長女と長男をシュタイナー学校に通わせたきっかけとその大きな魅力とは。

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パリを拠点に世界を巡る。心と体にフォーカスした育児

名前
木村章鼓 / Akiko Kimura
家族
4人(16歳女の子、9歳男の子)
所在地
パリ
お仕事
バースドゥーラ(バースファシリテーター)
URL
オーガズミック ランドスケープ by LOVEドゥーラAkiko 

【パリを拠点に世界を巡る。心と体にフォーカスした育児】私が最初にシュタイナー教育に興味を持ったきっかけは、母の本棚にあった、ドイツ文学者で日本にシュタイナー教育を広めた子安美智子さんの著書『ミュンヘンの小学生ー娘が学んだシュタイナー学校』(中公新書)を読んだことでした。
母は、シュタイナー学校で使用する、木箱に入った蜜蝋クレヨンを、私に与えていたくらいなので、幼い頃から私も自然とその影響を受けていたと思います。
また、私自身、20代初めにイタリア・ボローニャの身障者施設に住み込みのボランティア留学をし、乗馬セラピー、畑での収穫、食事づくりなど、作業を通じてコムニタ(共同体)の概念を肌で学んだことや、結婚し、母となり、自然なお産のあり方についてつねに考えるようになったことも、私たち家族をシュタイナー教育に結びつけたことと深い関係があります。
長女がキンダーガーデンの入園年齢に達した頃に暮らしていた、スコットランド・エジンバラにあったシュタイナー学校の見学に訪れた日、その空間の心地よさ、そこで働くスタッフの毅然とした態度、先生方の慈愛溢れる姿に「何とかしてここに娘を通わせたい!」と思ったのです。
とくに印象的だったのは、入学前に面接を受けたときのこと。
子どもたちをお腹に宿していた妊娠期の出来事から出産のあり方までを丁寧に聞き取られました。面接にも来ていた目の前の成長した子どもを、生まれる前からの様子も含め、トータルで見守るという教育理念に深く共感を抱きました。
静謐な空気感の中で赤ちゃんが誕生するように、シュタイナー学校では、先生方の立ち居振る舞いもどこまでも穏やか。
結局、長女をエジンバラとロンドン、長男をロンドンのシュタイナー学校に通わせましたが、7年の時差を経て2つの学校を体験してみて思ったのは、スマートフォンの普及やSNSの発達によって、今から約13年前のエジンバラ時代には想像できないくらいシュタイナーコミュニティは活気づいたということです。
表立っては一切宣伝もせずに、淡々と実践されてきたシュタイナー教育ですが、今、他国のシュタイナーファミリーが同じ価値観のもとに繋がり、国を越えた大きなムーブメントになっているとさえ感じています。

       
  • 校舎自体にも教育理念が感じられて

  • おもちゃ作りが大好き

  • お気に入りのツリーハウス

          
  • 特別な日のパン作り

  • 手作りの運動会

  • 放課後は家に集合

  • ロンドンで通っていたシュタイナー学校。この美しい螺旋階段の裏側は、子どもたちにとって絶好の隠れ場でした。温かみのある校舎の雰囲気もシュタイナー学校の特長です。

  • 3歳からロンドンにあるシュタイナー学校のキンダーガーデンに通い始めた長男。そこで受けた影響から、その辺にあるようなもので何時間もおもちゃ作りに没頭するように。

  • 学校の中にあったツリーハウスは、長男の大のお気に入りスポット。”ハウス”といっても、丈夫な板を重ねただけの場所だけど、子どもはここで自由に想像力を使って遊んだもの。

  • シュタイナー学校では、お祝いのときなどに生徒たちに特別にパンを焼かせてくれます。しかも幼稚園児から小学生まで協力しあって、棒の先に生地を巻きつけ、少しずつ火で炙っていくのです。

  • オリンピックと呼ばれる、シュタイナー学校の運動会。子どもたちは、腰紐を編むところから始め、布の裁断や刺繍まで、すべて自分で作った衣装を纏い、参加。

  • 娘が10歳の頃。ロンドンのシュタイナー学校の同級生たちは放課後、よくうちに集まっていました。この子たちは、何もなくても遊びを作り出すのが本当に上手。