マルバーン・カレッジ東京:小さな起業家たちのウィンターマーケット

Choice

マルバーン・カレッジ東京ウィンターマーケット

名前
マルバーン・カレッジ東京
所在地
東京都小平市上水南町3-2-1
Info
文/秋山藍乃
URL
学校ホームページ
URL1
国際バカロレア体験ワークショップ
URL2
オンライン学校説明会
URL3
キャンパスツアー

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英国式国際バカロレア(IB)教育で知られるマルバーン・カレッジ東京(MCT)で、この冬開催された「ウィンターマーケット」。
このイベントは単なるお祭りではありません。生徒たちが主体となって企画・運営し、その成果を社会貢献へと繋げていく、まさにマルバーンの教育哲学と社会的責任が体現された「学びの場」です。今回ブライトチョイスでは、生徒や先生へのインタビューを通じて、その舞台裏にある学びと成長の物語に迫りました。

【英国式IBを体現する生きた学び】

色とりどりの装飾に彩られた校舎に、生徒たちの元気な呼び声。MCTのウィンターマーケット最大の特徴は、それが徹底した生徒主導で行われている点です。
MYPコーディネーターのエイデン・リーチ先生は、このイベントの目的を「金融リテラシーと起業家精神の育成」にあると語ります。
「15人ほどで構成される各ハウス(MYP所属の11歳から14歳の生徒の縦割りグループ)には、15,000円の予算が与えられます。生徒たちはその限られた資金の中で、仲間と協働しながら、材料を仕入れ、店舗を装飾し、価格設定や販促といった戦略を練らなければなりません」
この取り組みは、国際バカロレアが重視する「ATLスキル(学習アプローチスキル)」を、実体験として身につける絶好の機会です。授業で培ってきたクリティカルシンキングや創造性を、商品開発や店舗デザインという形で表現していく。正解のない問いに向き合い、話し合いながら答えを探していくプロセスそのものが、深い学びにつながっています。

【生徒たちが語る「マーケティング」と「チームワーク」】

実際にマーケットを運営した生徒たちの言葉からは、教科書だけでは学べない生きた知恵が溢れていました。
イシグロハウスのマーケターとして活躍した陽さん(アキさん・7年生)は、トナカイや雪だるまのポンポンを手作りし、宣伝も担当しました。 毛糸やモール、動く目玉シールを使い、一つひとつ心を込めて制作したそうです。さらに、ボールを的に当てるゲームも用意し、訪れたゲストを楽しませました。
「一番大変だったのは、グループ内で意見をまとめることでした。意見が分かれることもありましたが、落ち着いて話し合うことで解決できました。社会に出た時にも、こうした経験はきっと役に立つと感じています」
また、エルガーハウスの弥桜さん(ミオさん・8年生)は、パーソナライズされたスノーグローブ写真の制作・販売を担当。撮影した写真をその場で編集し、デジタルとプリントの両方で提供するサービスは、多くのゲストの関心を集めました。
「企業がどのように機能するかを理解するよい機会になったと思います。大人数で動くときは、リーダーの存在や役割分担がとても大切だということも学びました。小さな子どもから大人まで、多様なゲストの立場に立ってサービスを考えるプロセスは、とても実践的でした」
弥桜さんは、材料が必要以上に仕入れられていたり、生徒同士が当日のスケジュールを共有できていないなど、少しギクシャクするような場面も経験しました。それらを通して「チームがうまく機能するためには、コミュニケーションが何より大切である」と実感したと言います。

【利益はチャリティー団体へ】

MCTのウィンターマーケットが素晴らしいのは、経済活動がダイレクトに「社会貢献」へとつながる点です。生徒たちは、事前に学校で開催された「チャリティーフェア」で9つの団体から直接活動内容を聞き、ハウスごとに自分たちが支援したい先を投票で決めました。
今回、陽さんや弥桜さんのハウスが選んだのは、メンタルヘルス支援を行う団体「TELL」でした。 「周りの人には話せない悩みを抱えている人たちを支えるホットラインがあることを知り、力になりたいと思いました」と陽さんは語ります。自分たちの活動が誰かの助けにつながっているという実感は、生徒たちにとって大きな誇りです。こうした経験は、将来IBディプロマ・プログラム(DP)で取り組むCAS(Creativity, Activity, Service)や探究活動の大切な土台となります。

