おとぼけ長男、家出する。思春期男子の子育てで、親ができることは
愛が重めの七転八倒の子育て in フランス
- 名前
- はずき/HAZUKI
- 家族
- 5人(14歳の長男、11歳の次男、8歳の長女)
- 所在地
- シンガポール→フランス
- お仕事
- 主フ
- URL
- Hazuki🇸🇬『簡単ご飯』と『3人子育て日記』
【愛が重めの七転八倒の子育て in フランス】
こんにちは。
すっかり日本も春になった頃でしょうか。
何度もお伝えしておりますが、
こちらは南国、相も変わらず暑い日々が続いております。
ただ、5月は中でもとっても暑い季節。
湿気と灼熱の太陽で体感温度は大変なことになっております。
さて、今回は
我が家の長男にまつわるお話を。
長男を知っている私の友人の中では
いつもいつもいーーーつも褒められる長男。
「穏やかだよね~」とか
「お手伝いすっごくするよね」とか
「素直だよね~」とかとか。
でも、彼とのジャーニーも数知れず。
ただ、その頃の私は三番目の娘が生まれ、
そちらに気を取られていて忙しく、
記憶が乏しくなっています。
時間にも記憶にも余裕が生まれた今
目立つ動きをする次男ばかりに目がいってしまって
我が家の異端児はミラクル次男!となっていますが、、
過去を忘れているだけ、
しっかり長男もやってくれていたのでした。
本題に入りましょう。
長男が家出をした時のお話。
それは彼が13歳の時のお話です。
6歳ごろからなんとなく続けている(言い方!)サッカーが
体格やスキルも含め
本格的になりつつあって
お世辞にも上手いわけではない長男はサッカーで自信をなくしている頃でした。
当時の先輩方が本当に上手で上手で。
なのでチームとしてまとまっているものの
ピリっと感もどこか漂う、、的な。
そんな中、彼らのサッカー観戦を許された日、
(その頃は観にこないで~の一点張りだったのです。)
試合のレベルが高くて
驚いたことを今でも覚えています。
サッカーに疎い私には
みんなみんながJリーグの選手に見えたほど。
スピード感、迫力、キック力が素晴らしくて
それはそれは見応えがありました!
相手チームも大変強く、
互角な戦いではあったものの
しっかり勝利を収め
素晴らしいの一言だったのです。
が、、、、
私には長男のプレーだけが気になりました。
上手いとか下手とかはわからないのですが
なんとなく「遠慮している」ように見えたのです。
そして、それをもちろん伝えるワタクシです。
だめですよ、そんなことしては。
でもしてしまうのが、ワタクシです。
はい、事件はそこで起こります。
「うっせえ。サッカーしないお前に言われたくねえ!」
といきなり長男爆発。
「お前」なんて、それまで言われた事などなかったので
一瞬、頭の中で怯んだ私でしたが、
負けない私は
そんな暴言を吐きながら
生春巻きを取ろうとした長男に
(試合観戦後のディナー中でありました。)
慣れた手つきのお箸で一撃
「はあ? お前って誰に言ってるの? そんな言葉使うなら出て行け!」
はい、そこからは
瞬きすらできないくらい
一瞬の出来事。
何も持たずに
さっとお店を出て行った長男。
瞬く間に走ってどこかへ行ってしまいました。
静まり返るテーブルで
ミラクル次男の一言
「あーあ。ママさ~、ママはピックピックしすぎなのね。(※ピックアップしすぎと言う、ミラクル用語です)
全部それ、プレッシャーなのね。僕たちは、ママに言われなくても頑張ってるのね。」
えー!
えー!!
えー!!!
思いっきりプレーしていいと思うよ!
だって、試してみないとわからないじゃない!
失敗したっていいんだよ!
って言っただけなのに?
何がピックピック?
頭がくらくらしましたが
とりあえず、その場は夫に任せて
(夫は仕事の電話をしてて、現場には介入しておらず、、気づいたら長男いない状態)
長男を探すべく追いかける、、、
が
見つかるわけもなく。。
そこからが長かった
暗黒の4時間。
辺りは暗くなってくるし、
ここがディズニーランド王国シンガポールで良かったと
思いつつも
このまま帰ってこなかったら
どうしよう、、と
心配で、生きた心地がしませんでした。
辺りも静まり返り、
すっかり夜が深まってから
家の勝手口に戻ってきた長男。
勝手口というところが
思春期の密かな抵抗です。
流石に
すっかり冷静さを取り戻していた長男
「何してんの!心配したでしょー!」
と、昭和の恋愛ドラマさながらに
手に持っていたタオルを投げつける私。
目も当てられないカッコ悪い母親です。
「また、ママは、出て行ってと言っちゃうかもしれないけど
その時はもう絶対出て行かないで!心配すぎるから!」と
泣きながら意味不明な訴えをする母親を優しい眼差しで(諦めの眼差しか?)
見つめつつ、コクリとうなづく。。
もはやどちらが大人かわかりません。
私を知っている友人の皆様は
容易に想像できたと思いますが、
もちろん、その後、
冷静になった長男をいいことに
私が試合観戦後に伝えたかったことを
懲りずに伝えた私なのでした。
そんなはちゃめちゃな夜を過ごした翌日、
やっと冷静になった私はやっとやっと
長男の当時置かれていた立場に気づいたのでした。
置かれている立場というか、
上手な先輩方のいる中で
そんなに上手いわけでもない
自分の居場所を必死で見つけようとしていた
もしくは、
そこまで具体的にわかることすらなく
なんとなく、モヤモヤしていた、、、
急に周りが見えだす思春期という
ステージで
静かにもがいていたのだと。。
ああ、わかってあげられなくて
ごめん。
こちらの懺悔とは相反して
その日から
なんだかすっごく不明な自信に溢れ出した長男。
「家出してやった」という
自信と言ったらいいのでしょうか。
こちらは混乱する一方な流れでしたが
でも、明らかに、元気で明るい。
こうやって思春期は
まるでパチンコ玉のように
ぶつかりながら
成長していくんだということを
学んだ長男の家出事件でした。
そして、もう一つ
私が学んだこと。
私は「出て行け」というワードがいけなかったと思っていたのですが
そうではないことに
気づいてしまいました。
思春期の彼らが抱える爆弾など
こちらは正直全て把握できるわけがありません。
そんなサイキック能力なんぞありません。
だから、
こちらが放つどんな言葉も
思春期の彼らのその時の状況や
瞬間的な気持ちによって
起爆剤になりかねないのです。
ということはですよ。
私たち親にできること、、は
「思春期軍団が冷静になった時に、あ、帰ろう、と思える愛で溢れた家を整えておくこと」
だけなんだって。
「お家を愛で満たしておく」
それだけが
唯一の親ができることなんだって
改めて思わされたわけです。
事実、暗黒の数時間
暗闇で家出した長男を待ちながら、探しながら
思ったことは
「ママは、ピックピックするかもしれないけど、でもいっぱいいい思い出もあるよね? それをお願いだから思い出して いい思い出もあることを思い出して」
だったのです。
子育ては本当に大変です。
でも、難しくしているのは本当に
私たち(私だけかな?)親で
ただただ、愛を持っていれば
子どもたちは自分で育っていくのかな
と
思ったりする出来事だったのでした。
絶妙なタイミングで
真理をついてきたミラクル次男には
MVP賞を捧げたいと思います。
<HAZUKIさん連載>
【愛が重めの七転八倒の子育て in フランス】