海外で子育てをする私が日本語以上に娘に伝えたい「日本人らしさ」

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海外移住&教育のリアル②パリ編

名前
藤原淳/June FUJIWARA
家族
フランス人の旦那、11歳の娘
所在地
フランス・パリ
お仕事
著作家
URL
June Fujiwara | 藤原淳 lit.link (リットリンク)
URL1
Instagram @junettejapon

子どもの未来を想うとき、選択肢は日本国内だけにとどまりません。グローバル化が進む今、世界の教育はどのような現在地にあるのでしょうか。
本連載では、シンガポールパリマレーシアカナダなど、世界各地で子育てを経験したファミリーによる「リアルな教育事情」をバトン形式でお届けします。
学校選びのこだわりや現地に通わせて初めて見えた理想と現実、そして次なる進路への決断まで。国や文化は違えども、そこにあるのは家族が真剣に子どもの学びをデザインした等身大のストーリーです。
わが子に合う教育のカタチとは?世界を巡る家族の足跡から、これからの子育てのヒントを見つけてみてください。

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海外移住&教育のリアル②パリ編】
【vol.3:海外で子育てをする私が日本語以上に娘に伝えたい「日本人らしさ」】

私はパリに住んではや28年になります。
気づけば、東京よりもパリで過ごした時間の方が長くなりました。
長年ファッション業界で働いていたこともあり、こちらのエディター達からは「もっともパリジェンヌな日本人」などと言われることもあります。
確かに私は、日本にいた頃よりもずっと、自分の意見をはっきり言うようになりました。
「嫌なものは嫌」と言うようにもなりましたし、周りの空気よりも自分の気持ちを優先することも増えました。
拙著『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)でも書かせて頂いた通り、少しずつ「自分軸」で生きることができるようになったのだと思っています。

けれども、そんな私が、自分の個性の中で一番大切だと感じているのは、実は「日本人らしさ」です。
長年海外に住んでいる方なら、きっと共感して頂けると思うのですが、日本は本当に素晴らしい国です。
特に私は、日本人特有の感性や習慣に、年々強く惹かれるようになりました。
細やかな気遣いができること。
対立よりも「和」を大切にすること。
言葉にならない感情を、そっと察しようとすること。
無駄を削ぎ落とした先にある美しさ。
季節の移ろいに敏感であること。
そういう感覚は、日本を離れて初めて、その繊細さに気づくものなのかもしれません。

私はどう転んでも日本人です。
それは隠すものではなく、大切にするべきもの。
そして誇りにしてよいものなのだと、今は心から思っています。
だからこそ、フランス生まれフランス育ちの娘にも、そう感じてもらいたいのです。

海外で子育てをしていると、「どうやって日本語を維持するのですか?」とよく聞かれます。
もちろん、日本語を学ぶことは大切です。けれども最近の私は、日本語以上に、「日本人らしい感覚」を伝えることの方が大切なのではないか、と感じています。
例えば、食事の前に「いただきます」と言うこと。
玄関で靴を揃えること。
相手の気持ちをまず考えてみること。
そんな小さな感覚の積み重ねの中にこそ、日本人らしさは宿るのではないか、と私は思うのです。

我が家では、お雛様や七夕など、季節の行事もなるべく大切にしています。
旬の食べ物を食べること。
四季の変化を感じること。
「丁寧に生きる」という感覚を、日常の中で自然に伝えていけたらと思っています。
そして、そのような感性は、娘が将来どこに住んでも、何語を使って暮らしていても、彼女の中に息づき続けると思いたいのです。

近年、フランスでの日本人気はますます高まっています。
「Hanami(花見)」「Mochi(餅)」「Saké(日本酒)」といった言葉は、すでにフランス語として定着しつつあります。
しかも最近は、単なる食やアニメだけではなく、日本の精神性や美意識そのものに興味を持つフランス人も増えてきました。

数年前から私は、そのような日本人らしさをフランス人向けに紹介する本を執筆、出版しておりますが、彼らの反応の深さには毎回驚かされます。
日本人以上に、日本文化の繊細さを丁寧に言語化しようとするフランス人も少なくありません。
一方、最近では日本でもインバウンドの増加により、外国人と接する機会が急激に増えています。
これからの時代、多言語、多文化の環境で生きていくことは、特別なことではなくなっていくのでしょう。
だからこそ私は、「自分が何者なのか」を理解していることが、以前にも増して大切になると感じています。
自分は日本人であること。その感覚を、自分の振る舞いで、きちんと伝えられること。
それは、語学力以上に大切なことなのかもしれません。

そして子どもは、親が「教えたこと」以上に、「親がどう生きているか」を見ています。
親自身が、自分の文化を愛しているかどうか。
結局、一番伝わるのは、そういう部分なのではないかと思うのです。

〈連載概要〉海外移住&教育のリアル
①シンガポール編
第1回: インターナショナルスクール選びのラプソディ。わが家の選択の理由 (2026.05.28)
第2回: いざ入学!子どもたちがどっぷり浸かったSASでの学校生活 (2026.06.09)
第3回: 変化を恐れず、自分らしく。シンガポールでの教育と未来へのステップ

②パリ編
第1回: 私がフランスで「インター」ならぬ「バイリンガル校」を選んだ理由
第2回: 「正解」よりも「考える力」をフランスの教育が重視する本当の理由
第3回: 海外で子育てをする私が日本語以上に娘に伝えたい「日本人らしさ」(本記事)

       
  • 日本の文化や生活習慣に触れる時間

  • 季節行事を大切に

  • 短冊に願い事を

          
  • 娘のために

  • 小さい頃から神社巡りが好きな(渋い)娘は神様、ご先祖様にいつも何をお願いしているのでしょう。手水鉢で身体も心も清める。お賽銭をする。風鈴の音に耳を傾ける。こんなところに日本文化の美しさが秘められていると感じます。

  • 桃の節句には邪気を払う役割もあるそうです。実家に大切にとってあったお雛様をパリに運び、大変ですが毎年飾るようにしています。

  • 娘の大のお気に入りは七夕。友人宅の庭から毎年笹を一本拝借し、折り紙の飾りつけをします。短冊は「日本語で書かないと願い事叶わないよ」ということで(笑)、いつも日本語で書かせています。

  • 東京生まれ、東京育ちの私と、パリ生まれ、パリ育ちの娘。私が伝えたいこと、伝えられることってなんだろう、といつも考えています。