国際バカロレアの模擬試験、経済学と英語の試験内容とその対策

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DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常

名前
木村紗羅/Sara Kimura
所在地
パリ
お仕事
International School of Paris 学生
URL
International School of Paris

【DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常】

2021年5月某日

経済学の試験は、私が個人的にいちばん対策に力を入れていた科目でした。経済学応用クラス(Higher Level)を選択している私は、Paper 1(インクラスエッセイ風の筆記試験)だけでなく、Higher Level限定のPaper 3(計算問題と短文回答が半々の筆記試験)も同じ日に受けました。

Paper 1(75分間)ではこの1年間でカバーしたミクロ経済とマクロ経済をまとめた85問の問題のうちの2問が出ると言われ、最初は気が遠くなったのを覚えています。
授業で2回ほど練習したことは多少心の支えになっていましたが、85問分のボキャブラリーの定義、正確なグラフと的確な説明、情報を頭に叩き込むのはとても無理だと早くも理解しました。
質問形式の例としては、1問目(パートA)がAnalyse the relationship between the Law of Diminishing Returns and the supply curve(収穫逓減と供給曲線の関係を分析せよ)などで、2問目(パートB)がUsing real-world examples, evaluate rational consumer choice theory(実例を挙げ、合理的な消費者選択理論を評価せよ)です。
これらの問題の違いはパートBで実例が必須であること。そのため、試験の直前までエッセイの説明の一部に使える事例が書かれていないかと、経済新聞を必死に探っていました。

試験を終えて今言えることは、定義の暗記や問題ひとつずつの念入りな復習よりも、大まかな理解が必要だということです。5月28日の朝に出されたPaper 1の問題は、ふたつとも私が事前に復習できていなかったものだったため、授業で先生が話していたことを少しずつ思い出しながら書きました。
テストが終わった瞬間、これからは授業中にメモを取るよりも先生の話をじっくり聞くことを優先して、内容の理解を深めようと心に決めました。
Paper 3の場合は、計算式や経済セオリーをしっかり理解したうえで挑んだので、ほぼすべての問題に回答できました。
ですがひとつ肝心なところを落としてしまったことは試験の後に気づきました。なんと2問与えられた問題のうち、答えねばならないのはひとつだけだったのです。しっかり問題形式や最初のページの概要を読まずに回答を始めてしまったことを後悔しました。

5月某日
英語のテスト対策としては、模擬試験の1週間ほど前にクラスメートと表現技法と文章においてのその効果をまとめた共有ドキュメントを作り、今まで授業中などに書き記したメモなどを加えていました。
実際に本格的な対策を始めたのは前日の午後からで、先生に与えていただいた模擬試験のクライテリア(規範・基準)を丁寧に読み込みました。序論で著者の意図、与えられたテキストの種類、対象読者を書くことなど、クライテリアを読むと、国際バカロレアが求めているものがよく分かります。

実際のEnglish A Lang Lit Standard Level の試験(Paper 1: 75分)というのは、初めて見るテキスト(文章、メディア、写真、風刺漫画など)がふたつ渡され、ひとつを選んで設問に答える形式でした。Higher Levelは2時間15分でふたつのテキスト両方を分析します。
今回の模擬試験の場合、現代の奴隷制度についての人権団体アムネスティ・インターナショナルのウェブページの画像と環境破壊をテーマにした風刺漫画が出され、私はウェブページの方を選択しました。理由は、私のCAS活動で出演の機会を得られたCNNのインタビューのテーマがまさにそのトピックについてだったため、自信を持って書けそうだったからです。
正直なところ、言語能力とは1日でつくものではないので、英語の試験の前日は、何かを頭に詰め込むより、しっかり睡眠を優先することをおすすめします。

試験期間は私の選択科目の都合上、5月25日から28日の間で済ますことができました。
初日の午後にMath Analysis and Approaches Standard Level の試験があり、その翌朝に English A Lang Lit Standard Level の試験、その次の日の午後に日本文学 A Higher Level があって、最終日に生物学と経済学の試験を受けました。私は6つ目の科目として美術を受けているため、筆記試験が他の生徒よりひとつ少なく、5つの試験で模擬試験週間は終わりました。
試験結果は私の場合、1週間半ほどですべての教科分が揃いました。
11年生で1回、そして12年生で2回あるこの模擬試験は、今回が第1回だったので慣れないこともありましたが、結局は緊張しないで挑むことが重要だと強く実感しました。
幸いにも私は初日の数学の試験以外は落ち着いて受けられたので、ひとつの試験が終わったらすぐに次の試験に集中することができました。
身体的にも精神的にもハードな 1週間なので、これから受ける方には、試験内容の暗記よりも理解(暗記したい内容は家族や友達に教えるといった形で勉強すると理解も自然とついてきますよ!)を大切にして、早寝早起きを心掛けて欲しいです。

<連載概要> 「国際バカロレアの日々の学び」を実際の学習現場からお伝えする、木村紗羅さんの体験日記はこちらより
DP履修生が語る、国際バカロレア校のリアルな日常

       
  • 力を入れて勉強した経済学のノート

  • 友人と共有ファイルを作って、英語の模擬試験対策

  • 試験勉強の合間にヴィーガンおやつ

          
  • 模擬試験終了後、クラスメートと記念撮影

  • 経済学の模擬試験を実際に受けてみて、今後の授業の受け方や試験対策法など気づきも多く得られました。試験問題は膨大な学習内容の中から選ばれるので、大まかでも全体の理解を上げることが必要だなと思いました。

  • 英語の模擬試験で重要な用語とその意味などをまとめたGoogleドキュメントを友人たちとシェアし、模擬試験の準備を行いました。

  • 頭を使うとお腹も空きます。おやつにはヴィーガンタルティーヌを作って食べていました。フランスのバゲットはやっぱりおいしいです!

  • 一緒に試験勉強もした大切な友人たち。国際バカロレアは、授業がハードなので、励まし、助け合える友人の存在はとても大きいです。