西表島での自然体験!コロナで失いつつあった人間らしさを取り戻す

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子どもの未来をクリエイトする、国際政治学者の個性派子育て

名前
三浦瑠麗 / Lully Miura
家族
3人(9歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
国際政治学者
URL
三浦瑠麗(@lullymiura) instagram

8月の夏休みは、東京人にとってなかなかしんどいものだったはず。子どもはコロナ休校期間中に体を満足に動かせなかったせいか、イライラしやすくなっていました。さらに夏の東京は暑い。そこで、子どもを連れて西表島の星野リゾート「西表島ホテル」に行ってきました。

西表島を訪れるのは初めてでした。美しい手つかずの自然、豊かに生い茂るジャングル、優しい波がひたひたと足を濡らす白い浜辺、ダイナミックな岬や広い河口。人間の手が加わっていない自然の豊かさを見ると、私たち人間の活動がどれほど生き物の住みかを損なってしまったのかがよくわかります。ホテルで「やまねこの学校」というのをやっていたので話を聞いてみると、島を一周する道路の開発がとん挫したのは、米軍占領期のあいだのことでした。イリオモテヤマネコが見つかって、保護するために途中でやめたのだそうです。

到着した次の日は一日中浜辺でくつろぎ、砂浜をはだしで歩きました。娘に、「爪が砂で研磨されてすべすべになるからネイルがいらないのよ」と教えてやります。「ふうん、そうなんだ」と、娘はわざと砂に足をうずめます。夕方にはカヤックを漕いで川をさかのぼり、マングローブの林に分け入ります。マングローブが水中に張りめぐらした根の間に紛れて、エビや大きなシジミが棲みついています。種が偶然潮に流されて浅瀬から顔を出したマングローブを指さして、娘が「あたしと同じひとりっ子!」と叫ぶ。

夕陽が沈むころには対岸にわたり、空と海しかない空間に座りました。まぶしく反射する光は、やがて空全体を金色に、茜色に、そして紫色に染めていきます。広い水面がさざ波を立てるのを眺めながら、だんだんと金色のきらめきが衰えていくのを黙って娘と見ていました。海面も木々も岩も、すべてが青く暗い空に溶け込むと、頭上に細い月が光り始めました。

言葉がいらない、を体験する。匂いを嗅いで、風を感じる。歩いてレストランに向かいながら、私たちはお互いの手をぎゅっと握りました。その"ぎゅっ"には色々なことがこもっていて、あたりを飛び交う光る昆虫や、頭上の満天の星空に包まれて、私たちは久しぶりに「人間であること」を堪能したのでした。

       
  • 静かなビーチでくつろぐ

  • 嵐の後の浜辺

  • 自然の力強さ

          
  • 美しき日の出の時間

  • 西表島のトゥドゥマリの浜は、別名、月が浜とも呼ばれている。パラソル付きのチェアを出して、穏やかな海で日がな一日寛ぐ。

  • 滞在中、台風を乗り切り、ようやく穏やかになった海へ再び。嵐の後の浜辺で、娘は夢中になって遊んでいる。

  • 嵐のあとの浜辺には、マングローブの根っこが打ち上げられていた。

  • 日の出を迎えた海。静まり返る弓ケ浜には、黒い岩が浮かび上がる。