人間力を育てるために向き合いたい「今」。子どもとどう過ごし、どう接するか!?

モデルSHIHOが奮闘、日本・韓国・ハワイが舞台の子育て
- 名前
- SHIHO
- 家族
- 3人家族(夫、13歳の女の子)、ミニチュアダックスのキョロ
- 所在地
- 東京
- お仕事
- モデル、ウェルネスアドボケート
- URL1
- SHIHO(@shiho_style)Instagram
- URL2
- Shiho Style
【モデルSHIHOが奮闘、日本・韓国・ハワイが舞台の子育て】
先日、サランが突然、こんなことを言い出してきた。
「ママ、明日は午後から学校に行ってもいい? 天気がすごく良くて、11時ごろには気温も高くなるから、プールに行って日焼けしたいの。一人でね」
えっ⁉︎ と思わず聞き返すほど、突拍子もない話に驚かされて。でも、本人はいたって真剣。
最近の心地よい陽気に、日焼け好きの彼女がうずうずする気持ちも、確かにわからなくはない。
思わず「いいね!」と言いそうになりながらも、学校を休んでプールに行くなんて、常識的にあり得ない!と、グッと気持ちを抑えて、
「ダメよ、学校はちゃんと行かないと。週末にプールに行けばいいじゃない」
と伝えると、彼女はすかさず天気予報アプリを見せながら、
「週末は曇りで気温も低いの。明日だけが絶好の晴天なんだよ!」
と説明してきて。
その瞬間、私は再び戸惑い、「プールくらい、ま、いいよね!」
とノリで言いそうになってしまって(笑)。
というのも、
"その日、その時だからできることを大事にする"、
"心の声を素直に受け止め、行動に移す"
ということが、私自身が大切にしている生き方だから。
彼女の自由な発想や、やりたいことを応援したい気持ちがむくむくと湧き上がりながらも、
「一度OKしたら、次も、またその次も......」、彼女のことだからきっとそう考え始めてしまうはず。
頭の中で"自由を許す"考え方と"規律を守らせる"常識が、天秤のようにがささやき合い始めて。
それでもやっぱり、「学校は行かなきゃダメ。夏休みになったら、好きなだけプールに行けるよ」
と、なだめました。けれど、数日後、サランはまた同じ提案をしてきて、よほど行きたいのだな、と。
私の本音としては、「誰かと同じでなくても、自分の気持ちに忠実に行動するのは悪いことではない」と考えます。学校を休んで一人でプールに行く、という選択やそこへ向かう過程が、彼女にとって新しい世界を見せてくれるかもしれない。普段と違う時間を過ごすことで、彼女にしか見えない景色や、思わぬ出会いがあるかもしれない。そして、ワクワクする気持ちがあれば、挑戦や学びの意欲も自然と生まれてきます。
でも、やはり学校のルールは守らないと! そんな葛藤の末に、2回目の提案のあとは、
「パパに聞いてみて。パパがOKなら、ママもいいよ」
と、パパに答えを委ねてみました。パパはなんていうかしら?とちょっと楽しみに期待しながら。
その後、サランが学校に行ったあと、出張先のパパから早速、電話がかかってきて。
「サランから連絡があったよ。突然 "学校を休みたい"って言うんじゃなくて、ちゃんと理由と計画を立てて、ママにきちんと提案してごらん。そしたらママも理解してくれるかもって言っておいたから。もしそういう提案があったら、しっかり話を聞いてあげてね」
と言われた。
パパは私と同じようにあからさまに「ダメ」と言わず、よく考えて行動する、という判断を伝えたみたい。
さすが、準備と結果を重視するスポーツ選手のパパらしいアドバイスだなと感心しました。
そんな出来事があった数日後、息子さんをイギリスに留学させたママ友とランチをする機会があって。
彼女の次男は、小学1年生の時にオックスフォード大学への見学がきっかけで、小学5・6年生の時にイギリスのサマースクールに参加。そこで英語力を早く身につける必要性を感じたのか、小学校卒業を機に日本の中学へは進学せず、ロンドンの学校へ転校することを自ら決断し、この4月からイギリスへ留学したのです。
彼の新しい生活は、朝から夜まで勉強と運動。夜9時には就寝。スマホも基本的には使えず、1日15分だけ家族との電話が許されていて。そんな環境の中、彼は新しいことをどんどん吸収していて、勉強だけでなく、イギリスでユースのサッカーチームにも所属したのだけれど、あちらに行ってすぐに「クリケットを始めたい」と言い出し、クリケットセットを早速購入して挑戦し始めたそう。
日本にいた頃は、学校の後も、深夜近くまで塾と宿題に追われていた生活が、今は「昼間は学業と運動が中心で、夜は早めにしっかり休む」というサイクルにすっかり変わっていて。イギリスと日本では、環境はもちろん、時間の使い方、学校のルール、規則やその対応がまるで違い、それに彼女は愕然としていて。
同じ青年期をまったく違う価値観や状況で数年間過ごすことは、明らかに成長の過程に違いが生じるのはあからさまに予測がついて。彼女は、日本の学校に通う長男のとの様子の違いを感じて、
「長男の学校は"勉強を教えている"。でも、次男の学校は"人を育てている"」
と言うことに気づいたそう。そんな彼女が言った一言が、あまりにも印象的で。
そういえば、サランの同級生でハワイの小学校に転校した男の子に、「ハワイの学校はどう?」と聞いたとき、「先生が怒るポイントが全然違う」
と言っていたのを思い出しました。
国によって、常識や価値観が全然違うのはわかる。
多感で影響を受けやすい10代のうちに、どんな価値観や経験をしていくかで、将来、子ども達が大人になった時の人生に大きく影響するからこそ、「今の過ごし方」を思わず見直したくなってしまう。
ママ友は、「長男にも1年でもいいから留学してほしい」と切実に願っていて、これを聞いたときに、学業にプラスして"人間力"を育む大切さを改めて考える時間になりました。
「人間力」という言葉を検索すると、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として、力強く生きていくための総合的な力」とあります。
サランが「一人で何かをしたい」と言った行動も、もしかすると"自立"への第一歩なのかもしれません。AIの発展で社会構造が変わりつつある今、"人間力"の育み方もまた変わってきていると感じます。
先日、東京大学と高野山大学が関わる、「命のあり様を考える」マンダラプロジェクトの方とお話しする機会がありました。そこでは、"自利利他"──自分の個性や能力を高めつつ、それを周りの人にも役立てていく、という仏教の生き方が提案されていて、「人間力」を育てる考え方として深く共感しました。
サランが言い出した、「教室より自然の中で過ごしたい」という気持ちも、彼女らしい選択なのかもしれません。
もうすぐ夏休み。海外で自由に過ごす計画を立てていますが、今回彼女が望んだような、"自己発想の時間の使い方"をたくさん経験してほしい。
親や学校では学べない、自然や社会の中にある多様な価値観に触れながら、自立や自己アイデンティティを育み、「人間力」を育てる時間になることを願って──。
〈SHIHOさん連載〉
モデルSHIHOが奮闘、日本・韓国・ハワイが舞台の子育て