家族と離れて二拠点生活 子どもを伸ばす教育のあり方を模索して
日本とオーストラリアを行き来、小島慶子さんの働く母の視点
- 名前
- 小島慶子 / Keiko Kojima
- お仕事
- エッセイスト、タレント、東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー
- Info
- 取材・文/須賀美季 プロフィール写真/鈴木愛子
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- Twitter: @account_kkojima
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- Instagram:keiko_kojima_
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- 公式サイト:アップルクロス
【教育移住で二拠点生活。小島慶子さんが考える、これからのリアルな子育て①】
アナウンサーを経て、現在はタレント、エッセイストとして活躍する小島慶子さん。彼女の真っすぐな子育て感や、奥深くまで掘り下げるママの視点、社会問題にまで鋭いメスを突きつけるその姿勢は、多くの子育て世代の生き方に影響を与えています。8年前に、思い切って実現したオーストラリアへの教育移住のこと、そして現在も続く二拠点生活のなかで見えてきたこと、さらにこれからの子育てにまつわる思いを聞きました。
(こちらは、第1回の記事です。第2回はこちらから。)
Bright Choice
小島さんは現在、オーストラリアと日本を行き来しながら、二拠点生活をされていますね。どんな頻度で行き来をされているのですか。
――ふたりの息子と夫はオーストラリアのパースに暮らしていて、私は日本で仕事をしているので、今は3ヶ月おきぐらいにオーストラリアと日本を行ったり来たりっていう感じで過ごしています。コロナの影響で国を超えての行き来が出来なくなったことは、すごく大変でした。でももう、ふたりの息子たちも上は大学2年生、下も高校2年生になり、子育ての意味ではだいぶ楽になったと思います。
Bright Choice
2014年に、教育移住ということでオーストラリアを選んだそうですね。当時「よし、家族で移住しよう!」という決断に至った大きな理由は、何だったのですか。
――私自身がオーストラリアで生まれ、その後シンガポールや香港で育った経験があったのは大きいと思います。いつか子どもたちにも海外暮らしの経験をさせてあげたいなと、当初はぼんやり思っていたんです。ただ当時は、私も夫もものすごく忙しい放送業界の仕事をしていたので、「高校になったら留学を体験させるぐらいかな?」と思っていました。
大きなきっかけは、2013年に夫が「一回人生を俯瞰で見たいから仕事を離れる」と言って思い切って仕事を辞めたことです。それで「せっかく仕事辞めるなら、辞めたからこそできることがあるといいね」と考えたんです。例えば、お父さんと子ども達だけが地方に暮らして、東京以外で子育てをし、私は週末に合流するとか。色々な可能性を話し合いました。当時我が家は渋谷区に暮らし、公立の学校が良いと思って通わせていたんですけど、やっぱり自然との接点が少なかったので。どうせなら東京以外で子育てをしてみたい、という思いがまずありました。
Bright Choice
旦那さんも、子ども達を海外に行かせたいと思われてたんですか。
――夫もテレビの仕事を長くしていて、テレビに映る外国ならたいてい行ったことがあるような人。彼自身も海外に行くこと、言葉の通じない場所に行くことにあまり抵抗がなかったと思います。同時に、都心の公立小学校へ通わせる中で、日本の教育システムの中では我が子のようなタイプは、いいところが伸ばせないのでは?と、夫婦で感じていたというのもあります。当時話していたのは、例えば私立のとても自由な校風の学校に入れるか、同じ公立であってももうちょっと地方のんびりしたところで育てるか、そういうことができたらいいよねということです。
Bright Choice
日本の学校だと伸ばせないなと思った部分って、どんなところだったんですか。
――息子たちは、一緒に話をしていると、すごく面白いんです。それを伸ばせる環境を与えてあげたいと思いました。でも、通っていた公立小学校での授業や「二分の一成人式」などの行事を見ると、大人が望んでいることを忖度して振る舞うことが求められていると感じました。
例えば学校で先生が「今日は、お父さんお母さんに感謝する文章を自由に書いてください〜」と言ったとしますね。"自由に"を真に受けて、本当に自由に書くと、先生に「これはどうかな〜? 感謝になっているかな?」などと言われてしまう。それで子どもは、「思った通りに書くとダメなんだ」と学ぶんです。何を学習するかっていうと、忖度です。「口では"自由に"と言っているけれど、実際は"大人が望んでいることをやる"ということが求められているんだ」と知るんです。そうやって子ども達が、同調圧力の高い社会での振る舞い方を"学習"してしまうことにすごく疑問を持ちました。
空気を読んで大人の期待に応えられる子がよしとされるのが、日本の教育。そのやり方で伸びるタイプの子と、そうでない子がいます。私の息子たちについていえば後者で、私としてはむしろ日本の教育や極めて同質性の高い社会に順応して欲しくなかったんですね。
(小島慶子さんのインタビューは、第2回に続きます)
〈連載概要〉
教育移住で二拠点生活。小島慶子さんが考える、これからのリアルな子育て
第1回:家族と離れて二拠点生活 子どもを伸ばす教育のあり方を模索して(本記事)
第2回:海外での学校選び 子どもの生きる力を強くする真の多様性とは
第3回:日本の教育と現代社会の不安をぬぐうため 親に必要な心構え