私がいなくても歩き出せる!? サランに新たな扉が開いたとき
モデルSHIHOが奮闘、日本・韓国・ハワイが舞台の子育て
- 名前
- SHIHO
- 家族
- 3人家族(夫、11歳の女の子)、ミニチュアダックスのキョロ
- 所在地
- 東京都
- お仕事
- モデル、ウェルネスアドボケート
- URL1
- SHIHO(@shiho_style)Instagram
- URL2
- Shiho Style
【モデルSHIHOが奮闘、日本・韓国・ハワイが舞台の子育て】
夏休みに、韓国でモデルレッスンしていたサランですが、先日タイミングよく、その韓国で広告のオファーをいただき、撮影をすることになりました。
積み重ねてきたレッスンの成果が出てくれるといいなぁと思いつつ、撮影当日、朝から彼女を連れて、指定のヘアサロンへ。1時間後、ヘアメイクを終えたサランに会ったら、なんと、クールな彼女とは180度違う、とってもラブリーなキャラクターに大変身していたのです!
その時の彼女の顔と言ったら、自分自身と仕上がったヘアメイクとのギャップに戸惑っているようでした。流石にテンションがちょっと落ち気味だったので、ヘアメイクさんに彼女のキャラクターや撮影イメージや着る服などを再確認。初っ端から、「ヘアメイクさんに彼女の気持ちを伝える」という作業が始まってしまいました。
モデルの立場からすると、撮影のメインは自分ではなく、あくまでも"商品"。モデルの仕事って、いかに"服"や"商品"を素敵に見せることができるか! だから、ヘアメイクについてとやかく言う立場にはないのだけど、現場で "らしく" いれることも大事だったりするので......娘のテンションを上げるためにも、コミュニケーション。
現場では、心に違和感を抱えたまま撮影するよりも、考えや気持ちを伝えて、クリエイションしていく過程が面白かったり、大切だったりします。その時のポイントは、決して自己満足させるための会話ではなく、よき作品作りのためのテーマやイメージ確認であることのような気がします。
この日もまずは、撮影で "撮りたい女の子像" をみんなで確認共有。その上で、ヘアメイクと彼女の気持ちとの折り合いをつけていきました。ヘアメイクさんと再度、イメージやメイクについて話しながら、ヘアに使うリボンの色やリップの色についてご相談。サランにも理解してもらいながら、ヘアメイクを最終整えていきました。
次は衣装。こちらも、普段、彼女が絶対に着ないようなワンピーススタイルに、またもや戸惑っているように見えたのですが、
「自分の好きな服ではなく、クライアントが着てほしいものを着る。それをよく見せるのが、モデルの仕事なんだよ」と、彼女に説明。
実際に袖を通して、スタッフみんなから "可愛い" を連発されると、ヘアメイクも手伝ってなのか、不思議と本人はまんざらでもなさそうで、だんだん気分が乗ってきている様子。
こういう、気持ちの切り替えができるかどうかって、モデルの才能あるかも!? な瞬間だったりします。"気持ちが乗る"、"乗れる"って、モデルには実はとっても大事なポイント。写真では、見せることより、気分を作り出す方が、結果、いい写真が撮れたりするんですよね! 気分=ムードって大事なんです!
いよいよスタジオに入って撮影が始まると、やはり久々なこともあり、表情が固め。本人もみんなに乗せられてはいるものの、なんだか"らしく"いれない自分にぎこちなさを感じているよう。
どうしてあげればよいかと考えているときに、彼女から突然、
「自分の好きな曲かけていい?」とリクエストが。
「わかったよ!」と、スタジオさんが、彼女の携帯に入ってる音楽に変えた途端、いつもの彼女がムクムクと生まれ出した。あら? 今にも踊り出しそうな感じ!? もしや、歌ってる!?
そんな彼女のノリに合わせて、フォトグラファーの方も、
「ハナ、ドュー、セー(1、2、3)」や、「チョワヨ!(いいね)」、「チャレヨ!(上手)」
を大声で連発。そうなったら、現場の空気も一変。
さらに撮影が進むにつれて、笑顔を続けるのに困っているかも? と思ったので、
「カメラのレンズの奥に、お客さんのみんながいて、この商品いいよー!って、おすすめするようにしてみて!」と、アドバイスしたら、理解したのか、表情が一気にガラッと変わったんです。
そうしたらもう私の出番はおわり! で、あとは、現場スタッフとサランのクリエイションにお任せ!
そんな感じで、紆余曲折しながら進んだ撮影でしたが、結局、洋服2着の2ポーズで撮影した写真のカット数は、全部で約700枚。
たった数枚の仕上がり写真を撮る長い時間の中で、文句ひとつ言わずに最後までやりきれたのは、2歳から十数社というクライアントと仕事を積み重ねてきた基盤があるからかもしれないです。
「彼女はプロだよ」
娘が幼少期の頃に仕事をしていたときに、マネージャーが私に言った一言を思い出します。
広告の仕事は、現場でどんなに頑張っても、どんなにうまくできたとしても、クライアントからのOKが出ないと終われない。幼少期、母親の私がいると甘えてしまうからと、マネージャーに言われて撮影現場には立ち会わないようにしていたのですが、撮影をいくつもこなすうちに培ってきたプロ根性が、再び芽生えていたようです。
撮影後、彼女の晴れやかな生き生き輝く笑顔を見れて、安心感と、私がいなくても歩き出せる、彼女の新たな扉が開いた瞬間を見たような気がしました。
そんな彼女に「よかったよ!」と伝えたら、一言、「I know」という返事! そしてすかさず、
「頑張ったから、ママのお金で、私の好きなものを買って!」と、おねだりまでされてしまいました(笑)。娘って、親よりも1枚も2枚も上手です。
振り返ってみて感じるのは、いつもどんな時も、彼女は周りに恵まれているということ。今回の撮影もそうですが、幼少期にしていたレギュラー番組でも、スタッフが本当に親戚のように和気あいあいとし、親しみを持てる人達ばかりでした。
マネージャーはどんな時も彼女の味方で、クライアントもいつも温かい眼差しで彼女を見守っていてくれています。現場スタッフは、熱意をもって、良いことや求めるものが何かをはっきりと伝えてくれる。
そのおかげで、みんなで何かを作り上げる、その過程をいつも心から楽しんでいて、この時間が大好きで喜びを感じているのがすごく伝わってきました。
もしや、モデルの目標ができたかしら? と、彼女に質問してみたら、
「I want to be a movie director!」と、私の予想を超える、何やら違う夢が思い浮かんだ様子(笑)。
ここからが、また始まり。努力を続け、準備ができた人にチャンスが訪れるものだと思うから。
モデルに留まらず、創造力に長ける彼女の個性がひろがるよう、新しい扉がさらに広がっていくことを願いたい。
〈SHIHOさん連載〉
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