子育てにとって大切なことは?「起業家精神」と「人生の設計図」について

Choice

創造力を育む「アントレプレナーシップ教育」①

名前
成田 修造
お仕事
起業家・エンジェル投資家
Info
取材・文/小嶋美樹
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成田修造さんと子育て談義!子どもの創造力を育むアントレプレナーシップ教育
これからの時代を生き抜くための起業家精神を育む「アントレプレナーシップ教育」は、起業家だけでなく、すべての子どもたちに身につけてほしいライフスキルであると、ブライトチョイスは考えます。(参考記事:子どものアントレプレナーシップ教育におすすめの本6選)。自ら課題を発見して解決する能力や、リスクに立ち向かうことで社会の変化に対応して「自分らしく生きる力」を養う精神は、これからの子育てにおいて大切なことだと言えそうです。

一方で、現在の日本の学校教育では、子どもたちに自分の人生に当事者意識を持たせることやプランを創造させることが難しいとも感じられます。また「好きなことや夢中になれることを見つけられない」という悩みも多いのではないでしょうか。次世代を生きる子どもたちが、好奇心をもって「自分らしい人生」を描けるようになるために、私たち親ができることは何でしょうか?

そこで今回は、ブライトチョイス編集長の佐久間麗安が起業家・エンジェル投資家として活躍し、2児の父でもある成田修造さんにインタビュー。子育てや教育について、また私たち親が大切にすべきことに関してお話を伺っていきます。

ブライトチョイス 佐久間:
ブライトチョイス読者からは、「今の教育だけで良いものか、これから必要な教育とは何か」という声を聞くことが少なくありません。子育てにおいて今、私たち親は何を意識すべきだとお考えですか?

成田(敬称略):
テクノロジーの進化によって加速度的に変化してゆく現代において、「親世代の経験値が自身の子育ての参考になりにくい」というのが、今の子育ての難しさだと思います。それどころか、誰かが作った数字で測る「学歴主義」という名の競争ゲームに勝つための教育が、日本ではいまだに横行していること自体に違和感を覚えるほどです。

偏差値の高い学校に入ることよりも大切なことは、「自分の人生をどうプランニングしていくのか」という設計図を、子ども自身に思い描かせることだと僕は考えています。

ブライトチョイス 佐久間:
我が子に人生の設計図を描かせるために、親はどのような働きかけをすればよいのでしょう?

成田:
「自分はどんな人生を送りたいのか」と、日頃から子ども自身に考えさせることが大切ですが、最初から1人で抱えるには難しい課題ですよね。だから、まずは親御さんから「自分はこういうことを考えていて、こんなことに興味がある」「こんな人生を送りたいと思っている」と、お子さんに話して聞かせることから始めればいいのだと思います。

ちなみに、我が家の7歳の娘は僕が日頃からそんな話ばかりするので「人生ってさ、ってまた話すんでしょ?」なんて言うようになりました(笑)。

ブライトチョイス 佐久間:
7歳の娘さんともそんなお話をされるのですね。ずいぶん早いような気もします。

成田:
年齢なりの話をすればいいので、歳は関係ないですね。ちなみに娘は、将来はアーティストになりたいそうで、最近は「世界中を旅しながら、住む場所を決めたい」「仕事をしながら子どもも欲しいから、そこはママにサポートしてもらうつもり」なんて言っています。「そのためにはどれくらいお金が必要で、どういう働き方だったら実現可能だろうね?」と、親子で話しています。

ブライトチョイス 佐久間:
親御さん自身が「人生への当事者意識と設計図」を持っていなければ話せないことでもありますね。

成田:
そうですね、そこが大前提かもしれません。そのなかで、親の価値観を一方的に押し付けるのではなく「僕はこういう考えで日々生きているけど、あなただったらどう?」と、子どもと対話することなのだと思います。

僕は我が子に「どこの学校に進学したほうがいい」とは絶対に言いません。親が人生のゴールを設定するのではなく、「いつか自分自身で決めるんだよ」と話しているんです。「そのためにはどんな選択が最適で、今は何をすべきか」という問いをつねに考える習慣のある人間になって欲しい、というのが僕の唯一の願いです。

ブライトチョイス 佐久間:
一方で、先行きの見えない時代、子育てはある種の冒険のようなものなので「自分自身が経験してきたたしかなもの」にすがりたくなる親御さんの気持ちも分かる気がします。

たとえば私自身は、我が子をインターナショナルスクールに入れ、中学受験を検討したものの、長男は海外にスポーツ留学することを自分自身で決めました。子どもの選択を応援したい気持ちがありながらも、一般的な日本教育のなかで育った私にとってはあまりに未知の領域で、今も不安を抱えているのが本音です。

成田:
不安を覚えながらも試行錯誤し、進み続けることもひとつの選択肢だと思います。これだけ急速な変化の渦中だと、親世代にはほとんどが未知の領域です。自分の人生にはなかった新たな挑戦を選択した場合、ある程度のリスクを伴うのは当たり前のこと。リスクを取りながらも、その選択を良いものにすべく子どもと共に試行錯誤するのもありなのではないでしょうか。

ブライトチョイス 佐久間:
成田さんが提言されている「何かに依存するのではなく自立して、リスクをとってでも人生を自分でマネジメントする」という起業家精神は、子どもの人生の設計図を考える上で親が参考にすべき哲学なんだと思います。

成田:
「偏差値の高い有名大学を卒業して、大手企業に入る」という成功概念の枠組みから飛び出した人が活躍する時代が、すでにやってきています。リスクをうまくとることで人生が好転することもある、ということをぜひ子育て世代の親御さんにも知ってほしいなと思っています。

〈連載概要〉
成田修造さんと子育て談義!子どもの創造力を育むアントレプレナーシップ教育
第1回:子育てにとって大切なことは?「起業家精神」と「人生の設計図」について(本記事)
第2回:子どもの創造力を育むには「親子での実体験」が重要!
第3回:起業家が学校でも身近な存在に! 変わる教育現場と「動画」からの学び

〈アントレプレナーシップ教育関連記事〉
子どものアントレプレナーシップ教育におすすめの本6選

  • 今話題の、成田さんの最新著書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』には、苦境のなかで大学に合格し、起業家としての成功を得るまでの成田さんの半生が綴られています。これからを生きる子どもたちと、子育て世代の親に参考となる哲学が満載の一冊です。

  • 大学4年生の頃、クラウドワークスの創業者である吉田浩一郎さんに声をかけられたことがきっかけで入社を決めた際の1枚。「僕が入社した2012年当時、クラウドワークスのメンバーは吉田さんを含め3人。僕は4人目として参画しました。人生が大きく舵を切った日の記念すべき1枚です」