【自然と遊び、生きる力を育む。子どもが主役の移住体験が叶う国内保育園留学】
連載第3回「保育園留学が見つめる未来。無限の可能性を持つ子どもたちのために」

ブライトチョイスでは、幼少期に子どもが夢中になれるような経験をたくさんさせてあげることが、子どもの「自分らしく生きる力」を育むと考えます。自然体験もその1つ。しかしながら、都会で生活していると、自然の豊かな地域で子どもにのびのびと遊ぶ体験をさせてあげたいと願っても、実現するのが難しいというのが現実です。

そんな都会の子育てファミリーの悩みに寄り添う「保育園留学」という1～2 週間の暮らし体験をご存じですか？2021年11月の事業スタート時からこれまで1500組以上の親子が保育園留学を経験し、今も希望者が後を絶たないといいます。

今回は、保育園留学事業を主宰する、地方創生スタートアップ企業「キッチハイク」代表取締役CEOの山本雅也さんにお話を伺いました。当時2歳のお嬢さんとの保育園留学をきっかけに、北海道の小さな町に移住することを決意した山本さん。その子育て観、人生観や、保育園留学事業が描く未来のビジョンには、子育てを謳歌するためのヒントが詰まっていました。


―留学先のほとんどが過疎地域ですね。過疎地域にユニークな保育園やこども園があるのは何故なのでしょうか。

「今留学先になっている約50地域の園の8割近くが過疎地域です。雇用が少なく人口が減っている過疎地域は、農業や漁業など一次産業の盛んな地域が多く、自然が豊かでたくさんの魅力があります。保育園やこども園は、小中学校のように文部科学省の指導要綱があるわけではないので、地域の特色を色濃く生かした個性的な園舎やカリキュラムを柔軟に作ることができるのだと思います。都会暮らしをしている人にとっては、『なんて贅沢な環境なのだろう』と思うようなところばかりです」

―それぞれの園に魅力があり、みんな違ってみんな良いというのが素敵ですね。

「例えば、熊本県天草市の『認定こども園 もぐし海のこども園』は、とてもきれいな海のすぐそばにあって、漁師さんや農家さんが園のアクティビティによく協力してくれるんですよ。サツマイモを掘らせてくれたり、釣りを体験させてくれたり、マグロが釣れたからと解体ショーをしてくれるなんてことも。最近留学先に加わった静岡県掛川市の『カンガルーム掛川』は、資生堂アートハウスのある資生堂掛川工場の広大な敷地内ある保育園です。ここは、アートやビューティーに特化していて、親子でリップグロスを作るというユニークなアクティビティがあります。他にも、長野県上田市の『上田インターナショナルスクール』のように、バイリンガル教育を導入している園もあります。その地域の良さ、保育園の良さをしっかり汲み取りつつ、子育てファミリーの想いやニーズに合わせていく取り組みを、これからもやっていこうと思っています」

―都会の子ども達が、大自然に触れ、新たな人間関係や価値観に触れることは、多様性について学ぶ第一歩になりそうです。

「保育園留学は、留学する側も受け入れる側も、幼いながらも今自分のいる場所をメタ認知するきっかけになると思います。自分の普段住んでいる場所と留学先の地域の生活の違いに気付き"自分"について認識する最初の体験かもしれません。例えば、地域の子ども達からしたら畑できゅうりを収穫するなんてごく当たり前なことだけど、都市部から来た子ども達からしたら特別なわけです。都市と地方の垣根を越えて、それぞれの価値の希少性に気付くという経験は、子ども達が大きくなってより広く世界を見回した時に生きてくることになるのではないかと思っています」

―保育園留学のこれからのビジョンをお聞かせください。

「保育園留学と並行して、小学生留学ができる地域も増やして行けたらよいなと思っています。小学生になった元留学生達から『もう保育園留学に行けなくなってしまってさみしい』、『また保育園留学に行きたい』という声をたくさんいただき、今年の夏に小学生留学をスタートすることになりました。今は7つの地域で行っています。地元の公立小学校への体験入学や夏休みを利用したサマーキャンプ、地元の学童に通うような形式から選択することができます。
もう1つは、留学先納税を増やしていきたいと思っています。留学先納税とは、ふるさと納税の制度で留学先を応援しながら、返礼品で保育園留学の費用の一部を支払うとこができる仕組みです。保育園留学は子育てファミリーだけの為のものではなく、地域の未来も共に担っていく事業です。園の芝生がきれいになる、エアコンが新しくなる等、保育環境をより良くすることに繋がっていく留学先納税は、意義のある取り組みだと思っています。

保育園留学は、今すぐに結果や効果が見えるようなものではありません。子どもたちの20年後、30年後の未来を見据えて、種まきをしていくような事業です。保育園留学を経験した子ども達、留学生を受け入れる経験をした子ども達が、どんな風に羽ばたいて、どんな風に社会をよくしてくれるのか、とても楽しみです」

―子育ても、目先のことに捉われず、長い目で見て子ども達の未来のために"今"本当に必要なものが何なのかを、親である私たちが見極めていかなければなりませんね。最後に、山本さんから未来を生きる子どもたちへメッセージをお願いします。

「どんな時も、自分らしく、希望を描きましょう。希望とともにある人生は、とても豊かで楽しいものです。そして、その希望を、仲間や家族と共有してみましょう。世界中とつながっていく、ワクワクした毎日になりますよ」

【自然と遊び、生きる力を育む。子どもが主役の移住体験が叶う国内保育園留学】
第1回: 育児も仕事も諦めない！保育園留学事業はじまりのストーリー
第2回: 自然が遊び場！大人も子どもも世界が広がる、保育園留学での感動体験
第3回: 保育園留学が見つめる未来。無限の可能性を持つ子どもたちのために(本記事)