【ハウスシステムが育む絆】

このプロジェクトを支えているのは、学年を越えた「ハウスシステム」の存在です。リーチ先生は「日頃から上級生と下級生が共に昼食をとり、時間を過ごすことで築かれた信頼関係が、イベントでの強い協力体制を生んでいる」と語ります。
生徒たちにとってハウスのメンバーは、大切な仲間。弥桜さんは「通常なら話す機会がないような生徒とも、ハウスを通じて仲良くなれます」と教えてくれました。創立間もない学校だからこそ、「自分たちで学校の文化をつくっている」という実感も、生徒たちの主体性を後押ししています。

【自分を信じる力を胸に、世界へ羽ばたく】

ウィンターマーケットで印象的だったのは、生徒たち一人一人が持つ「当事者意識」でした。自分たちで考え、工夫し、失敗から学び、誰かのために行動する。その積み重ねが、確かな自信につながっていく様子が伝わってきます。
リーチ先生は、生徒たちへの思いをこう語ります。 「自分が本当に誇りに思える人生を送ってほしい。私たちは、生徒たちが夢を見つけ、それを達成できるよう、その過程のあらゆる歩みにおいて全力でサポートしています」
MCTの校舎で出会った生徒たちのキラキラとしたまなざし。このウィンターマーケットでの経験は、彼らがグローバルな世界へ羽ばたこうとするとき、何よりの支えとなる「自分を信じる力」になっていくことでしょう。

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マルバーン・カレッジ東京イベントのご案内

学校説明会:オンライン・マルバーン・ミート
日時:2026/1/28(水)18:00-19:00
開催方法:ZOOM
マルバーン・ミート (説明会)に申し込む

School Tour:学期中の毎週金曜AM開催】
英語 10:00-11:30 / 日本語 11:00- 12:30
School Tourに申し込む 

       
  • 支援先によるプレゼンテーション

  • 支援内容についてヒアリング

  • 心を込めて作ったオリジナルポンポン

          
  • ゲームも自分たちで考えて設営

  • 苦労したことも大切な経験

  • ハウスの大切な仲間たち

  • 事前に開催された「チャリティフェア」では、9つの支援団体が活動内容をプレゼン。生徒たちはどの団体を支援すべきか、その目的や社会的意義を真剣に検討しました。自分たちで生み出した利益の使い道を自分たちで決めるというプロセスが、プロジェクトへの強い当事者意識を生んでいます。

  • 支援団体のスタッフから直接話を聞く機会も。メンタルヘルス支援を行うTELLの活動を知り、「周りに言えない悩みを抱える人を支えるホットラインを守りたい」と陽さん。教室での学びが社会のリアルな課題と結びつく瞬間です。こうした対話を通じた深い共感が、社会奉仕への大切な一歩となりました。

  • イシグロハウスの陽さんが手がけたのは、毛糸やモールを使ったトナカイのポンポン。一つ一つ表情が異なる温かみのある製品は、来場者の目を引きました。限られた予算でいかに付加価値をつけ、オリジナルを追求するか。試行錯誤を重ねて完成した商品には、小さな起業家としての誇りが宿っています。

  • 物販だけでなく、体験型のゲームも生徒たちがゼロから考案・設営。ボールを的に当てるルール設定や、幅広い学年のゲストを飽きさせない装飾の工夫が光ります。「ゲストを楽しませるには?」を徹底的に考えて役割を果たすプロセス。こうした実体験の積み重ねが、生徒たちの揺るぎない自信へと繋がっています。

  • エルガーハウスの弥桜(ミオ)さんのチームは、スノーグローブ写真の撮影・販売に挑戦。その場でのデジタル編集や現像、積極的な呼び込みに苦労する場面もありましたが、多様なゲストに喜んでもらう難しさと楽しさを実感しました。現場でのトラブルを乗り越える中で、チーム内の意思疎通の重要性を肌で学びました。

  • MCTには、作家のカズオ・イシグロに由来する「イシグロ」や登山家の田部井淳子氏に由来する「タベイ」、作曲家のエドワード・エルガーに由来する「エルガー」など、ユニークな名前を持つ6つのハウスがあります。日頃のランチや行事を通じて学年の枠を超えた絆を育み、マーケットもこの単位で運営します。