のびのびと過ごせるゴールドコーストで見つけた本当の自分らしさ
親子英会話が人気のEmilyさん、オーストラリア親子移住
- 名前
- エミリー/Emily
- 家族
- 2人(7歳の男の子)
- 所在地
- オーストラリア・ゴールドコースト
- お仕事
- フリーランス
- Info
- 取材・文/門倉奈津子
- URL
- Emily 英語のモチベUP・親子で🇦🇺移住を叶えたママ
【SNSのミニ英会話レッスンで人気のEmilyさん、オーストラリア親子移住】
ワークスタイルの多様化や国際的な教育に対する関心への高まりから、海外移住や親子留学に興味を持つ方々が近年増えています。とはいえ、実際に海外移住するのは多くの人にとってハードルが高いのも事実です。
今回は、親子の日常英会話をInstagramで発信し人気を集め、Bright ChoiceのInstagramでも英会話シリーズの動画連載をスタートしたEmilyさんにお話を伺いました。Emilyさんは現在、7歳の息子さんとオーストラリア・ゴールドコーストで暮らしています。オーストラリア移住のきっかけ、実際に移住して感じていること、移住前に取り組んだおうち英語などについてお話ししてくださいました。
◾️オーストラリア移住を後押ししたのは、バンジージャンプ!?
日本で育ち、大学院卒業まで日本の教育を受けてきたEmilyさん。「みんな一緒、みんなしているからやらないといけないという画一的な考えを息子には経験させたくないと感じていました。小学校からのことを考えたときに、自由に自分らしくいられる場所でのびのびと育ってほしくて、小学校に上がる前に移住しようと思うように」
オーストラリア人のお母さまを持つEmilyさんは、幼少時からご家庭では英語環境にあったので英語にはまったく不自由しないとはいえ、母子だけで海外生活へ飛び込むのは、仕事やお金のことなどで不安もありました。大きな後押しとなったのは、具体的な移住手続きを進める前に、息子さんとお母さまの3人で遊びに行ったマザー牧場でのこと。
「約20mの高さから飛ぶバンジージャンプがあったんです。飛ぶと決めていざジャンプ台の上に立ってみるとめちゃくちゃ怖くて、無理かも、と。だけど、母と息子に飛ぶと言ってしまった手前、引き下がれずにいたときに、係員さんが『できるだけ上にいる時間を短くした方がいいですよ。上にいればいるほど、恐怖心が出てきて飛べなくなるから、準備ができたと思う前に飛んじゃった方がいいですよ』って声をかけてくれて。それで思い切って飛んだのです。
誰しもやりたいことがあっても、変化が怖いし、できるかわからないし、失敗するかもしれないし...って、いろんなことを考え始めてしまうとできなくなりますよね。あのバンジージャンプの経験から私が学んだのは、本当にやりたいことがあるのなら、準備ができる前に飛び込んじゃえばなんとかなるということ。だからあの経験後、細かいことが決まる前に『もう移住します』って周囲に宣言して、絶対やるって決めて、そこからひとつずつタスクをこなして短期間で移住しました。移住後にいろいろな問題もありましたが、1年以上経って生活が落ち着いた感じです」
◾️移住先は、アットホームでハッピーな雰囲気に惹かれたゴールドコースト
「日本の生活の忙しさや周囲の目を気にする窮屈な生き方が嫌だったんです。なので、自然が豊かで自由な感じの場所に行きたくて。ゴールドコーストは皆が遊びに来る場所ですし、そのせいかみんなハッピーだし、自由だし、その雰囲気がすごく好きになりました。
ただ、大変だったのは、住まいが全然見つからなかったこと。10以上の賃貸業者にメッセージを送っても返事が来ませんでした。こちらはシングルマザーで、まだちゃんとした仕事も見つけていない状況だったので...。そんななかで、母の知人の知人の知人くらいの知り合いの方が部屋を貸してくださることになったのが今の住まいです。運の巡り合わせでした」
オーストラリアの公教育は学区制を採用しているので、居住区域内で通える学校を選びます。そのため、学校は選べる余地があまりなかったと語るEmilyさん。
「結果的にはすごくアットホームでフレンドリーな学校で、先生にも恵まれました。アットホームといっても小ぢんまりしているわけではなく、イベントも多くて、保護者が学校を訪れる機会が頻繁にあり、何かあれば先生も親身に相談に乗ってくださいます。生徒は8割以上が白人のオーストラリア人という印象です」
◾️人と違っていることが誇らしいと思える環境
環境にも恵まれ、息子さんはすっかり学校になじんでいるようです。
「今、子どもたちの間ではポケモンが大ブーム。みんなポケモンカードを集めていて。息子は自身のことをジャパニーズだと皆に言っているので、ポケモンが日本で生まれているということをとても誇らしく思っているようです。
私はハーフとして日本で育って、人と比べられることが多かったんです。外見はもちろん、なんかちょっとしたことでも比べられたし、羨ましがられることがあるかと思えば、逆に『あなたは私たちとは違う』と避けられたことも。私自身もその影響を受けてしまって、自分と他者を比べてしまうことが多く、『私はあの人よりきれいじゃない』『あの人より背が高くないし』って...。
