ボランティア活動は、ごく自然にある「助け合い」という気持ち

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子育てとボランティア活動のグッドバランス

名前
田丸麻紀 / Maki Tamaru
家族
4人(夫、9歳と5歳の男の子)
所在地
東京都
お仕事
俳優、モデル
Info
取材・文/須賀美季 
URL1
田丸麻紀(@tamarumaki)Instagram
URL2
Adé

田丸麻紀さん、ボランティアのある生活①】

トレードマークのショートヘアと、天真爛漫な笑顔が印象的な俳優の田丸麻紀さん。私生活では、9歳と5歳になるふたりの男の子のママとして奮闘しながら、子育てを楽しむ姿が印象的です。ファッション誌のカバーを飾るトップモデルとしても活躍し続ける田丸さんが、長年にわたり公にすることなく力を入れ、いまやライフスタイルの一部となっているのがボランティア活動でした。田丸さんはいま、どのような思いでボランティアに取り組むのか、さらに子育てや自分らしい生き方について、インタビューしました。


(こちらは、第1回目の記事です。第2回目はこちらから。)


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田丸さんのSNSからは、日々の暮らしぶりと共に近年ボランティアについてのレポートが見受けられますね。田丸さんは、いつ頃からボランティア活動をされてきたのですか。

――ボランティア活動は、若いときからいくつか掛け持ちで参加していましたので、本当にごく自然に触れていたと思います。自分で意識して選んだことはなかったけれど、例えば手話の教室に入るなど、なんとなく導かれるようにその環境に身を置いていたと思います。「ボランティア」や「慈善活動」というより、私には「助け合い」という言葉の方がしっくりくる感じなんです。


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数あるボランティア活動の中から、現在「AIMS」という団体のサポートをされているそうですね。「AIMS」では、どのような活動をしているのですか。

――ボランティアと一言で言っても、世の中には本当にいろんな団体があるんです。だからこそ、私自身が関わることできちんと役立てる活動にフォーカスしたいなとずっと思っていました。そんな時に、「AIMS」というボランティア団体との出会いがあったんです。「AIMS」は特定非営利活動法人で、癌で親を亡くした子どもたちの悲しみのケアを行う、グリーフケアプログラムというものを各地で行っています。現代表の方と繋がる機会があり、この団体に参加されている方たちの人柄や価値観、考え方が、私がやりたいと思ってることに近いと感じて、数年前から活動に参加させていただくようになりました。


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AIMS」創設者である小林真理子さんは、ご自身が末期癌を患って、残していかなくてはならないまだ幼い娘さんの心のケアについて考えた時、日本には当時サポートをしてくれる団体が存在しないことから、団体の設立を思い立ったそうですね。田丸さんは、なぜこの団体に絞って活動をしてみようと思ったのですか。

――「AIMS」では、ファシリテーター講習と呼ばれる特別な講習を受けなければ、子どもたちをサポートすることができません。ちゃんと一つのルールがある上で参加できるというのは、活動を進める上で私にとっても安心感があり、良い寄り添いになるのでは思いました。単なる活動として参加するだけではなく、私が納得のいくルールの上で子どもたちに寄り添える、そんな団体の考え方がぴったりだったことが一番の理由だったと思います。子どもをサポートする活動ですので、自分が母になったということも、もう一つの大きな理由ですね。


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AIMS」での具体的な活動内容は、どのようなものですか。

――サポートを提供するのは、片方の親が癌で亡くなってしまった子どもというケースがほとんどです。ファシリテーターである私達が子どもたちをお預かりし、メンタルケアを施したり、同じ悩みを持つ子ども同士で楽しく遊んだりして気持ちを共有する中で、子どもたちの悩みを拾っていったり、気持ちの吐き出しの場所、解放の場所を作るお手伝いをしています。子どもたちを預かっている間は、お父さんやお母さん方も、親同士で自分たちの気持ちや悩みをシェアできるので、コミュニケーションを取れる良い場所にもなっています。


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AIMS」の活動参加は、ご家族皆さんで行われているのですか。

――いまは講習を受けている私一人で参加をしています。ただ、活動に出る時は堂々と主人に子どもたちをお願いしているし、家族みんなで送り迎えをしてくれることも。それもあって、我が家では家族みんなでサポートしているような気持ちなんです。


