習い事の先にあった息子の小さな言葉から、対話の大切さを実感

自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける“心の余白”
- 名前
- 山脇道子 / Michiko Yamawaki
- 家族
- 3人家族(夫、6歳の息子)
- 所在地
- 東京
- お仕事
- スタイリスト・クリエイティブディレクター
- URL
- 山脇道子(@MICHIKO YAMAWAKI)Instagram
【自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"】
同じ年頃の子どもを持つママたちと話していると、必ずと言っていいほど話題にのぼるのが、習い事のことです。「あそこが良かった」「ここはおすすめだよ」といった情報の交換は、とても参考になります。一方で、小さいうちは特に「我が子に合うものは何だろう?」と考える時間も増えていきます。
そして、もうひとつよく話題にのぼるのが、「やめ時」です。楽しそうに通っているように見えても、忙しすぎないだろうか。もう少し続けたら慣れるのか、それとも、もうやめた方がいいのか。親の判断が問われる場面でもあります。
わが家でも、先日スイミングをやめました。入会してからは楽しく通い、進級も順調でした。そんなある日、スイミングの朝に、「おなかがいたいから、きょうは休みたい」と言ったのです。普段の生活では一度もそんなことを言ったことがなかったため、なにかあるのかもしれないと思いながらも、その日はその言葉をそのまま受け取り、家でゆっくり過ごすことにしました。
すると翌週のスイミングの日の朝も、同じことを言いました。さすがに気になり話を聞いてみると、足がつかない深いエリアまで行くようになり、それが怖いのだと教えてくれました。進級をして、一段階レベルの高い練習に入ったことが、息子にとっては大きな不安だったのだと思います。
クラスを下げて続けることもできると伝えましたが、返ってきた答えは「行きたくない」でした。正直に言えば、勇気を出させて頑張らせた方がいいのではないか、しばらくすれば慣れるのではないか、そんな気持ちがよぎったのも事実です。それでも、本当の気持ちを隠して「おなかが痛い」と言ったことのほうが、私にはつらく感じられました。
最初は言いにくかった怖いと感じていること、そしてスイミングをやめたいと思っていることを、正直に言葉にした。その事を、何より大切にしたいと思いました。怖い気持ちを口に出すことは、簡単なことではありません。だからこそ、「それはとても勇気のいることだね」「本当の気持ちを話してくれてありがとう」、そんな思いを息子と共有しました。
ひとつだけ、これからの約束として、つらいときや迷ったときは、「おなかが痛い」と言い換えるのではなく、「そのままの気持ちを言葉にしてほしい」と話しました。
「スイミングは、きっと小学校の授業で習い始めたらまた楽しくなると思う。もう一度通いたくなったら、教えてね」。そう声をかけて、今回はやめることにしました。
この出来事を通して、改めて、わが家が大切にしていることを思い返しました。息子には、誰かに言われたからではなく、自分から「やってみたい」「知りたい」と感じたことを、大切にしながら歩んでほしいと思っています。
そんなふうに、夢中になれる時間を重ねながら、息子なりの豊かな人生を送ってくれたらいいなと思っています。
そのために、日々の関わりの中で心がけているのは、息子の言葉を否定せず、まず共感することです。「そう思ったんだね」「怖かったんだね」と、気持ちをそのまま受け止める。その上で、「こうしたら楽しいかもしれないね」と、別の選択肢をそっと差し出すようにしています。そして、なぜそう思うのかを、理由から丁寧に説明し、息子が理解できる形で伝えることを大切にしています。
いろいろなことに興味を持ち、挑戦する中で、自分が夢中になれるものに出会えたら、それでいい。習い事は、人生を豊かにするための、ひとつのきっかけであって、その手助けを親としてできたらいいなと、今はそう思っています。
〈山脇道子さん連載〉
自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"