ゲームを手放して、外の世界へ。子どもが出会う「夢中」はどこにあるのか

ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース
- 名前
- 秋元玲奈 / Rena Akimoto
- 家族
- 5人(8歳の男の子、4歳の双子の男の子)
- 所在地
- ロンドン
- お仕事
- フリーアナウンサー
- URL1
- 秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
- URL2
- Rena Akimoto Official Website
【ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース】
イギリスで暮らしていると、5月のハーフタームは親にとって一年でも屈指の試練だと感じます。
一週間ほど学校が休みになるのですが、海外旅行をするには短く、かといって家でじっと過ごすには長い。国内で過ごす家庭も多いのですが、毎年頭を悩ませるのが、その「過ごし方」です。
我が家には8歳の長男と4歳の双子がいます。当然のように、休みに入った瞬間から始まります。
「ママー、ゲームやっていい?」
普段は週末だけというルールにしている我が家ですが、今年はさらに厄介な条件が重なりました。まさかの熱波です。
エアコンのないイギリスの家は、暑さに驚くほど弱く、大人も子どもも家の中でぐったり。何も予定がなく、外に出るのも億劫になると、ゲーム機はとてつもなく魅力的な存在になります。それと同時に「このまま『暇だからゲーム』が当たり前になってしまったらどうしよう」と、親としてとても不安な気持ちになります。
そこで我が家は翌日から、突然の「キャンプ祭り」を開催することにしました。幸い、公園がすぐ近くにあります。午前中はサッカーキャンプやテニスキャンプへ参加し、その後は芝生でピクニック。午後はプレイグラウンドで思い切り遊ぶ。気づけば朝から夕方まで、ほぼ一日を公園で過ごしていました。
もちろん親は大変です。水筒を探し、おやつを配り、帽子をかぶせたと思ったらすぐ脱ぎ、転んだ子を励まし、砂だらけになった服をはたく。その繰り返しです。
それでも、汗だくになって遊びながら、
「まだ帰りたくなーい!」
と叫ぶ子どもたちの姿を見ると、不思議と安心するのです。
ゲームよりブランコ。
ゲームより海賊ごっこ。
ゲームより砂遊び。
少なくとも今の彼らの身体は、まだ画面よりも外の世界に強く惹かれています。翌日、私の肩には見事な日焼けの跡が残りました。ヒリヒリと痛む肩を見ながら、なぜか少し誇らしげな自分がいました。
そして、今回のハーフタームでゲーム離れを大いに助けてくれたものが、もう一つあります。LEGOです。以前から好きではありましたが、この休みで再び大ブームがやってきました。長男は毎朝早起きをして、朝食より先に創作活動に取りかかります。ゲームのことなどすっかり忘れている様子です。
そして何より面白いのが、三兄弟それぞれの取り組み方の違いでした。
長男は4歳の頃から説明書をじっくり読み込み、その通りに組み立てるタイプでした。8歳になった今では、もはや職人のようです。難しい作品を何日もかけて少しずつ完成させ、その集中力には親の私が驚かされます。
一方、4歳の次男は完全に自己流です。説明書は一応眺めますが、すぐに自分流の組み立て方に切り替わります。なんとなく形にはなるものの、説明書に載ってる完成形とはやや異なる見た目。それでも本人はとても満足そうです。
そして三男は甘えん坊の共同制作タイプ。私が隣にいれば驚くほど順調に進むのですが、「ちょっと洗濯機回してくるね」と席を立った瞬間、
「できなーい!」
と半べそになります。
同じLEGOで遊んでいるだけなのに、性格や考え方の違いが驚くほどよく表れます。教育の世界では「個性を伸ばす」という言葉をよく耳にしますが、それは特別な教材や習い事だけで育まれるものではなく、一箱のLEGOを囲む何気ない時間の中にも静かに現れているのかもしれません。
そして今回、私自身が感じたことがあります。
近年、「ゲーム依存」という言葉を目にする機会が増えました。親としては、ついプレイ時間ばかりを気にしてしまいます。「今日は何時間やったのか」「ルールを守れたのか」。そんな数字ばかりに目が向いてしまう日もあります。
けれど、このハーフタームを過ごしていて思ったのは、本当に大事なのはゲームから引き離すことではなく、それ以上に夢中になれるものを一緒に見つけることなのかもしれない、ということでした。
サッカーの日もあります。
テニスの日もあります。
LEGOの日もあります。
そして、それは必ずしも親が用意した「正解」である必要はありません。
説明書を隅々まで読み込む子もいれば、最初から自己流で組み立てる子もいる。隣に誰かがいてくれる安心感の中で力を発揮する子もいる。同じおもちゃを前にしていても、そこには一人ひとり違う世界が広がっています。
子どもは、好きなものに出会うと驚くほどの集中力を見せます。そして、その姿を見ていると、親がするべきことは「ゲームをやめさせること」ではなく、「その子だけの夢中」を見逃さないことなのだと思えてきます。
今年のハーフタームは、ゲーム時間を減らすことには成功しました。その代わり、私の肩は真っ赤に焼け、体力も見事に削られました。それでも日焼けの跡を見るたびに、「悪くない一週間だった」と思えるのです。ゲームから遠ざけることが目的なのではなく、その先にある「何かに夢中になる喜び」を一緒に育てていくこと。その時間に付き合ってできた肩の日焼けは、私にとってこのハーフタームで得た、何より誇らしい親の勲章でした。
〈秋元玲奈さん連載〉
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