LCA国際小学校の個性が花開く「探求型学習」と「進路指導」

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個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」

名前
LCA国際小学校
Info
取材・文/小嶋美樹 
URL1
LCA国際小学校
URL2
LCAきたかる森のインター初等部

個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」
グローバルな教育への関心が高まるなか、英語を使ったイマージョン教育を取り入れる学校に注目が集まっています。神奈川県にあるLCA国際小学校は、文部科学省から認可を受けた一条校の私立小学校でありながら、学校生活の大半を英語で過ごす独自の「アクティブイマージョン教育」を採用。多くの児童が卒業までに英検2級以上の英語力を身につけるだけでなく、日本文化に対する理解を深める教育にも力を入れており、自国のアイデンティティと国際感覚を同時に育んでいます。

今回は前回に引き続き、その教育現場を実際に見学させていただきながら、副校長の荒井顕一先生と立川龍太郎先生に、LCA国際小学校の教育の特徴に関してお話を伺っていきます。

「LCA国際小学校の特徴の一つに、少人数制のクラス運営があります。1クラスあたりの人数を約20人に抑えることで、児童一人ひとりの個性に合わせた丁寧な指導を実現。教科によっては1クラスをさらに2つ、または3つに分けて授業を行うこともあります」(荒井先生)

取材に伺った日は6年生の算数の授業が各コースに分かれて実施されており、児童たちは1クラス5~15人ほどの小グループに分かれて学んでいました

「6年生の算数の授業では、英語で算数を学ぶクラス、中学受験を見据えたクラス、自分のペースでじっくり学ぶクラスなど、子どもたちの学習レベルと志望する進路に合わせたクラス分けを行っています。少人数制によってきめ細かな指導が実現できているため、本校の児童は、放課後に外部の塾へ通わずとも中学受験に対応できるのです」(立川先生)

LCA国際小学校には付属の中学校がありません。そのため私立中学校への進学を望む児童にも対応できるよう、進路相談室を設け、校内でサポートにあたっているそうです。

「進路相談室の教員は、毎週火曜日に私立中学校を訪問。そうして、偏差値や進学実績に偏った中学選びではなく、各児童の個性に合った最適な学校選びができるサポート体制を整えているのです。また、中学受験を控えた子どもたちであっても、夕方以降は家族と一緒に食卓を囲むなど、無理のない生活リズムで過ごしてほしいという思いがあります。そのため、本校では放課後に校内で受験対策の授業を提供し、塾に通わずに受験準備が完結する体制を整えているのです」(荒井先生)

この受験対策の授業も毎日午後5時半には終わるので、帰宅後、児童たちは家族と夕飯を囲むことができます。このようなサポート体制のもと、卒業生の進学先は実に多彩です。麻布中学校や渋谷教育学園渋谷中学校などの難関校に加え、開智日本橋学園中学校、三田国際学園中学校、公文国際学園中等部といった国際教育に力を入れている学校に進学する児童も多いそう。

またLCA国際小学校は、年間を通したアクティビティやイベントの豊富さも際立っています。全学年を対象に年に2回、長野県・北八ヶ岳にあるセミナーハウスでの宿泊合宿を実施。ここでは、魚を釣り、自分でさばき、火を起こして調理して食べるという体験も行われます。

「自然体験を通じて、児童たちが自ら考え、行動する力を育てることが目的です。他にも、スポーツデー、学年ごとに英語ミュージカルなどを披露するパフォーマンスデー、英語でのスピーチコンテストなど、さまざまなイベントが用意されています。本校では、教室の中だけでは得られない"生きる喜び"を育む教育にも力を入れているのです」(立川先生)

子どもたちの感性を磨く取り組みとして、校内には多くの美術作品も展示されています。児童たちの手の届くところに本物の芸術作品を置き、日常的に目にする環境を整えているのです。プロの音楽家やオペラ歌手、バレリーナなど、一流のアーティストを学校に招き、本物の文化に触れる機会も大切にしているそうです。

日頃から自然や本物の芸術に触れ、感性を育み、国際感覚を身につけてきたLCAの児童たちは卒業後、どのような進路を歩んでいくのでしょう。

「本校の第一期生の多くがちょうど社会へ巣立つ年齢に差し掛かっていますが、それぞれの個性に合わせた多岐にわたる進路を歩んでいる印象を受けます。F1レーサーとして活躍中の角田裕毅選手や、世界最年少となる12歳でバークリー音楽大学に合格したジャズピアニストの古里愛さんも、かつて本校に在学していました。また、高校や大学への進学の節目ごとに報告に訪れてくれる児童も少なくありません。個性を活かしてそれぞれの未来を切り開いていく姿を見守っていけることは、私たちにとっても大きな喜びです」(荒井先生)

さまざまな体験を通じて磨いた感性と英語力を武器に、多彩な分野で活躍する卒業生たちの今後がますます楽しみです。次回は、LCA国際小学校を運営する株式会社エデューレエルシーエーが新たに手がけ、2026年4月に開校予定の「LCAきたかる森のインター」について、お話を伺っていきます。

〈連載概要〉
個性と英語力を同時に育てる「アクティブイマージョン教育」
第1回:「英語力」と「自分らしさ」を伸ばすLCA国際小学校の教育とは?
第2回:LCA国際小学校の個性が花開く「探求型学習」と「進路指導」(本記事)
第3回:英語で学び、森で育つ「LCAきたかる森のインター」が4月に開校!

       
  • 北八ヶ岳にあるセミナーハウス

  • パフォーマンスデーのリハーサル風景

  • アフタースクールも充実

          
  • 校内のギャラリースペース

  • 本物の美術作品がいたるところに

  • 6年生の算数の授業風景

  • 2500坪の広大な敷地にはサンショウウオの住む小川が流れ、草花が咲き、鳥や昆虫が豊富なセミナーハウス。児童たちは四季を通してここで移動教室を行い、自然と触れ合いながら成長します。

  • 年に1度行われるパフォーマンスデーはLCA国際小学校の大切なイベントの1つ。学年ごとにミュージカルなどに取り組み、児童全員がステージに立ちます。

  • 希望する在校生は、放課後にロボティクスやダンス、サッカーなどのアフタースクールを受講することができます。書道や和太鼓など日本の伝統文化を学べるクラスも充実。

  • ギャラリースペース「ガレリアクラシコ」には定期的に展示物が変わる西洋美術の作品が展示され、児童たちが外国の歴史や文化を日常的に知ることができるようになっています。

  • 廊下の壁面にギャラリー機能を持たせた、児童たちが日常的に芸術作品に触れることができるようになっています。飾られている絵画のほとんどがレプリカではなく本物の美術作品です。

  • 各クラスに分かれて行われていた6年生の算数の授業。このクラスでは私立中学の受験対策のための算数の問題を児童たちが解いていました。