子どもの中にある心のスイッチの話

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エッセイスト久住あゆみが綴る、年子男子の子育て日記

名前
久住あゆみ / Ayumi Kusumi
家族
4人家族(夫、8歳と7歳の男の子)とミニチュアダックスのココ
所在地
東京都
お仕事
エッセイスト、元モデル(お休み中)
URL
久住 あゆみ / Ayumi Kusumi インスタグラム
URL1
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エッセイスト久住あゆみが綴る、年子男子の子育て日記

「大丈夫。スイッチが入る時がくるから。
それまで待とう」

夫婦で子育ての話になった時、
夫がよく口にするセリフです。

スイッチが入るとは?

それは情熱を感じるものと出会い、
理想が明確になり、そこに向かって、
努力するという意識に目覚めること。


現在8歳の長男。
サッカースクールに入会して、
2年ほどが経ちました。

彼にとってサッカーとは
「いっぱい走り回れるから、楽しい!」
それ以上でもそれ以下でもないもの。

ボールに触れる時間は
週に一度、一時間の習い事のみ。
 
息子にサッカーを勧めたのは夫です。
夫は青春時代をサッカーに
全身全霊で捧げてきたような人で、
サッカーとなると、とにかく熱い。

自分を形作る上で大切なことの
ほとんどはサッカーから学んだ!
と言い切るほど、
このスポーツに特別な思いを抱いています。

息子にサッカーを好きになってほしいのは
サッカーを通じて学んでほしいことが
あるからだと言います。

それは、諦めない気持ちだったり、
チームワークだったり、
勝ち負けの喜びと悔しさ、
地道な努力を続けることetc...
夫自身が経験してきた
数えきれないほどたくさんのもの。

毎週の習い事への
付き添いはもちろんのこと、
『キャプテン翼』の漫画を全巻揃えて贈ったり、
休日は朝から「サッカーしよう!」と
息子を公園に誘い出したりしていましたが、
なんだかずっと空回り状態...。

 
それでも息子にスイッチが入るその時を
信じて待っていた夫でしたが
その日は突然訪れたのです...!

2022FIFAワールドカップ

幸運にもチケットが手に入り、
夫と長男がカタールでの現地観戦をすることに。

初めて目にする本物のサッカー選手たち。
日本代表チームはもちろん、
国を背負った一流選手たちの本気のプレー。

会場全体を包み込む、
むせ返るような熱気と迫力。
みんなで心をひとつにして勝利を願う
心が浮き立つような高揚感や連帯感。

その場で感じたこと
すべてが規格外だったようです。

一瞬にして息子の中の意識がパチン!と
切り替わりました。

彼の人生で初めて訪れた
「スイッチ」が入った瞬間。
 
それからというもの
すっかりサッカー中心の生活に。

帰国してからは、

家にいる時はサッカー関連の本を読むか、
さまざまな過去の試合や、
スター選手のプレー動画を繰り返し見る。
ゲームソフト類までも
サッカー関連のものに総切り替え。

放課後にはボールを持って公園に一目散。
友だちとサッカーの練習に明け暮れる。
土日は早起きして夫と公園で朝からサッカー。

暗記するのに苦労していた
国の名前や国旗なども
ワールドカップをきっかけに
あっという間に覚え、プロの食事やトレーニング方法を調べるなり、甘いおやつを断ち、タンパク質中心の食事を希望するように...。笑

今までほとんど話すことのなかった
サッカースクールのコーチにも
「最近急に上手くなりましたけど、何かあったんですか?」と嬉しい声がけをいただいたりして。

何より嬉しいのは
そんな息子の変わりっぷりに、
「スイッチ」本当にあったんだ!と
信じることができたこと。

スイッチが入るタイミングというのは
いつ訪れるのかわからない。
入らない時は一向に入らないし、
入る時は一瞬で入るもの。

それはスポーツでも、
勉強でもなんでもそうなのかもしれません。

そのために親ができることがあるとすれば...
子どもたちをよく観察して
スイッチのキッカケになりそうなものを
目の前に置いてみることくらいでしょうか。

だけど、できることはそこまで。

馬を水辺に連れて行くことはできても、
水を飲ませることはできない。

機会を与えることはできるけど、
それを実行するかどうかは本人のやる気次第。

その事実は少し寂しくもあり、頼もしくもある。

親としての一番の仕事は信じて待つこと。
そして、スイッチが入ったタイミングで
必要な手助けができるようにしておくこと。

なかなか精神力のいることでもありますが、
子どもを信じて何事もスイッチが入るまで
根気よく待てる親でありたい。
そう改めて、思いました。

今回はたまたまサッカーでしたが、
どんなものだっていいんです。

「好き」なものを見つけて、
それに熱中し、追いかける過程で、
いろいろな感情を経験することこそが、
その人を形作っていく。

だからこれからも
夢中になれるものを見つけてほしい。

そして、そんな子どもたちの姿に
わたしは夢中になってしまうのでしょう。

PS.
最近の眠る前の読み聞かせは『キャプテン翼』
面白くてなかなか終われず、
みんなで寝不足になりそうです。笑


<久住あゆみさん連載>
エッセイスト久住あゆみが綴る、年子男子の子育て日記

       
  • W杯現地観戦にカタールへ

  • 会場の熱気を全身で感じて

  • さまざまな国の子どもたちとも接して

          
  • 帰国してからは…

  • 次男にもよい影響が!

  • 初めての父と長男の二人旅。夢が大きく膨らんだ旅となりました。

  • この日は日本がドイツに勝利した歴史的快挙の試合。その瞬間に立ち会えるなんて…! 日本代表のみなさま、ありがとう!

  • 会場付近では各国の子どもたちと遊ぶこともあったようです。モロッコから応援に来ていた男の子と友だちになったようで、モロッコがベスト4入りした時は「あの子、今頃すごい喜んでいるね!」と盛り上がっていました。

  • 帰国後は、パジャマも私服もユニフォーム。日本代表選手はもちろん、世界の大スターのユニフォームも。大きめサイズを買って大切に長く着るつもりのようです。

  • 長男の熱に押され、サッカースクールをずっと拒否していた次男があっさり入会。笑 心のスイッチは伝染するようです。