次女の出産で知る命の尊さと、これからの出産のあり方を考える

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俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

名前
野波麻帆 / Maho Nonami
家族
4人(7歳と5歳の女の子)
所在地
東京都
お仕事
俳優、「himher」デザイナー
URL
野波麻帆(@mahononami)Instagram

俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

前回は長女の出産のお話をしましたが、
今回は大変過ぎた次女の出産についてお話させて頂ければと思います。

2015年に、長女と2歳違いで産まれてきた次女。お腹にいる時からとっても大人しく殆ど胎動がないので、いつも心配で検診の度に先生から「順調ですよー」という言葉を聞くたびに、ホッとしていました。長女なんて足の形が見えるほどお腹を蹴飛ばすので、まるで映画『エイリアン』のようなお腹になってたのに、次女はピターーーーとくっついてる感じというか(笑)。この子出てくる気無さそうだなぁと思っていたら、案の定、予定日を過ぎて無痛分娩で産む日を決め、陣痛誘発剤などを打っての出産に。

まずこの誘発剤の薬が合わず、もの凄い吐き気と酷い腹痛に襲われました。これから出産だと言うのにトイレから出て来られないほどの状態に。すぐに薬を変えてもらい、状態が安定したところで、促進剤と痛く無くなる無痛のお薬を脊髄のほうから入れてもらい、長女の時よりかなり時間がかかり約12時間くらいで無事に出産。

次女は何も問題なかったのですが、その後、私の血がなかなか止まらず、止血剤の入った点滴を打つ状態が3〜4時間続き、やっと病室に戻れたときには夜でした。しかも何故か足に全く力が入らず立てず車椅子に。まだ薬が効いてるのかと試しに頑張って立ってみると、ヘナヘナと床に崩れ落ちる始末。そして尾骨周辺の感覚がまったく無い。うーむ、、、

長女の時はまったくこんな事はなく、スタスタ歩き回っていたのに何故だろうと不安を覚えました。母が長女を病室に連れて来てくれて話しているうちに、今度は呂律が上手く回らなくなり、話にも集中出来ない自分がいる事に気づき、これはおかしいと感じ、心配させたく無かったのですぐに2人には帰って貰う事に。
そんな中、仕事を終えた主人が病院に到着。
後から聞いたら私の顔を見てすぐ、異変に気づいていたようですが、私の不安をゆっくりと聞いてくれて、とりあえず今夜はゆっくり休んで明日まで様子をみようと、かなり落ち着いた状態で慌てふためく私を落ち着かせてくれました。その後長女を呼び戻し、2人も一緒に病室に泊まる事に。

2人がいてくれるので、なんとか精神を安定させて頑張ろうと思えるのですが、気が抜けると笑い出したくなったり、ふあ〜っと現実逃避状態に陥ったり。きっとこれはやった事はないけれど薬物中毒者の症状ではないのだろうかと思い始め、これはマズイ! と思い横で寝ている主人と娘の顔を見ながら、私は大丈夫、私は大丈夫! と言い聞かせ、普通を保つ為に必死でした。出産当日の夜は疲れている筈なのに、一睡も出来ずに夜が明けていったのです。
夜中に度々訪れる現実逃避の誘惑で、空を飛べんるんじゃないかと頭をよぎったので、もしこの時1人だったら、、、と思うとゾッとします。

朝になり太陽を浴びていると少しづつ、呂律や現実逃避の症状は落ち着いてきて、やっと産まれてきた次女におっぱいをあげられるまでになりました。自分自身を取り戻せる所にまで落ち着き、安心して涙が溢れたのを今でも覚えています。

何が理由でこうなったのかは結局わかりませんでした。無痛分娩での強い麻酔の影響なのか、ホルモンバランスの問題なのか。看護師の方に色々聞いてみると、産んですぐ顔面麻痺になった方もいたそうですが、私のような体験をした人は聞いた事がないそうです。どんな理由であれ、やはり出産というのは命懸けなんだという事を改めて思い知らされました。改めて考えてみれば、そうだよなと、納得。だって人間一人の命をこの世に生み落とすんだもの。神秘的でもあり、物凄い命のパワーを使う出産には、起こりえない何かが起こっても不思議ではないのです。

長女が超安産だった事もあって、それが当たり前なんだという錯覚に陥っていた勉強不足な自分を情けなく感じました。出産に普通はなく、母子ともに命懸けの作業なのだと、身をもって知ったのです。

これから出産する方を怖がらせるつもりは、まったくありません。色んな選択肢があると思います。ただ、私の経験上、おすすめしたい事が幾つかあります。出産予定の友人にはいつも言っているのですが、無痛分娩であれ普通であれ、出来ればなるべく何か母子ともに変化があった時すぐ対応する事が出来る医療機器のある大きな病院を選ぶ事。すぐに相談出来る先生、看護士さんが近くにいる事。コロナ禍で難しいとは思いますが、出産後はすぐ安心し信頼出来る家族が近くにいられる事。
だれもが愛するひとの幸せな出産を心からお祝い出来るように、最先端の医療が整っている今、何かあった時はすぐに頼れる環境の中にこそ、『出産』というものはあるべきでははいでしょうか。命より大切なものは、この世にないと私は思うのです。

次女はそれからスクスク育ち、5歳になりました。命懸けの出産だった事は露知らず、お腹にいた時同様、ピターーーーっと常に私にくっついて、寝る時も私がいないとしゅんしゅん泣く甘えん坊の次女です(笑)。

〈野波麻帆さん連載〉
俳優 野波麻帆、オシャレも遊びも満喫の家族時間

       
  • 仲良し姉妹

  • 赤ちゃんを抱っこ

  • 入院中のご褒美

          
  • 妊娠中のわたし

  • 産休中のお菓子作り

  • 妊婦姿を撮影

  • 現在8歳、もうすぐ6歳の姉妹。喧嘩もしますがとにかく仲良し。性格的には、ほわんとした次女ときりっとした長女。大きくなってもずっと助け合える仲間でいて欲しいです。

  • 2歳だった長女も次女のお世話をおしゃぶりしながら頑張ってくれました。たまに悪戯して、次女を泣かせてたけど(笑)

  • 入院中、姉と母が病院にフルーツをいっぱい切って持ってきてくました。ハートがいっぱい!!!

  • お腹が大きくなってぱんぱん(笑)。寝る時もだいぶ苦しくなってきました。

  • 次女を妊娠してお仕事をお休みさせて頂いた時期は、長女とたくさん遊んで、お菓子作りばかりしていました。良い思い出。

  • 写真家の友人に自宅で撮影してもらった、次女妊娠8ヶ月のわたし。