比べ始めるとキリがないですよね。何に関しても上には上がいるので、自分が1番になることはないのに、そうやっていつも誰かと比べて生きていたような気がします。
でも、息子は今の環境でそれがないんです。『日本語と英語、両方喋れるなんてすごい!』って周りから賞賛されて、みんなと違うことが誇らしいようで、自己肯定感がめちゃくちゃ高いです。
もしもずっと日本で生活していたら、息子にとっても人と違うことがネガティブなことになっていたかもしれませんが、オーストラリアで暮らし始めたことで『人と違うところが長所』というのが定着してきているのがとても嬉しいです」
息子さんだけでなくEmilyさんも、オーストラリア移住によって良い影響を受けています。
「環境が変わって自分も変わりました。自分らしさを出せるようになって、前から知っている人たちにも『きれいになったね』って言ってもらえるようになりました。
私はもともと自己肯定感が低くて、自分に自信がないんです。自信があれば、もしかしたらもっと成功できたかもしれないのに、自信がないから尻込みしてできないことがたくさんあった。そういう部分も少しずつ変わってきていると思うのですが、とにかく『私には無理。できない』って思ってしまったらもうそれまでなので、自分の能力そのものを伸ばすことよりも、『私にはできる』って気持ちを育てたいです」
ご自身のマインドセットの変化に加え、子育てを協力し合えるママ友たちの存在も大きそうです。
「オーストラリアでも人種を問わずママ友はたくさんできました。信頼しあって、協力できる関係です。大変なときはお互い助け合って子育てできているので、すごく楽になりました。
日本で暮らしていたときよりもプレイデートの機会もとても多いですね。公園やビーチでピクニックをしたり、お友だちのおうちへ遊びに行ったり。子どもたちが遊んでいる間、大人はビールを飲んで交流したり...笑」
◾️おうち英語のモットーは、「楽しい」と思えるのが一番
オーストラリアへ移住したときはまだ5歳だった息子さん。移住後1カ月ほどで問題なく周囲とコミュニケーションが取れるようになり、移住から1年が過ぎた今では英語で苦労する様子はまったく見られないとのこと。新しい環境にすぐになじめたのは、もともとの性格や年齢もあるかもしれませんが、日本に住んでいたときから英語に触れていたことも大きいと思われます。
「いわゆる早期英語教育のための教材は使いませんでした。小さな子が日本語を覚えるのと同じ感覚で、自然に身につけることを意識していました。
息子は日本の保育園に通っていたので、一日のうちのほとんどを日本語環境で生活していましたが、送り迎えの際やお風呂、寝かしつけのときなど決まった時間を英語の時間にルーティン化していました。土日は英語を使って料理したり、実験のようなことや工作をしたり...。『楽しく』そして『夢中になっているあまり、英語で話していることを忘れる感覚』を大事にしました」
ちなみに、英語学習教材をお探しの方にEmilyさんがおすすめするのは「Reading Eggs」。「フォニックスから読み書き、ゲームもあり、楽しみながら英語が身につきます。学校の先生にもReading Eggsさえやっておけば大丈夫と言われています!」
◾こんな生き方もあるというのを見てもらえれば、とSNSで発信
「日本にいたときは母が開いていた英語教室で講師として教えていたので、最初は生徒集客のためにSNSで発信を始めました。講師を辞めた後、このアカウントをどうしようとなったときに、自然体な会話やオーストラリアでの生活を見ていただいて、こういう生活もあるんだ、こんな生き方もあるんだ、おもしろいなと思ってもらえればと思って、改めて発信を開始したのです。
私もそうですが、移住でもなんでも、やりたいと思うことがあるのに、子どもがいるから、お母さんだから...と、できない理由を探してしまうことってありますよね。でも、それはただの言い訳かもしれない。できる可能性があるのに、自分でできない理由を見つけて、可能性を潰してしまっていることもあるはずです。
と言いつつ、私に限っては、移住できたはいいものの十分な資金があったわけではないので、移住後しばらくは本当に大変だったんですよ。一時期は来月の家賃をどうやって払おう、なんてこともありました。移住当初は友だちもいなかったし、頼れる家族も近くにいなくて、本当に息子とふたりだけなので、先の不安も感じていました。
電車がない街だから日常的な買い物はバスで30分のところへ行き、息子を学校へ送った後はバス代がもったいないから片道40分の道を歩いて帰ったり。自分で決めた移住だったけど、最初の頃は辛くて泣きそうになりながら過ごしたこともあります。でももうここでやるしかないんだ、と心を決めると人って強くなれるんですね」
キラキラしたことばかりではないリアルな移住生活ですが、だからこそ親子の日常の何気ない会話を切り取っているEmilyさんのショート動画に、多くの人が親しみやすさと共感を覚えるのでしょう。
そして、「自由に自分らしくいられる場所でのびのびと育ってほしい」という息子さんへの願いは、すでに叶えられたようです。
「息子は日本も大好きだけど、オーストラリアの生活にすっかり慣れ、友だちにも恵まれています。彼にとっては毎日が、"Today was my best day(人生最高の日だった)"なんです(笑)」