日本の子どもたちに必要な国際理解教育とは?港区だからできること

港区グローバル人育成教育の最新事情
- 名前
- やなざわ亜紀
- お仕事
- 港区区議会議員
- Info
- 取材・文/秋山藍乃
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- やなざわ亜紀official site
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- 公式インスタグラム
【港区議やなざわ亜紀さんが港区在住ママエディターと対談。港区グローバル人育成教育の最新事情】
(後編)
インターナショナルスクールに限らず、今、日本の教育現場でも、国際バカロレアやオールイングリッシュの国際学級、留学プログラムや海外進学支援など、国際人を育てるためのグローバル教育の選択肢が増えています。(参考記事:クラス全員が海外留学!カリキュラムに長期留学がある中高一貫校)
ブライトチョイスでは、多様性を生きる子どもたちにとって、国際感覚を育てることが大切であると考えます。
しかし、文化の壁や英語力、留学費用など、日本人の子育て層にはハードルが高いと感じる方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、区立小中学校への国際科や国際学級の設置、海外留学などの国際理解教育プログラムを導入する港区の国際人材育成事業について、港区議会議員やなざわ亜紀さんにインタビュー。区議として、また2児の母親として、子ども・子育て支援や教育に取り組んできたやなざわさんと、ブライトチョイスの港区在住ママエディターたちが、港区の国際理解教育の今とこれからについて対談しました。
ブライトチョイス エディターA(以下エディターA):
やなざわさんは、2人のお子さんを育てていらっしゃいますが、ご自身の経験を踏まえ、これからの子どもたちの国際理解教育に必要だと感じるのはどのようなことでしょうか。
やなざわさん(以下敬称略):
英語学習については、一母親として大きなジレンマを感じています。中学校2年生の娘を見ていると、せっかく学校で英語を学んでも、いざ話そうとすると躊躇してしまって話せないんですね。日本語でのディベートなら負けないけれど、英語になると弱気になってしまう。もっと自信を持って英語を話せる機会を作ってあげたいなと思います。話す機会がないと、いくら勉強してもなかなか身につかないですからね。
ブライトチョイス エディターS(以下エディターS):
たしかに、北欧やオランダには、公立のインターナショナルスクールがあり、街の人も普通に英語が話せます。その一方で、日本人は、インターに通わせて、塾にも通わせて、アメリカンクラブのメンバーになって......、英語という1つの言語を習得するためにそこまでしないといけないのかという点に違和感を感じますね。公立、私立、インターの格差があからさまに見えるのも、港区の特徴と言えるかもしれませんね。
やなざわ:
もう1つ、国際理解教育において感じていることは、外に目を向けるだけでなく、日本の文化を知り、日本人としてのアイデンティティを持つことの大切さです。国際理解というのは、自国のことを理解した上で海外に触れて、初めて生まれるものだと思います。海外で活躍されている方や留学から帰ってきた方が、日本人なのに日本の良いところを全く話せない現実に直面し恥ずかしい思いをしたという話、よく聞きますよね。シンガポール修学旅行も良いけれど、日本の文化や歴史について学びを深める体験をすることも必要なのではないかなと思っています。
エディターS:
それは、現在海外留学中の息子の留学先でも感じます。外国の方は日本が大好きで、日本人より日本のことを知っている方がたくさんいます。アニメがきっかけで日本が好きになったという子ども達も多いです。先日留学先を訪問した時、イタリア人の友人に家元のお抹茶をプレゼントしたら、喜んでお茶をたててくれたので驚きました。
エディターA:
海外に行くと、きちんと自分のことを話すことが求められますよね。日本のことを知る教育も含めて、自分が何者で、何が好きで、何をしてきたのか。学校でそういったことをしっかりサポートしてあげることで、子ども達は安心して海外に出て行けるかもしれませんね。
エディターS:
新区長に就任した清家あいさんのもと、今後推し進められる予定のグローバル人育成教育の新しい施策はあるのでしょうか。
やなざわ:
マニフェストとして掲げられた、国際バカロレア校や中高一貫校の設立、インターナショナルスクールの補助、留学支援は、今後順次取り組んでいくことになると思います。しかし、既存の制度や法律の壁をどう突破していくか、現時点では課題が山積みです。私としては、その中でも留学支援は特に活性化させたいと思っています。交換留学制度がある私立の学校と違い、公立校の生徒は留学したいと思っても、渡航先、学校選び、費用、あらゆる点で情報が得にくいという問題点があります。文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」のような支援を港区でも行えたら良いですね。
エディター S:
港区の公立校と海外の公立校で、交換留学を行うというのはどうでしょうか。例えば、カナダの公立校はとても質が高いと言われています。PISAのランキングでは、日本が3位、カナダが8位ですが、日本とカナダの大きな違いは、カナダでは国民の95%が公立の学校に通い、塾に行かずに学力をつけているという点です。移民に寛容なこともあり、ファーストランゲージが英語ではない留学生も多いのでESLも充実しています。ファッションやカルチャーに興味がある生徒は、修学旅行でニューヨークコレクションやミラノコレクションに行ける等、ユニークなプログラムも豊富なんですよ。選択肢を与えて経験させてあげれば、子どもの思考は自ずと海外に向けて開いていくものです。どんどん海外留学に挑戦できるような支援があると良いですね。
エディターA:
公立校への留学なら、ボーディングスクールへの留学と比べると費用を大幅に抑えられるのも魅力ですね。最近は、物価の安いマレーシアやタイ等、アジア諸国への留学や教育移住も人気です。港区にはこれだけの大使館がありますから、是非掛け合ってみていただきたいです。
やなざわ:
日本は家庭単位では子どもにお金をかけているけれど、国や自治体が子どもにかけている予算は低いのが現状です。公立校の教育が充実しているというのは、国民の幸せにもつながることですから、これからも公立校の魅力を高める取り組みをしていかなければなりませんね。
公立、私立、インターナショナルスクール、海外留学、今の時代は選択肢がたくさんあるようで、語学力、情報、費用等、様々なハードルがあって、自由に選択するのは意外と難しいですよね。未来の子ども達のためにも、様々な垣根を越えてもっと自由に学べる環境ができると良いと思っています。そして、そのためにできることを、1つずつ港区から始めていきたいですね。
【港区議やなざわ亜紀さんが港区在住ママエディターと対談。港区グローバル人育成教育の最新事情】
(前編)海外修学旅行も!国際色豊かな港区ならではのグローバル人育成教育