ハワイの学校で教わる大事なことのひとつ、"My body is special"とは
ハワイ移住したエディターReiko H.の、子育て奮闘記
- 名前
- Reiko H.
- 家族
- 3人家族(夫、6歳女の子)
- 所在地
- アメリカ・ハワイ
- お仕事
- 編集、ライター
- URL
- Precious Hawaii with Kids
- URL1
- rei
- URL2
- Instagram@Reiko H.
【ハワイ移住したエディターReiko H.の、子育て奮闘記】
うちの娘は今1st gradeですが、
昨年、キンダーに入学した頃のこと。
ハワイの学校でどんなことを教わっているんだろう?と、私は興味津々でした。
まだ学校が始まったばかりの10月。
「今日は学校でこれをやったの!」と持って帰ってきた冊子は
『Let's talk about touching』というタイトル。
何の話だろう?と私は初め想像がつかず、開いてみると、
それは子どもの性的虐待を予防するための教育でした。
男の子と女の子の可愛いイラストともに、
それぞれprivate parts(大切な部分)はどこ?と、丸をつけるよう促し、
「あなたの体はSPECIAL」であること、
そして「あなたの体はあなただけのもの」であること、が太字で強調され、
「その体であなたは素晴らしいことがたくさんできる」と、
サッカーをしたりダンスをしたり、楽しいことをしている絵が描かれています。
そしてさらに、Good touchingとBad touchingの違いを教えています。
例えばお友達とハグしたり手を繋いだり、一緒に遊んだり、
犬や猫やペットに優しく触れたりするのはGood touching。
でもあなたを不快にするようなタッチ、痛かったり嫌な気持ちになるタッチには、
NO! と言うべきだ、と。
娘が教わってきた重要なポイントは2つ。
1.No one should touch my private parts unless it's keep me healthy.
2.No one should ask me to keep a secret about touching.
1.は、親やお医者さんなど、あなたの健康を守るために触れる以外は、
誰もプライベートパーツには触ることができない。
続いて、私の興味を引いたのは2.の、"Secret Touching"について。
ーー誰かが、あなたの大切な部分に触ってそれを内緒にしてと言うのは
絶対にOKではない!Never okay!
"Secret touching"のことを誰かに伝えるのは怖いかもしれない、
特にそれがあなたが大好きな人にされたことなら、なおさら。
なぜならあなたはそれが自分のせいなんじゃないかと思うかもしれない。
でも"Secret touching is NEVER YOUR FAULT!!"
決してあなたのせいじゃないの!ーー
と、子どもに向けて強いメッセージが書かれていました。
そして、「もしそんなことが起きたら、信頼している人にまず伝えましょう」
というページがあり、
娘は自分で、学校では先生、家ではパパとママ、と、絵を描いていました。
「絶対にSecretにせず、信頼できる大人が理解して信じるまで、
伝え続けること」を、徹底的に確認をしている様子。
冊子の最後には、親へのアドバイスがまとめてあります。
ーーあなたは子どもの人生における一番の先生です。
子どもを性的虐待から守る大事な役割があります。
毎日の日常の中で、子どもに教えることができる機会はたくさんあります。
あなたが子どもに教えてあげられること:
⚫︎あなたの体はあなたのもの
⚫︎誰もあなたのプライベートな部分を触ることができない。健康を守るためじゃない限り。
(例えばお医者さんに診てもらうときや、親が子どもが届かない部分を洗うとき)
⚫︎もし誰かが、あなたの気分を害するようなやり方であなたを触ることがあったら、
誰か信頼できる人に伝えること
⚫︎そしてもしそんなことが起きても、それは決してあなたのせいではないーー
当時娘は5歳になったばかり、
日本で言えばまだ幼稚園の年中〜年長さんの年頃です。
そんな時期からこういう教育を受けるのか!と、
アメリカはいかに性的虐待が深刻な問題になっているのか、を
私は改めて感じました。
NY州を含む38州(2024年現在)で、
キンダーから8th gradeの全生徒にこの指導を徹底する
Erin's Lawという法案が可決されているそうです。
保護者にも、家できちんと子どもとその話をシェアして
機会があるごとに話し合うように伝えられます。
そのErin's Lawのサイトによると、
2歳頃からこのことを教えるようにと書いてあります。
物心つく前から正しく教えることで、
性に対する恥ずかしさや偏見がなくなる、と。
また、そのサイトを読んでいて
私がハッとしたのが、
ーーNever force your children to give people hugs and kisses.
Let them make that decision.
They need to be empowered and know they are the boss of their bodies.
(子どもに誰かにハグしたりキスしたりさせようとしてはいけない。
彼らに自分で決めさせなさい。
彼らの体は彼らのものだから、その権限を与えるべきだ)ーー
なるほど。
ハワイはみんなハグするのが挨拶的なカルチャーもあって、
例えば娘が帰り際に手を振ってバイバイするだけだと、
つい私は「ハグは?と」言ってしまいがちだったのですが、
それは、親しい人といつもハグしている私の姿を見て学んで行けばよくて、
幼い頃からあまり促し過ぎるのも良くないのかも?
そんな風に考えたことがなかったので、なるほど、と、
勉強になりました。
日本で育った私にしてみれば、
この教育はひとつのカルチャーショックでした。
娘は学校で習ってきたこのトピックスを自慢げに私に話してくれて、
みんなで楽しい歌にのせて学んできた様子で、
その歌も聞かせてくれました。
そして1st gradeになった今年もまた早速、同じくこの授業があったよう。
毎年毎年、繰り返されるのでしょう。
年齢に応じて繰り返し伝えて行く、そこにもアメリカの本気を感じます。
日本にいると何となく蓋をしてしまいそうなことですが、
学校で、しかもオープンに楽しく学ばせるやり方。
最初は驚きながらも、
私にとってアメリカの性教育について知ろうとする第一歩となりました。
子どもたちの大切な体を守るために、
幼い時期から成長段階に応じて性への理解を深めていく、
これは私たち親にとっても「何をどう伝えるか?」という
大きな課題だなと再認識させられました。
〈Reiko H.さん連載〉
ハワイ移住したエディターReiko H.の、子育て奮闘記