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活動で実際にお子様たちと触れ合う中で、心に残る出来事はありましたか。

――「子どもたちをサポートしたい」という目的で活動に参加していたんですが、子どもたちに寄り添えば寄り添うほど、その子どもたちは、お父さんお母さんのことを一番に心配しているんですね。「ぼくは大丈夫だけど、お母さんが心配なんだ」というふうに。そういうコメントを耳にすると、子どもって思っているよりもずっと大人だなと思います。子育てする側の親は、子どものことを心配して「AIMS」のような場所に連れてきて少し元気になってもらいたいと思うわけですけれど、実際の子どもたちは、「私は大丈夫だけど、パパ大丈夫かな」とか、「ママは自分のお誕生日会できてないんだよ」とか、言うんですね。そんな子どもたちの発言には、すごく気付かされることが多いです。


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田丸さんはいつも明るい笑顔が印象的ですが、グリーフケアってとても重たい印象で、悲しい局面もたくさんあるのではないでしょうか。同じような環境のお子様方が集まる中、どうしても先に逝かれてしまった方々のショックに触れる経験をしますよね。そういうときでも、子たちに前向きなエネルギーをあげるために工夫されていることはありますか。

――まず、子どもたちと同じ立場で同じ痛みを同じように共有してない私が、こうあるべきだと導くことはできないので、常に謙虚な気持ちで向き合っています。例えば、今日ここに参加してくれた1日が、子どもたちにとって「特別なもの」であればいいなと思っています。「特別なもの」というのは、記憶に残るようなスペシャルな特別感ではなくて良く、「なんかいい時間だったね」とか、「なんか気持ちよくなった」とか、「よくわかんないけど、なんか有意義だったな」って思える、安定剤のようなこの「なんか」というふわっとしたものが大事な気がしています。その小さな「なんか」が、また次の日から彼らのちょっとしたエネルギーや居場所になったりすればいいなと思って、関わるようにしています。


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ボランティア活動は、田丸さんやご家族にとって、日常の中に当たり前にようにあるものなのですね。

――大々的にとらえず、本当に「助け合い」という感覚の言葉が一番ぴったりくるなと思っているんです。何となくライフワークといいますか。私自身が子どもの頃から関わって来られたのも、自分の中に組み込まれたひとつのチップみたいに、ごく自然に当たり前のようになっていたからだと思います。自分の子どもたちが、いつか本格的にボランティアに関わるときも同じであってほしいですね。こうしなければいけないとか、こうすることがいいことだよなんて、そこまで重たく考えなくていいから、子どもたちの日常にも「助け合い」が普通に存在するような、そんな感覚を彼らにも届けられたらいいなと思うんです。


(田丸麻紀さんのインタビューは、第2回に続きます。)


〈連載概要〉
田丸麻紀さん、ボランティアのある生活

第1回:ボランティア活動は、ごく自然にある「助け合い」という気持ち(本記事)
第2回:40代のいまだからこそ! 新ブランド立ち上げに込めた本当の思いとは
第3回:子育ては、小さな幸せと感謝の連続。笑顔あふれる毎日の作り方

       
  • AIMSのグリーフケアプログラム

  • AIMSのファシリテーター

  • AIMSでの子どもたちとの時間

          
  • 息子たち

  • 特定非営利活動法人「AIMS」は、癌で親を亡くした子どもたちの悲しみのケアを行う、グリーフケアプログラムというものを各地で行っています。

  • AIMS」でサポートをする子どもたちの多くは、片親を癌で亡くしてしまったというケースがほとんどです。特別な講習を受けた私たちファシリテーターが、子どもたちをお預かりし、遊びやさまざまなやりとりを通じて、子どもたちの悩みを拾っていったり、気持ちの吐き出しの場所、解放の場所を作るお手伝いをしています。

  • 子ども達はびっくりするほど素直で、自分のことよりも、残された大人達の心配をするほどです。活動を通じて、子どもの心が持つ奥深さに、気付かされることも多々あります。

  • 目まぐるしい毎日ですが、息子たちとの賑やかな時間は振り返れば愛おしいものばかり!