「英語力」と「自分らしさ」を伸ばすLCA国際小学校の教育とは?

個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」
- 名前
- LCA国際小学校
- Info
- 取材・文/小嶋美樹
- URL1
- LCA国際小学校
- URL2
- LCAきたかる森のインター初等部
【個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」】
グローバルな教育への関心が高まるなか、英語を使ったイマージョン教育を取り入れる学校に注目が集まっています。神奈川県にあるLCA国際小学校は、文部科学省から認可を受けた一条校の私立小学校でありながら、学校生活の大半を英語で過ごす独自の「アクティブイマージョン教育」を採用。多くの児童が、卒業時までに英検2級以上を取得する実績を誇ります。
今回はLCA国際小学校の校舎を訪問し、その教育現場を見学させていただきながら、副校長の荒井顕一先生と立川龍太郎先生にお話を伺いました。
私たちがLCA国際小学校に伺ったのは、平日のお昼過ぎ。ちょうど給食を終えた子どもたちが廊下に顔を出し、校内を案内してくださる先生方に次々と話しかけてきました。どの子も朗らかで、生き生きとした表情が印象的でした。また、掲示されている児童たちの英作文の、自由で夢にあふれた内容も興味深ったです。
「本校は、すべての子どもたちの個性を認め、何事も否定しない教育を追求してきた現学園長・山口紀生が、理想の教育を実現させるために公立校の教員を辞め、1985年に私塾『LCA』を立ち上げたことから始まった学校なんです」(荒井先生)
私塾『LCA』は、スタート当初はわずか4人の児童が通う学び舎でした。そこでは教室での学びにとどまらず、山中湖畔でのテント泊や北海道への自転車旅行など、自然の中での活動も重視。自然体験を通じてこそ、子どもたちはそれぞれの個性を輝かせ、秘めた力を伸ばしていくことを、山口学園長は誰よりも理解していたからです。
「ある年、『ロッキー山脈に登ってみたい』という児童の声を受けてアメリカ遠征を実行した山口は、その経験の中で、『英語が話せたら、子どもたちの世界がもっと広がるはず』との確信を得ます。帰国後、英会話スクールやインターナショナルのプレスクールをスタートさせ、英語教育の場を整えていったのです」(立川先生)
2008年には、国の構造改革特区制度を活用してLCA国際小学校が開校。2015年には現在の場所に移転し、現校舎が完成しました。
「LCA国際小学校では、1~5年生までのクラス担任を外国人教師が担い、低学年のうちは、国語を除くほぼすべての授業が英語によって進められます。ただし、高学年以降は社会、理科、算数の一部の授業を日本語に切り替えるなど、日本語での学びも重視しているんです。授業のみならず、アフタースクールでも書道や茶道、華道などの体験プログラムを用意し、日本文化への理解を深める教育にも力を入れています。児童たちは日本人としてのアイデンティティを育みながら、コミュニケーションツールとしての英語力を身につけていくのです」(荒井先生)
取材当日、カラフルで明るい校舎を案内していただいていると、子どもたちの元気な声があちこちから聞こえてきました。外国人教師が英語で授業を進める一方で、子ども同士の会話は日本語で交わされているようでした。
「本校では、子どもたちの自主性を最も大切にしています。そのため、英語についても"禁止"や"強制"といったルールは設けていません。日本人の児童がほとんどを占める本校において、友達との会話が日本語になるのはごく自然なことです。ただし、外国人教師とコミュニケーションを取る場面では、当然ながら英語が必要になってきます」(立川先生)
児童たちは学校生活のなかで、場面や相手に応じて言語を使い分けることで、ごく自然に国際感覚を身につけていく。これがインターナショナルスクールとの違いであり、イマージョン教育の良さなのでしょう。また、LCA国際小学校が大切にしているもう一つの理念があります。
「入学直後の子どもたちは、英語を流暢に読み書きできる子ばかりではありませんが、低学年のうちは、スペルや文法が多少間違っていてもそれほど問題にはしません。それよりも大切にしているのは、『よくできたね』『それでOKだよ』と積極的に褒めること。そうすることで、児童たちが臆せずに英語を使うようになっていくのです」(立川先生)
2023年度の卒業生の実績としては、約2割の児童が英検準1級、6割近くの児童が2級に合格しています。こうした成果からLCA国際小学校のバイリンガル教育が注目されがちですが、実はこの「声かけ」こそが最も大きな特徴です。
「LCA国際小学校が最も重視しているのは、どんなことも否定せず、子どもたちの意見を尊重すること。子どもたちの"ありのまま"を認めることです。これは、学園長の山口がたった4人の私塾をスタートさせたときから変わっていません。学校とは、子どもたちが自己肯定感を高め、のびのびと成長できる場所であるべきだと思っています。本校のバイリンガル教育は、その理念を基に行われているのです」(荒井先生)
独自のカリキュラムでイマージョン教育を実践する、唯一無二の小学校として知られるLCA国際小学校。次回はLCA国際小学校の多彩なアクティビティやイベント、卒業生たちの進路に関して伺っていきます。
〈連載概要〉
【個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」】
第1回:「英語力」と「自分らしさ」を伸ばすLCA国際小学校の教育とは?(本記事)
第2回:LCA国際小学校の個性が花開く「探求型学習」と「進路指導」
第3回:英語で学び、森で育つ「LCAきたかる森のインター」が4月に開校!