐子さんが心温まる子育てエピソードと共に綴る、その他記事はこちらより
ヨシタケシンスケ邸絵本の部屋