「ぼくとママのやくそく」。ちいさな対話から生まれた、自律の種

自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける“心の余白”
- 名前
- 山脇道子 / Michiko Yamawaki
- 家族
- 3人家族(夫、6歳の息子)
- 所在地
- 東京
- お仕事
- スタイリスト・クリエイティブディレクター
- URL
- 山脇道子(@MICHIKO YAMAWAKI)Instagram
【自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"】
「ママが決めないで。ここは僕とママのお家だから、一緒に決めよう」
夜のリビングで、息子にそう言われました。
その日は少しだけ遊びが長引き、眠る時間が遅くなりそうでした。私はいつものように「もう寝る時間だよ、早く寝なくちゃ」と声をかけました。すると返ってきたのが、その言葉でした。
一瞬、はっとしました。
数日前、幼稚園の先生がこんなお話をしてくださったことを思い出したのです。新しい遊びを始めるときは、まずみんなで話し合ってルールを決めるのだと。鬼ごっこも、サッカーも。みんなで遊ぶことは、みんなで決める。だからこそ、みんなが守れるのだと。
ああ、そうか。
息子は、幼稚園で教わったそのやり方を、私との関係の中でも実践してみたのかもしれない。と気づきました。
息子には毎日の小さなルーティーンがあります。
朝起きたら本を読む。前の晩の続きを開くこともあれば、その日の気分で別の一冊を選ぶこともあります。それから朝ごはん。夜は、ごはんのあとに絵を描いたり遊んだりしてからお風呂に入り、お風呂のあとは本を読んで眠ります。
この数年で、彼なりに組み立ててきた流れです。
「一緒に決めよう」と言われた私は、紙とペンを出しました。ちょうど文字が読めるようになっていた頃だったので、守りたい時間とやることを書き出してみることにしました。
起きる時間。
幼稚園に出発する時間。
夜、遊びを終える時間。
眠る時間。
何分にするのか。ここはどうするのか。小さな会議のように、二人で話し合いました。
するとそれからは、不思議と急かさなくても守れるようになりました。もちろん、疲れている日やご機嫌斜めの日は簡単に行かない日もありますが、それでも、「自分で決めた」という感覚があるからでしょうか、少しの声がけで思い出せるようになったのです。
私は、子どもには自律した人になってほしいと思っています。誰かに管理されなくても、自分で考え、自分で決め、その選択を引き受けられる人に。
あの夜、息子が自分も決める側に立ったということ。その小さな対話が、いつか自分の人生を自分で選ぶ力につながっていくのだと思っています。
「ぼくとママの約束」は、これからも形を変えながら続いていくのでしょう。
思春期になっても、もっと大きな選択をするときにも。あの夜のように、テーブルに紙を広げて一緒に考えられる関係でいられたら。
子どもが小さいうちの対話の積み重ねが、やがて"話せる親子"の土台になる。そう信じて、日々を丁寧に重ねていきたいと思います。
〈山脇道子さん連載〉
自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"