オリジナルの子ども服に、本当の「自分らしさ」を詰め込んで

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俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

名前
野波麻帆 / Maho Nonami
家族
4人(7歳と5歳の女の子)
所在地
東京都
お仕事
俳優、「himher」デザイナー
URL
野波麻帆(@mahononami)Instagram

俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

2013年に長女が産まれてから私は、初めて子ども服というジャンルに触れることに。そして、誰かの服を選ぶという事に幸せを感じるようになりました。
髪を急に青にしたり金髪にしたりしてお洒落を楽しんでいた母の影響か、私自身も小学生の時から服が大好き。毎日仕事で忙しかった母でしたが、休みの日は買い物へ連れて行ってくれ、あれやこれやと言いながら一緒に服を選ぶことが、私と母の大事なコミュニケーションの時間だったように思います。
そんな私は、16歳の時に応募した事務所のオーディションに受かり、役者を始める事に。すぐに行われた撮影現場で、青いペディキュアをして撮影に行った際、スタッフの方にキュッキュッとその爪をリムーバーで落とされながら、「君自身は真っ白でいないと。これから皆で色をつけていくんだからね」と言われ、物凄く違和感を感じました。

ということは? 私は色があってはいけないの? 本当の自分らしさは?
勿論、演じるうえでは自分を排除してから役に向き合うのはわかる。仕事ではない時は? 普段はどうして生きていれば良いのだろうと、疑問が生じました。とはいえ好きな物は変えられない。仕事上、野波麻帆として皆様の前に出る時は俳優らしいスタイルだけど、好きだった音楽の影響もあり、プライベートはクラブに行ってDJをしたり、ファッションも古着を混ぜたりしながら奇抜で派手な自分をキープ。そこに自分らしさを思いっきり投影してストレスを発散していました(笑)。
そんな噂が広まったのか、20代の時は洋服のスタイリングの仕事もするように。友人の雑誌連載のスタイリングや、大好きなアーティストのライブ衣装、自分が出演したドラマ『モテキ』の土井亜紀役のスタイリングも担当したり。洋服と向き合っていた時間は、自分の人生の中でかなりのエネルギーを使い、心の大きなスペースを取っていたように思います。

そんな私が母になり、愛する娘の服を選ぼうと探してみた時。「あれ、こんなに少ないの?」というのが第一印象。可愛いと思えるものは海外ブランドが多く、メイドインジャパンはもちろん作りは良いけどデザインは退屈なものが多かったり。毎日着る肌着や泥んこになる消耗品は大型店舗でも全然いいけど、「ちょっとしたお出かけや記念日の時のお洋服ってこんなにフルフリさせちゃうモノばっかりなの?!」とか、「子どもなのに社会人なりました的なコンサバ感はなぜ?!」などと、子ども服売り場で、ううんううん、と唸るようになってしまいました(笑)。普段にも使えて、記念日でも可愛らしくカッコ良く、デザインもシンプルで、着る時に自分らしさをプラスできる様なものはないのかな、と真剣に考えるように......。
ひたすら考え抜いて、同じ意見だった主人と共に子ども服を作ってみよう、と立ち上げたのが『himher』です。全部2人でやっていたので、子ども達が寝静まったあとデザインソースの共有をして話し合ったり、時には意見がぶつかり険悪な雰囲気になったり(笑)。でも「好き」の価値観がとても似ている私達は、周り回っても結局落ち着く所は一緒。

デザインはシンプルでありながらも『himher』らしさがある事。男女の兄弟でも着回せるもの。
子ども達がいつか家族を作り子どもが出来た時にも、世代を超えて古着となり着せたいと思えるデザインと質である事。親子で肌と肌を擦り合わせながら過ごすとっても短い、愛が溢れる幼少期。たくさん思い出が詰まっているのにサイズアウトで捨てる時、心がキュッと痛む切ないこの感じを無くしたい。また下の兄弟へ、愛する友人のお子さんへ、いつか産まれてくるかもしれない子どもの子どもへ、愛を繋げていける服でありたい。
15歳の時、中学校の卒業式で着る服が私服でよいのに、なんとなく皆紺のブレザーにシャツという同じスタイルなのに違和感を感じ、母に相談すると「皆と一緒にする必要はないよ。あなたが好きなのを着なさい」と言われ、1人ギンガムチェックのセットアップで行った私。
子ども達はいつか、ギュっと繋いでいた手を離れ、自分で立ち、彼らの価値観で好きな物を見つけ世界を作っていく。
自分らしさが少しづつ作られていく幼少期だからこそ、一緒に選んだ服が失われることなく、ふと大人になって見たアルバムの中で記念日におめかしさせてもらった写真なんかに、数えきれないほどの「愛しい」が散りばめられていた事。洋服を通じて、「あぁ、愛されていたんだ」と感じて貰えたのなら、愛が循環してつながり、もっと良い世の中になるのでは.....。なんて願いを心に、次のデザインを考える日々です。

〈野波麻帆さん連載〉
俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

       
  • 初めてのテスト撮影

  • 母と私

  • インビテーション

          
  • 初めての展示会

  • 新しいシーズン

  • 『himher』のために、初めて実験的に作った洋服たちを持って、テストシューティングをしに2歳の娘とハワイへ。喜んでモデルになりきってくれました(笑)!

  • 母はいつもお洒落でした。姉が小さい時は急に青い髪になったりもしていた様ですが(笑)。私、7歳の頃。

  • 初めて自分たちが作った『himher』の服をお披露目する展示会のインビテーション。このエプロンドレスは、その後のコレクションでも登場し、たくさんの方に愛されるものになりました。

  • 『himher』初めての展示会。下の子を抱っこしながらの設営。オープンしてからの5日間、本当にびっくりするくらいたくさんの人が来てくれた事、友人たちが助けてくれた事、すべてが嬉しくて幸せで、最終日はこっそり泣きました。たくさんの人に支えられブランドがスタートした記念日です。

  • 『himher』も今年で5年目。先日、ルックを撮りに家族で千葉へ行ってきました。変わらずカメラマンはいつも主人。スタイリングは私。