3月、日本語の個人口述(IO)と美術の最終展示会の準備に忙しくも充実の日々

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DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常

名前
木村紗羅/Sara Kimura
所在地
パリ
お仕事
International School of Paris 学生
URL
International School of Paris

【DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常】
3月某日

2月下旬、私の通うインターナショナルスクールでは、フランスではスキー休暇と呼ばれる休み期間に入りました。といっても、私はDP最終学年生なので、スキー旅行には出かけずに、美術の応用(Higher Level)を履修中の生徒として、春の最終展示会=final exhibitionに向けてのインスピレーション集めに費やしました。

国際バカロレアの美術は、時間制限のある筆記試験がないため、この展示会が国際バカロレアの試験となります。つまり、5月頃の国際バカロレアの最終試験前に、美術の最終試験が行われるのです。

国際バカロレアの美術では、作品の展示法、なぜそのような展示を行い、観賞者にどのような影響を与えたいのかといったことについての詳細を書くcuratorial rationaleが必須課題のひとつです。そのため、アートギャラリーなどで作品がどのように展示されているかを見ることは大きな学びになります。この点は、パリに暮らしていることが大きなアドバンテージになっているなと思いました。

また、こまめに記録を残すことのできていなかったCAS(課外活動)のreflection=振り返りにもスキー休暇中に取り組みました。写真、動画、Webサイト、音声記録、文章など、いろいろな形でのリフレクションが認められています。私は個人的に動画がいちばん手間がかからない上に高評価だと感じています。

2月のスキー休暇が始まる直前から3月中旬にかけては、日本語の授業でも個人口述のIO(Individual Oral)の準備期間となっていました。各作品から40行以内の抜粋文を決め、先生にglobal issue、トピック代わりのグローバルな問題と共に確認していただきました。

私はカフカの『変身』と吉本ばななの『キッチン』を選び、グローバルな問題は「人間にとっての食べ物の役割とは?」にしました。他のクラスメートが選んでいたグローバルな問題は、カズオ・イシグロの『私を離さないで』と有吉佐和子の『華岡青洲の妻』で、科学の進歩と人間の犠牲などがありました。

授業中にクラスメートの前で行う練習用IOも行い、本番への手応えをつかみました。私が練習用に選んだのは安部公房の『砂の女』とマヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』。グローバルな問題については、閉鎖状態に置かれた人の意識の変化について話しました。

実際のIOでは、10分という時間制限を1分以上超えてしまったというクラスメートが多くいた印象が強かったです。話したいことをみっちり決めすぎると、内容を全部話し終えるまで止められないという心理が働くようです。また、試験中の使用が許可されている、事前に準備する10か条のメモに関しては、どこまで書いて良いのか分からず、抜粋文だけリストアップするという人が大半を占めていました。
私は英語Aの授業で、すでにこのようなメモを作ったことがあったので、スペースを無駄にせず、たくさんキーワードや使いたい表現でページを埋められました。IOは成績に大きく影響するので、取り組む際に不明確なことがあったら、すぐに先輩や先生に聞くのが、IOをうまく乗り切るコツだと強く思います。


<連載概要> 「国際バカロレアの日々の学び」を実際の学習現場からお伝えする、木村紗羅さんの体験日記はこちらより
DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常

       
  • 経済学の授業では、過去問を復習

  • 美術クラスの最終展示会のためのリサーチへ

  • 新成人18歳の記念に、着物で撮影

          
  • 母お手製のヴィーガントルティーヤ

  • 最近の経済学クラスの風景。過去問をペアワークで行い、後半にクラス全体で見直しをしています。

  • 美術の応用クラスの最終展示会での必須課題のリサーチのため、スウェーデン出身のビジュアルアーティスト、エリック・ヨハンソンの個展へ。超現実主義的な作品に刺激を受けました。

  • 2月終わりに18歳になりました。この4月から日本でも18歳が成人になるということで、着物で記念撮影。日本から遠く離れていても、着物を着ることで母国が身近に感じられました。

  • 母もヴィーガンフードや健康的な食事を好んでいます。この日は母が自宅でお手製のヘルシーなトルティーヤを作ってくれました。