新たな学びの選択肢とは?"自分らしさ"を育むオルタナティブスクールをご紹介

Choice

特定非営利活動法人 静岡あたらしい学校

所在地
静岡県静岡市葵区牛妻2290
URL
静岡あたらしい学校HP

オルタナティブスクール」という言葉をご存知ですか? それは、国が定める「学校」とは異なる"もうひとつの学校"。独自の理念やカリキュラムで新たな教育環境を提唱する学び舎は、教育の多様性を実現する選択肢として注目を集めています。
2018年に開校した「静岡あたらしい学校(小学部)」〈以下「あた小」〉も、そのひとつ。ここでは、勉強も遊びも、さらには人の話を聞くことさえも、子どもの意思を尊重。枠にはめられない自由な環境の中で、内から湧き出る"学びの欲求"と素直に向き合えるのです。大人たちは、何をするにも「どう思う?」と子どもたちに投げかけます。「やる/やらない」「いつやるか?」「どうやるか?」とできる限り本人に考えさせ、良いも悪いもなく受け入れていくのです。
自分の意見を認めてもらうことは、自己肯定感を育みます。自分を好きになれるから、他人を認められる。自分の自由を確保するために、他者の自由も守ろうとする。個性を認め合い、主体的に「好き」を追求できる環境は、進化する教育の可能性を感じさせてくれます。

       
  • 並んだお餅を前に作戦会議

  • 「あた小」の日々のカリキュラム

  • 探求の時間は燻製作りをする子も

          
  • ゲストティーチャーから技を学ぶ

  • 異学年が共に学ぶ“小さな社会”

  • オルタナティブスクールへの期待と課題

  • 同校に関わる大人たちは、当初“自由”の意味について何度も頭を悩ませたと言います。そんななか、スタッフの能口俊也さんは「子どもの方が、むしろあっという間に自由な環境に馴染み、周囲と折り合いをつけていく」と感じたそう。「彼らの潜在能力を信じることが大事」と語ってくれました。

  • 時間割は目安程度の大まかなもの。その内容は、各自で興味関心を探究したり、ゲストティーチャーに専門技術を習ったり、昼食やおやつを調理したりと体験型学習がメイン。朝と帰りのミーティングでは、その日の楽しみや提案、体調などについて発表。周囲に意見を伝える訓練にもなっています。

  • 『スコーレ・探求の時間』は、自分の好きなことに集中する時間。ある男の子は、自前の燻製器で燻製作りに挑戦。この日は他に、読書や炭起こしに励む子も。やりたいことがなければ見ているだけでもOK。特に低学年のうちは、上級生への憧れからやりたいことを見つけられる場合も多いそう。

  • 「あた小」では、年間約90名のゲストティーチャーを招きます。校庭の鶏小屋は、開校当時から多くを教わる早川雅貴さんに指導を受け、子どもたちが建てたもの。子どもたちは早川さんを尊敬し、様々な相談をすることも。憧れられる大人との出会いも、外部講師をお願いする目的のひとつ。

  • 異学年の子どもたちが一緒に学ぶことも「あた小」の特徴。低学年は高学年と関わることで成長を促され、高学年は日常の中で弱い立場の人に配慮することを覚えながらリーダーシップを身につけます。様々な年齢の子どもたちと大人が共生する環境は、よりリアルな社会の縮図と言えそうです。

  • オルタナティブスクールに通う生徒の学力については、他校の追跡調査の結果、中学以降、優れた成績を収めるケースも多いと判明。自発的な“学ぶ欲求”は、学習への意欲を育てるのかもしれません。今の課題は、行政とのさらなる連携。既存の「学校」に並ぶ選択肢となることを目指しています。