ホーチミンでの娘の園選びと"イヤイヤ期"

ベトナム移住ママの「家族時間を大切にする暮らし」
- 名前
- 髙田麻紀子/Makiko Takada
- 家族
- 5人家族(夫、9歳男の子、6歳男の子、2歳女の子)
- 所在地
- ベトナム・ホーチミン
- お仕事
- MASYOME Founder/La Ruche d’Ange代表
- URL
- Makiko Takada Instagram
【ベトナム移住ママの「家族時間を大切にする暮らし」】
ベトナムに移住後の娘の園選びは、私にとって大きな決断でした。
娘は1歳になる前にベトナムに引っ越してきたため、日本で過ごした時間はほんのわずか。将来、日本に帰国する可能性も考えると、日本語で学べる日系の園を選ぼうと決めていました。
ホーチミンには日系の園がいくつかあり、それぞれのよさがある一方で、私たちが「ここに娘を通わせたい」と思える園にはなかなか出会えず......。「もう少し通わせるのは見送って、お兄ちゃんたちの通うインターナショナルスクールの EYP(Early Years Program) に入れるのもよいかもしれない」と、そんな風に考え始めていました。
そんな時に頼ったのが、ホーチミンに移る前に住んでいたハノイ時代のママ友。彼女はホーチミンにも在住経験のある素敵なマダムだったので、相談してみることに。すると、「日系ではないけれど、評判の良いインターがあるよ」と教えてくれたのです。
さっそく見学に行ってみたそのスクールは、リゾートの中にあるような開放的な環境で、自由な空気が流れていました。そして、なにより校長先生や先生方の温かい雰囲気に心を動かされたのです。子どもたち一人ひとりの個性を尊重し、それぞれのペースを大切にしてくれる環境が整っていて「ここなら娘ものびのびと楽しく過ごせるかもしれない」と、通わせることに決めました。実際に去年の8月から通っていますが、娘は毎日とても楽しそう。いろいろなことを学んできています。
そんな娘ももうすぐ3歳。現在、イヤイヤ期の真っ只中です!
上の子たちに比べて「イヤイヤ」がひどいのかどうかは、正直、もうすっかり忘れてしまいました。人間、辛いことは忘れるようにできているのでね(笑)。でも、いざイヤイヤ期に直面すると、「もっとよい接し方があるのかな?」と改めて考えるもの。そこで、娘が通うスクールの校長先生と担任の先生に相談してみることにしました。
まず、我が家の娘のイヤイヤ状況ですが、自分のやりたいことができなかったり、気に入らないことがあったりすると怒る、物を投げる、足をバタバタさせる。ときにはキックも! 泣きながら「ママ嫌だ」「ダディ嫌だ」......そんなことが日常茶飯事です。
そんなことを話しても、先生方は「それはよくあること。ベリーベリーノーマルよ!」と笑顔で言ってくれます。上の子たちのときにも経験しているはずなのに、改めて共感してもらえることで安心感が生まれました。
娘の先生たちから教えてもらったのは、「共感 (Empathy) が何より大切」ということ。
Toddler(よちよち歩きの子ども)は、言葉を話し始め、自分の意思をしっかり持つようになります。気に入らないことがあると、物を投げたり大きな声で泣いたりすることもありますが、このような行動は珍しいことではなく、むしろ成長の過程でよくあること。まず親がすべきことは「その気持ちを全身で受け止め、共感すること」 なんだそうです。
たとえば、「すごく怒っているんだね」「それは嫌だったよね」と言葉にしてあげるだけでも、子どもは「分かってもらえた」と感じるもの。
また、何かよくない行動をしたときには、「あなたのことは大好きだけど、その行動は好きじゃないよ」と伝えることが大切。「やってはいけないこと」を伝えながらも、愛されている安心感を与えることで、子どもは「自分がダメなんだ」と感じるのではなく、少しずつ「どうしたらいいのかな?」と考える力を育んでいくのだそうです。
「ハグ」もとても大切で、子どもに「愛されている」という安心感を持たせる効果があります。イヤイヤ期の子どもは、自分の感情をうまくコントロールできず、境界線を超えてしまうような行動をとることもありますが、そんなときは境界線の内側に戻してあげることが大事なのだと教えてもらいました。
私自身だって「大丈夫」と言ってもらえるだけで安心したもの。大人でもそうなのだから、子どもにとって共感はもっと大きな意味を持つのかもしれません。イヤイヤ期は大変だけれど、子どもの成長のひとつのステージとして見守っていきたいと思います。
そういえば、長男も「バナナを食べようとしたら折れちゃった」 という理由で大号泣していたことを思い出しました(笑)。まだはっきり話せなかった頃だったので、「ノーノー!」と全力で拒否。しかもそれが 最後の1本だったので、どうにか食べてもらおうと必死にくっつけながら食べさせた記憶がよみがえりました(笑)。
そんな長男も、今やギャング世代真っ只中です!
当時は大変だったけれど、今では微笑ましい思い出です。きっと娘のことも、数年後にはそんな風に懐かしく思える日が来るんだろうな。今の大変さも、いつか笑って話せる日がくるはずと信じて、今日も私は、娘の"イヤイヤ"に全力で向き合っています。
〈髙田麻紀子さん連載〉
ベトナム移住ママの「家族時間を大切にする暮らし」