小さな種蒔きから収穫まで。子どもの成長を重ねる、ファームの時間

自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける“心の余白”
- 名前
- 山脇道子 / Michiko Yamawaki
- 家族
- 3人家族(夫、6歳の息子)
- 所在地
- 東京
- お仕事
- スタイリスト・クリエイティブディレクター
- URL
- 山脇道子(@MICHIKO YAMAWAKI)Instagram
【自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"】
この春、息子が小学生になりました。ついこの間幼稚園に入園した気がするのに、子どもの成長は本当にあっという間です。
一緒に登校していると、「もうここからは一人で行ける!」と、自分で歩いて行きたがることがあります。いつの間にか自分の足で前へ進もうとしている。その姿に成長を感じ、とても頼もしく思います。また放課後は、校庭で上級生たちに混ざって楽しそうに遊んでいる姿を見かけることもあり、こうして少しづつ親離れをするのだなと実感しています。
親として願うことはたくさんあります。勉強ももちろんですが、それ以上に、たくさん遊び、たくさん挑戦してほしいと思っています。息子には、仲間と一緒に何かを目指す楽しさを知ってほしいと思っています。
うまくいかない悔しさや、ぶつかり合うこともあるかもしれません。でも、その先にある達成感や、勝ったときの喜びをみんなで分かち合う経験は、きっと大人になってからも支えになるはずです。
そしてもう一つ。東京で暮らしていると、便利なものはたくさんありますが、自然の中で思いきり遊んだり、土に触れたりする機会が限られています。だから私は、これからもできるだけ息子を自然の中へ連れ出したいと思っています。
先日、NASU FARM VILLAGEで念願だったニンジンの収穫体験を開催しました。畑でニンジンを収穫し、その場で洗い、馬たちへ届ける。そして最後には、「またおいしいニンジンが育ちますように」と願いを込めて、新しい種も植えました。
土に触れながら息子は、
「ニンジンって、どのくらいで育つの?」
「人間も、葉っぱを食べられるの?」
と、スタッフの方へ次々に質問していました。
スタッフの方は一つひとつ丁寧に答えてくださり、ニンジンが育つまでのことや、ファームで大切にしている循環についても教えてくれました。
学校の教科書で学ぶことも大切ですが、自分の手で土を触り、野菜を収穫し、動物と関わる中で生まれる「なんで?」は、きっと特別な学びなのだと思います。
ニンジンは土の中で育つこと。そして、そのニンジンを馬たちが食べ、馬たちの堆肥がまた畑を豊かにして、新しい野菜を育てること。自然の中では、すべてがつながり、巡っています。
息子も、スタッフの方の話にじっと耳を傾けていました。その小さな循環の一部を、自分の手で収穫し、触れ、感じられたことは、とても貴重な経験だったのではないかと思います。
小さな種を一緒に土の中に埋めながら、子どもの成長もどこか似ているのかもしれないと思いました。
種をまいたからといって、すぐに芽が出るわけではありません。雨の日もあれば、暑い日もあります。時間をかけて土の中で根を張り、少しずつ成長して、ようやく収穫の日を迎えます。
子育てもどこか似ているような気がします。大切なことはすぐに身につくものではありません。
自然の中で何かを見つけて遊んだこと。
誰かと力を合わせたこと。
悔しい思いをしたこと。
それでもまた勇気を出して挑戦したこと。
そんな一つひとつの経験が、見えないところで根を張り、その子らしい力になっていくのだと思います。
今回のニンジン収穫体験も、土の感触や、ニンジンを抜いたときの驚き、馬たちが美味しそうに食べる姿、スタッフの方とのやり取り。そんな記憶の一つひとつが、いつかどこかで芽を出してくれたらうれしいです。
親にできることは、大きく育てようと引っ張ることではなく、種をまき、水をあげ、信じて待つことなのかもしれません。
息子がこれからどんな花を咲かせるのか。楽しみに見守っていきたいと思います。
〈山脇道子さん連載〉
自分らしく働き、育てる。暮らしの中で見つける"心の余白"