女の子同士の関係性は、毎日が小さなドラマのよう

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子どもの未来をクリエイトする、国際政治学者の個性派子育て

名前
三浦瑠麗 / Lully Miura
家族
3人(10歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
国際政治学者
URL
三浦瑠麗(@lullymiura) Instagram

子どもの未来をクリエイトする、国際政治学者の個性派子育て

女の子同士の関係性というのは難しくて、わたしもちいさい頃にずいぶんと苦労をしたものでした。子どもはあけすけで、本心を隠さない。それに、欲望のままに生きています。だからこそ、ぶつかり合ったりじゃれ合ったりして目まぐるしく関係性が変わる。

うちのオフィスでは以前、新型コロナウイルスの影響で何カ月も休校になった際に、たくさんの子どもたちを学童がわりに受け入れました。名付けて、キャンプ山猫。宿題やプリントを持ち寄って朝は勉強し、昼から午後はお祭りごっこをして遊びました。何事も凝る性格のわたしは、Amazonでゴムのプールやヨーヨーや、キラキラのゴム人形や子ども用のはっぴに加えて、綿あめ作り機まで注文したのですが、それが何とも楽しかった。おかっぱやポニーテールやら、いろんな頭がゴムプールをのぞき込んで、あの色のヨーヨーが欲しかったとか、取れた、取れない、と歓声を上げたりふさぎ込んだり、まあ忙しいこと。

男の子が来た日は祭りが闘いごっこに変わったり、年上のお姉さんが来た日は落ち着いて猫と遊ぶ日になったり。久しぶりにたくさんの子どもたちの関係性を見ていて、気づいたことがありました。

まず、娘にとって大きいお姉さんというのが素晴らしい存在だということ。一人っ子ということもあり、姉のような存在に飢えていたのか、夢中で仰ぎ見るようにして大きいお姉さんの後をついて歩くのです。そして、女の子同士で遊ぶ場合はクタクタになるまで相手と触れ合おうとする。反対に、男の子が騒いでいるときには隅っこで猫を撫でながら本を読んだりしてしれっとしています。

女の子同士の仲が良いからといって、いつもうまくいくかというとそうではなく、3人になると1人がちょっとのけものになってしまったり、ホームシックになったりと、色々なドラマがあります。それでも、ぶつかり合わなければ人間関係の機微を学べない。もうずいぶんと大人になって久しいわたしから見ると、昔を振り帰ったり、ひとりひとりの子の気持ちを思いやったりして心が痛むときもあります。

なんでそんなに関係性を求めるのだろう――。人間は社会集団のなかで生きていかなければいけない。だから人間にとって、同胞から向けられる関心や愛情の価値はとてつもなく高いものです。それを期待するがゆえに心が傷ついたり、舞い上がったりする。集団に置いて行かれた子ザルが生きていけないように、子どもであればあるほど必死に集団についていこうとするものでしょう。また、たとえ大人であっても周りから疎外されて孤独であるというのは身体の芯にこたえるものです。
集団に自らを認めてもらうこと。自らの居場所を作ること。太古の昔から、人間はそのために必死で生きています。女同士の関係性は美しいものばかりではありません。はやくも小学生の頃から、「○○ちゃんはぶりっ子」という非難が浴びせられることがあるのも、性的に惹かれ合うのが自然な男女の関係性に逃げ込むのではなく、同性の集団に同調せよという圧力なのだろうと思います。

大人になったいまでこそ、女同士の関係性はもう少しふわっとしたものであることが可能です。同じ親同士、あるいは職場の同僚同士などといった、目的を持った関係性のなかで付き合えば、楽になる。集団の中の自分の位置が、もう少し具体的な仕事や役割に置きなおされることで、子ども時代よりも安定した関係性を築くことができるようになります。

そう考えれば、子ども時代の悲喜こもごもや、姉の後を懸命に走ってついていったあの日の記憶も、世代を超えて繰り返される人間の成長の過程なのだと気づく。そこには悲劇もあれば喜びもあるけれど、親や指導者ができることは、ときどき仲裁者となったり、忙しく「タスク」を与えてあげることくらいしかないのかもしれない。みんなでたこ焼きをせっせと焼いて配ったり、お掃除をしてシールの枚数を稼いだりして満足そうな子たちを見て、思ったのでした。

〈三浦瑠麗さん連載〉
子どもの未来をクリエイトする、国際政治学者の個性派子育て

       
  • オフィスでかくれんぼ

  • キャンプ山猫

  • キャンプ山猫

          
  • キャンプ山猫

  • オフィスにて

  • 学級閉鎖のさなか、急遽学童代わりになった私のオフィスで、子ども達はかくれんぼ。

  • 即席の学童保育「キャンプ山猫」のイベントその1、ヨーヨー釣り。Amazonで揃えたビニールプールと旗で、子ども達も夏祭り気分。

  • オフィスにたくさん買ったゴム人形。準備や店番など、子ども達が率先してやってくれるのは、非日常の遊びならでは。

  • オフィスで子ども達を預かった「キャンプ山猫」では、イースターエッグ作りにもチャレンジしました。

  • オフィスのデスクで、わたしは仕事、娘は読書。