娘もママも、いまを「生きてる」ってことが、最もリアルで美しい!

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パリからLAへ移住、EMIKOのティーンガール子育て

名前
EMIKO
家族
18歳と16歳の女の子、フォトグラファーの夫と4人家族
所在地
アメリカ・ロサンゼルス
お仕事
モデル、「nanamina」バイヤー、プライベートシェフ
URL1
EMIKO (@emikohanawa) Instagram
URL2
nanamina

パリからLAへ移住、EMIKOのティーンガール子育て

アメリカは8月後半、もしくは9月初旬から新学期が始まります。うちの娘たちは、長女のナディアがCity Colledgeでのオンライン講座が始まり、次女のマリナは今年で高校3年目。テニスも始まり、毎日のようにクラブ活動に励んでいます。

長女のナディアは、カレッジ生活のスタートと同時に初めてアルバイトをすることになりました。
友人も働くブティックだそうです。講座はオンラインなので、時間通りのカリキュラムは組まなくてもいいようで、バイトが休みの日にまとめて課題をやっています。

アルバイトの話しをすれば、カリフォルニアの最低時給は今、16ドルです。ナディアと同じお店に務める女の子の友人(19歳)は、マネージャーをしているので時給が30ドル超え! その上売った商品につきコミッションも付くので、月の収入が約5000ドルと言います。最近一人暮らしを始めて、とてもいいエリアのプール付きのアパートに引っ越しました。残業などはもちろんないし、週5日出勤です。物価は高いLAですが、やはり日本の労働事情と比べると、アメリカの方がモチベーションが高まる働き方だなとつくづく思います。

そんな中、私はパリのモデルエージェントにも入ることが決まりました。Martine's women model agencyというところで、私がすでに所属しているNYのIconic Focusと同じように、モデルの経験のある、一定年齢(35歳くらい)以上が多く80歳を超えるベテランのモデルも所属しているエージェンシーです。

なぜ今こんなに若くない、いわゆる熟女の年齢層が受けているのかというと、広告が" Reality"というものに力を入れるようになったからだと思います。BLMやLGBTなどもその一環かもしれませんが、女性は若くて綺麗な人ばかりではありません。もちろん生きていれば年だってとるし、体質的に太ってしまう人もいます。私は太る体質ではないので、スタイル維持には苦労していませんが、LAに住んでいると肌だって焼けるし、シミだってできてきます。

だけど、今の広告業界はその"生きている証し"みたいなものをポジティブに受けとってくれます。ありがたい時代に生かされているものです(笑)。

それこそ30年前は黒人のモデルだってすごく少なくて、特に雑誌や広告ではほとんど見かけませんでした。国民にはこんなにも黒人がいるというのに。一方今なんて、BLM以降広告はほとんど褐色のモデルたちです。逆に白人で、しかも金髪はほとんど仕事がない状態です。30年前と正反対。私がオーデションを受ける際によく「No Blond」と書いてあるのです。

私は、肌の色とかは関係なく、広告にはやはり見た目に惹かれるモデル、一般の人が広告を見て購買力が湧くようなモデルが広告に出るべきだと思っています。きっとそれは、自分とかけ離れたスーパーモデルではなく、少し努力をすれば手に届くような"憧れの要素を持った美"が備わるモデルたち。アメリカやヨーロッパにはたくさんの人種が住んでいます。多様性のある文化を背景にもつ国は、広告ももっともっと多様化が必要です。

ファッションや美の世界にもこの多様化の影響力が強くて、私はその恩恵を受けている、というわけです。まさか、異国の地で50歳手前にモデルの仕事ができるとは数年前まで思ってもいませんでした。31歳で子どもを産んでから子育てに没頭していたので、もうモデルの仕事にはあまり縁がないと思っていたのです。

だけど、とある広告に誘われて、久しぶりに撮影をしてみると、とても楽しくて、本来の自分を強く感じたんです。それは、自分の中で眠っていた何かが目覚めたような感覚でした。それから縁があって、LA, NY, Parisのエージェントと契約しました。マネージャーたちも経験のある女性ばかりのエージェントです。

今日、巨匠Peter Lindberghのかつてのインタビューを見ていました。彼がインタビューの最初の方で、「あなたにとってのBeautyとはなんですか?」という質問に、「自分は、かつて『VOGUE』でフィーチャーされていたようなお金持ちの旦那さんを持つ、上流社会の女性たちには惹かれなかった。街を歩いていて、子どもを育てていたり、労働しているリアルな女性に"美"を感じたんだ。だから僕は、そういう設定で写真を撮ることにしたんだ」と答えていました。

彼は歳をとった女性もとても美しく撮ることのできる数少ない写真家でした。誰もが撮ってもらいたいと思う写真家でした。美しいドレスやメイクがなくても、その女性の持つ内面からの美しさ、強さ、気品が彼のフィルターを通して私たちに届けられました。その写真には多くの人が心を奪われ、女性に自信を与えてくれたのだと思います。

私は、自分の肉親を幼くして失うという体験をしています。だからこそ、こうして毎年歳を取れることが本当に幸せで、アンチエイジングよりも「With Aging」だって思うんです。コロナだってそう。菌はどうやったってこの世に存在するものだから恐れて家に閉じこもったり、マスクで顔を隠すより、人間の免疫を高めたり、より強く、健康な体になってWith コロナで生きないともったいない、って思うんです。

子育てだって同じ。どんどん大人になっていくふたりの娘たちが、見た目だけではない「生きる」というリアルな美しさを知ってくれることこそ、子育てなんだと感じています。

思いっきり空気を吸って、お気に入りの口紅を塗って、街に出て社会に笑顔を振りまく! 私たちが生きている証しをもっともっと出していこう、って思いながら毎日過ごしています。

〈EMIKOさん連載〉
パリからLAへ移住、EMIKOのティーンガール子育て

       
  • 茶道

  • ピーター・リンドバーグ

  • 学校のペット

          
  • わたし

  • 数ヶ月前からお茶(表千家)を習い始めました。全く縁のなかったお茶の世界は未知なことばかりで、体も頭も全く覚えてくれませんが、新しいことを学ぶのはとても楽しいです。この日は裏千家の先生が、私たちのお茶の先生のご自宅に来られて和菓子の教室を受けましたお茶を通して、日本の文化を知るのが今とても新鮮に感じています。

  • こちらが、私の見た写真家ピーター・リンドバーグのインタビュー。英語の分かる方は是非聞いてみてください。

  • マリナの膝に乗っている巨大ヘビは、なんと学校のペットです。とても人懐っこいらしいです。授業中もおとなしくお膝で寝ています。

  • 年を重ねてきたからこそ、表現できることがきっとあります。