子どもの創造力を育むには「親子での実体験」が重要!

Choice

創造力を育む「アントレプレナーシップ教育」②

名前
成田 修造
お仕事
起業家・エンジェル投資家
Info
取材・文/小嶋美樹 
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成田修造さんと子育て談義!子どもの創造力を育むアントレプレナーシップ教育
これからの時代を生き抜くための起業家精神を育む「アントレプレナーシップ教育」は、起業家だけでなく、すべての子どもたちに身につけてほしいライフスキルであると、ブライトチョイスは考えます。(参考記事:子どものアントレプレナーシップ教育におすすめの本6選)。自ら課題を発見して解決する能力や、リスクに立ち向かうことで社会の変化に対応して「自分らしく生きる力」を養う精神は、これからの子育てにおいて重要なファクターとなりそうです。

一方で『国際学習到達度調査(PISA)』において、日本は全3分野(数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー)で上位をキープするなど、日本の小学校や中学校の義務教育の水準は世界的にみても高く評価されています。この日本の小中生の高い学力を、未来のイノベーションに活かすためには、正解のない問題に対応できる柔軟性や問題解決能力、自由な発想力、創造力が必要でしょう。

今回は、ブライトチョイス編集長の佐久間麗安が、起業家・エンジェル投資家として活躍し、2児の父でもある成田修造さんにインタビュー。現代の日本教育の問題点や子どもの創造力を育む方法などに関してお話を伺います。

ブライトチョイス 佐久間:
我が家は現在、13歳になる息子が留学中なのですが、海外に出てみて、改めて日本の子どもたちの基礎学力の高さを実感しています。ただ、この日本の小中高生の高い学力が未来のイノベーションに活かしきれていないようにも感じるのですが、今の日本教育で足りない点は何なのでしょう?

成田(敬称略):
日本の学生には、蓄えた知識や能力を「実社会でどのように活かすべきか」という創造力が足りないように感じます。基礎力はあって、与えられた問題をペーパー上で解くことは得意なのですが、自らが問題提起を行うことや、自分なりのアプローチを考える経験値が圧倒的に不足しているように思うのです。

長年、偏差値の高い大学に入ることが教育の目的になっていたので、ペーパーテスト以外での知識の活かし方が分からないのかもしれませんね。蓄積した知識を活かし、課題解決のためのアイデアを生み出すための創造力を育む教育が、今後は重要になってくるでしょう。

ブライトチョイス 佐久間:
そこを打破するためには今、何をすべきだとお考えですか?

成田:
日本の学校教育に、そこを補うための急速な改革を求めるのも現実的ではない気がします。そこはある程度、親が家庭内でできることでもあります。子どもの創造力をくすぐるような刺激を、親があらゆる方向から与えてあげればよいのだと思っています。

ブライトチョイス 佐久間:
家庭内で親がどのような働きかけをすればよいのか、良い方法があれば具体的に紹介していただきたいです。

成田:
創造力を育むためには、親子でさまざまな場所に足を運び、実物を見て、体験することが大切だと感じています。思い返してみると、僕も子ども時代、両親の趣味に付き合ってあらゆる所に連れていかれた覚えがあるんですよね。坂本龍一さんのコンサートに行ったり、国立西洋美術館のマティス展に足を運んだり。

最初は、親の知的好奇心に無理やり子どもを巻き込む形でもいいのだと思います。僕自身も、そのときはすごく楽しかった覚えはないのですが、それらの経験が、無意識のうちにその後の人生に影響を与えていることは間違いない気がします。

ブライトチョイス 佐久間:
「子どもの好きがよく分からない」という親御さんも多いかと思うのですが、まずは大人の好きな場所や興味ある分野でよいのですね。

成田:
我が子が今後、何に興味を持つのか、向いているのかは、親だってなかなか分からないじゃないですか? さまざまな経験を通して、その子にとっての「きらりと光る何か」が見つかるかもしれませんし、蓄積された経験がいつか何かに繋がるかもしれない。僕だって、今でこそ広い分野に興味関心があるタイプですが、14歳くらいまでは決して好奇心旺盛な子どもではなかったですからね。

ブライトチョイス 佐久間:
ちなみに、成田さんの7歳になる娘さんはアートにご興味があると伺いましたが(※連載①)、そのきっかけになるような出来事があったのでしょうか?

成田:
僕が好きだったので、物心つく前から、ギャラリーや美術館にはよく連れて行きました。絵の具をぶちまけて一緒に絵を描いて遊びもしましたし、その影響は少なからずあるのではないでしょうか。ちなみに息子は、プラモデルやロボット作りが好きですし、最近はチェスやマジックにもハマっています。日頃から、子どもが興味を持ったことは積極的にやらせるようにしています。

ブライトチョイス 佐久間:
そういった経験を通して、お子さんたちの創造力も育まれていったのでしょうね。他にも「子育てで大切にされていること」があれば教えてください。

成田:
「人生は、面白い人との出会いが重要だよ」ということは、よく子どもたちに話している気がします。出会った誰かが自分を引き上げてくれたり、肯定してくれることで道が開けることもある。それは僕自身が身をもって経験してきたことでもあります。「これから先、絶対にそういう出会いがあるから、そこは大切にするんだよ」と、子どもたちには話して聞かせています。

〈連載概要〉
成田修造さんと子育て談義!子どもの創造力を育むアントレプレナーシップ教育
第1回:子育てにとって大切なことは?「起業家精神」と「人生の設計図」について
第2回:子どもの創造力を育むには「親子での実体験」が重要!(本記事)
第3回:起業家が学校でも身近な存在に! 変わる教育現場と「動画」からの学び

〈アントレプレナーシップ教育関連記事〉
子どものアントレプレナーシップ教育におすすめの本6選

       
  • アート好きな娘さんが描いた絵

  • 青森県立美術館

  • マティス展

          
  • 7歳になる娘さんは、今はアートの世界に興味があるそう。「子どもたちには、こちらから何らかのヒントを与え、そこから本人が興味を持てばチャレンジさせるようにしています。娘の4歳の誕生日にプレゼントしたバイオリンは、残念ながらあまり長続きしそうにありませんが、それはそれでよいとも思っているんです」

  • 娘さんと一緒に足を運んだなかでも、成田さんのお気に入りの美術館が青森県立美術館なんだそう。「青森県立美術館にある奈良美智の巨大アート作品『あおもり犬』の大きさには娘もびっくりしていましたね。他には、香川県の直島は、外を散歩しながらいろんなアートに触れることができた良い思い出です」 ※画像は「青森県立美術館」公式HPより

  • 「僕が小学生の頃、父に連れられて上野の国立西洋美術館のマティス展に足を運んだことを今でも覚えています」。お父様はアートに造詣が深かっただけでなく、哲学的な素養もお持ちで、成田さんが生まれ育った家には数千冊もの本が置かれていたそうです。 ※画像はイメージです