子育ての合間に見つけた外とのつながりは、新しい自分時間

ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース
- 名前
- 秋元玲奈 / Rena Akimoto
- 家族
- 5人(7歳の男の子、3歳の双子の男の子)
- 所在地
- ロンドン
- お仕事
- フリーアナウンサー
- URL
- 秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
- URL1
- Rena Akimoto Official Website
秋元玲奈さん
【ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース】
去年から双子がナーサリーに通い始め、 気づけば一日の中に、少しですが「自分の時間」と呼べそうな余白が生まれました。慌ただしい日常の合間にぽつんと現れたその隙間を、さてどう使おうか。そう考えたとき、ふと思い浮かんだのが、子どもたちが通う学校のPTAへの参加でした。
息子たちが通う学校は、コミュニティをとても大切にしています。保護者が学校運営に自然なかたちで関わっていて、その中心的な役割を担っているのがPTAです。公立校でありながら校内にはどこか落ち着いた空気が流れ、保護者同士の関係も穏やか。初めて学校を訪れたとき、「本当にここは公立校なのだろうか」と思わず首をかしげたほどでした。その空気感こそが、私たちがこの学校を選んだ理由のひとつでもあります。
イギリスのカトリック校は、本来はカトリック信者でなければ入学が難しいとされています。そんな中、信者ではない長男はYear1のときに偶然空きが出てこの学校に編入することができ、さらに昨年からは双子も付属のナーサリーに通わせてもらえることになりました。振り返ると、ありがたい偶然がいくつも重なっています。だからこそ、いつか何かの形で学校に貢献したいという思いは、ずっと心のどこかにありました。双子が学校生活に慣れてきたタイミングで、クラスの副代表としてPTAに加わったのは、ごく自然な流れだったように思います。
正直に言えば、日本にいたら、私はPTAに積極的に関わるタイプではなかったはずです。できれば少し距離を保ち、必要なことだけを淡々とこなす側にいたと思います。それでも海外にいると、不思議と「普段なら選ばない選択肢」にも手を伸ばしてみようという気持ちが芽生えます。日本でしか働いたことのない私にとって、多様なバックグラウンドをもつ人たちが集まるこのコミュニティに身を置くことは、いつかこちらで働く日のための、静かな準備運動のようにも感じられました。
そんなPTA活動の中で、年末に迎えた大きなイベントが、"Santa's Grotto"でした。学校の一角に小さなサンタクロースの小屋を作り、子どもたちが順番にサンタに会ってプレゼントを受け取る、イギリスならではのクリスマス行事です。学校運営のための資金集めが目的ですが、サンタ役の選定から装飾、チケットの価格設定まで、すべてをナーサリーとレセプションクラスの代表5人のママで一から決めていきます。
私は、サンタが子どもたちに渡すギフト担当に立候補しました。ところが動き始めてみると、日本のイベント感覚とはずいぶん違う現実が待っていました。まず、予算が明確に決まっていない。装飾にいくらかかっているのかも、誰も正確には把握していません。「本当にこのままで大丈夫なのだろうか」と内心そわそわする私とは対照的に、他のメンバーは皆、仕事をしながらの参加。連絡のテンポもどこかゆったりしています。何事も早めに決め、余裕を持って準備したい私にとっては、少々落ち着かない日々でした。
何とか当日を迎え、小屋の設営も無事に終わり、いよいよ子どもたちを迎える時間になりました。ところが今度は、子どもたちをどの順番で呼ぶのか、そのリストが用意されていないことに気づきます。どうしようかと皆に尋ねると、「来た人からどんどん入ってもらおう」と、驚くほどあっさりした返事が返ってきました。学年別にギフトを用意していた私は、せめて誰がどの順番で来るのか分かるリストがあった方がスムーズだと伝えましたが、「レナ、 大丈夫。なんとかなるから」と肩を抱かれてなだめられてしまう始末。「いや、ならないだろー!」心の中でそう叫んだのは言うまでもありません。
テレビ局で長く仕事をしてきた私にとって、イベントが予定通りに進まず"グダグダ" になることは、最も避けたい事態。段取りは万全か、想定外は起きていないか。常に先回りして考えるのが当たり前だったからです。けれど、"Santa's Grotto"の現場では、その感覚が少しずつほどけていきました。そこまで神経質にならなくても、物事はちゃんと前に進む。そんなことを、身をもって知ったのです。
不思議なことに、本当になんとかなってしまいました(笑)!多少の行き違いはあっても大きな混乱はなく、子どもたちは笑顔でサンタからプレゼントを受け取っていきます。気がつけば、運営する側も参加する側も、完璧さより「一緒に楽しむこと」を何より大切にしている空気が、会場全体に広がっていました。こちらでは、少しの曖昧ささえもイベントの一部として受け止め、その時間を共有すること自体に価値が置かれているのだと感じます。
イベントの最後には、夫も合流し、皆で片付けをしました。特別なことをしたわけではありませんが、その自然な一体感の中で、「自分もこのコミュニティの一員なのだ」と改めて実感しました。PTAでの活動を通じて、組織の中で働くことの楽しさを再発見した気がします。
2026年はこんなふうに、少しずつ新しいコミュニティに足を踏み入れながら、ロンドン生活における"自分時間"を育てていけたらと思っています。
〈秋元玲奈さん連載〉
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