日本の子どもだってクリエイティブになれる。幼児教育を実践できるレッジョ・アプローチ!

世界で最も優れた幼児教育レッジョ・エミリア・アプローチ②
- 名前
- 上田 佳美
- 所在地
- 目黒区
- お仕事
- Kodomo Edu International School 代表取締役&エデュケーション・デザイナー
- URL
- Kodomo Edu International School
「世界でもっとも優れた幼児教育の実践法」として注目を集めているレッジョ・エミリア・アプローチ(以下レッジョ・アプローチ)。前回記事では、Kodomo Edu International School(以下Kodomo Edu)代表の上田佳美さんに子どものクリエイティブな力を引き出すレッジョ・アプローチの教育法と哲学についてお話を伺いしました。今回は、レッジョ・アプローチを取り入れたKodomo Eduの日本の子どもたちに向けたプログラムについてお伝えします。
Kodomo Eduは、2017年7月にサマースクールを開校。上田さんがアメリカで出会ったレッジョ・アプローチの「子どもは何歳でも有能である」という理念に共感し、子どもの「できる」を信じる教育を日本にも取り入れたいとまずはサマースクールの開催を実現させました。
2019年4月には常設校を立ち上げ、週2-3回のペースで2〜5歳児を対象にプリスクール、幼稚園と小学生を対象にアフタースクールをスタートさせました。今年の4月からは、フルタイムのプリスクール、サタデースクール、アフタースクール(英語とアートの学童保育)を本格的に始動させ、現在の生徒数は合計で60人ほどです。
「レッジョ・アプローチは非常に幅が広く、哲学的な要素が強いので、人によって捉え方も違います。文化や環境の違う本国イタリアやアメリカで実践されていることを、日本にそのまま取り入れようとしても上手くいきません。そこでKodomo Eduでは、"日本の東京に住む子どもたちに合ったもの"を意識するようにしています」と上田さんはいいます。
現在Kodomo Eduのプリスクールでは、アメリカ人の先生、日本人の先生、ナイジェリア人の先生など、ダイバーシティに溢れたチームと英語で指導しています。
「レッジョ・アプローチの教育哲学に共鳴し、今までの教育法にとらわれず、新しい時代にあった教育方法を見出したいと考えている、前向きで建設的な先生方に恵まれています。」(上田さん)
レッジョ・アプローチは、「教える」のではなく、子どもたちの「好奇心」を引き出す学習内容のため、Kodomo Eduでは日々のアクティビティを「カリキュラム」ではなく、「プロジェクト」と呼びます。季節や自然を常に意識し、「プロボケーション=学びへの誘い」から引き出される、子どもの自主性やクリエイティブな発想に寄り添ったプロジェクトづくりを心掛けていると、上田さんはいいます。
「毎日通う教室を、どうやったらワクワクする環境にできるのかを子どもたちが考えてデザインしたり、外壁にレインボーウォールやツリーアーチを作ったりしました。"環境を自分の手で作りなおす体験"を通して、今まで両親や家族に与えられていたものの中だけで育った子どもたちが初めて、"自分の環境は自分たちの手で変えられる"ということに気づきます。環境への自発的な行動を通して、意識を持ち、社会を変えることのできる子どもを育てます」(上田さん)
また、レッジョ・アプローチを家庭で実践するための保護者向け講座も好評を博し、今後は"家での躾の考え方"についての講座も計画しているそうです。
「自由度の低い日本の教育環境を前時代的だと捉えて自由を求め、Kodomo Eduに通わせる保護者の方も多くいらっしゃいます。レッジョ・アプローチでは発想は自由でクリエイティブで、不正解となる答えはないと考えていますが、自分勝手や、子どもに間違った自由を与えることとは違います。他社と共存する社会の中で、個性を伸ばし、"自分の暮らす環境を大切にすること"や協調性、忍耐力を身につけることが、非常に重要なのです」(上田さん)
子どもたちのクリエイティブな可能性と「できる」を伸ばすプログラム。次回は基礎学力や英語力を高めるアカデミックな取り組みや、子どもたちの卒業後の進路についてお伝えします。
〈連載概要〉
第1回: 世界で最も優れた幼児教育、レッジョ・エミリア・アプローチとは?
第2回: 日本の子どもだってクリエイティブになれる。幼児教育を実践できるレッジョ・アプローチ!(本記事)
第3回: 英語とアートでクリエイティブになるKodomo Eduの英語学童