世界の教育トレンド最先端!アート教育に力を入れる私立校を選ぶ理由とは?

Choice

国際志向のアジア系アメリカ人ファミリー

名前
ミランダ・ヤマモト
家族
4人(小学校1年生と中学校2年生の女の子)
所在地
カリフォルニア州マウンテンビュー

前回記事でお伝えした「STEAM教育」は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4つに「Arts」(アート)を加えた、最先端の教育理念。なぜ、理系学習とアートを組み合わせる必要があるのでしょうか。アートの中でも、特に演劇や音楽などの「パフォーミングアーツ」に定評のある学校に通うエリカさん一家の取材を通して、その理由を探りました。

韓国系アメリカ人のママと、日系アメリカ人のパパを持つエリカさんは、現在小学校1年生。今年、日本のインターナショナルスクールからアメリカの学校に転校しました。一家が居を構えたのは、シリコンバレーのマウンテンビュー地区。グーグルの本社があり、ITの聖地とも称されるエリアは、STEAM教育の最先端でもあります。エリカさんの転校先に、アート教育に力を入れる私立校パインウッド・スクールを選んだ理由を、ママのミランダさんはこう語ります。

アート教育、なかでも演劇に力を入れていることが決め手でした。小さい頃から演劇を学ぶ効果が大きいと知って。まず、人前で自信を持って話せるようになります。お芝居を作りあげていく過程では、協力することの大切さや感謝の気持ちを自然に学びます。エリカは本当に、演劇の授業が大好き。記憶力もよくなって、演劇を通して日に日に子供が自信をつけていくのが、親の目にもわかります」

複数の研究によって、アート学習は教養科目の学力向上に繋がることが明らかになっています。パインウッドの卒業生も、その多くがアメリカの一流大学に進学。エリカさんにも早々に、アート教育の効果が表れているようです。「エリカは科学と語学、それに体育も大好ききです。我が家の教育目標は、自分の選択に自信を持ち、リスクを恐れず、つらいときでも踏ん張れる力をつけること。どんなときでも、どんなところで暮らしていても、幸せを掴める大人になってほしいと願っています」(ミランダさん)

       
  • 1年生の演劇発表会

  • 演劇で自信をつけたエリカさんと同じ学校に通うお姉さん

  • フェイスペイントを施して役に没頭

          
  • 演劇を通じて批判も自分の力に変える

  • エリカさん制作のカラフルなアート作品

  • 「ジャンボリー祭」の様子

  • 子どもたちの朝は、校内の劇場で歌う歌からスタート。パインウッドでは、幼稚園から8年生(中学2年生)まで必修の演劇クラスがあり、公演も毎年開催。小さいころから、声の出し方、表情の作り方、体の動かし方まで、本格的な演技指導を受けています。

  • 演技を学ぶと、“生きる力”が伸びると言われています。たとえば、演劇の授業を通じて身につけたコミュニケーション技術のおかげで、子どもたちは誰に対しても物怖じせず、自信を持って自分を表現できるように。この力は、大人になってからも大いに役立ちます。

  • 演劇を通じ、子どもたちは役の感情を追体験します。演技で表現した感情は、じぶん自身の生活のなかで湧き上がるときが訪れます。悲しいときやつらいとき、自分の心で起こっていることを理解し、対処できるようになる。お友達の感情にも思いを馳せられる。これこそ、“生きる力”ですよね。

  • 「観客の前で自分を表現し、賞賛されることほど、自信と自尊心を育てる経験はない」というのが学校の考え方。また、演劇は仲間と協力し、意見を戦わせながら作り上げるもの。クリエイティブな雰囲気のなかで批判を前向きに受け止められるようになります。批判を自分の糧にする力、大切です!

  • パインウッドは、演劇や音楽などの「パフォーミングアーツ」と同じくらい、美術などの「ビジュアルアーツ」も重視。低学年クラスの内容は、絵を描くこと、工作や彫刻、アニメーションなどなど。クリエイティブな能力を磨きながら、感情や美を表現する言葉も同時に身につけます。

  • 学校では毎月、インドのホーリー祭や中国の春節など、海外のカルチャーを体験できるイベントが。なかでもエリカさんのお気に入りは、パインウッドの学園祭「ジャンボリー祭」。ゲームやアート発表会など、憧れの上級生たちが主催するイベントを、とっても楽しみにしています。