小2娘の夏休み|お泊まりイングリッシュサマーキャンプを白馬で体験

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子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし

名前
川上ミホ / Miho Kawakami
家族
3人(7歳の女の子)
所在地
長野県軽井沢
お仕事
料理家、エッセイスト
URL
川上ミホ オフィシャルHP
URL1
miho.kawakami.5
URL2
miho.kawakami.works

子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし

森のくらし8月。

軽井沢にも夏休みがやってきました。

娘はここ2年ほど軽井沢の国立公園内で開催されるイングリッシュサマーキャンプに参加してきたのですが、今年は少し足を伸ばして白馬へ。はじめて泊りがけのサマーキャンプに挑戦しました。

長野はサマーキャンプのメッカです。

自然公園(国立公園、国定公園、都道府県立自然公園)の面積が、北海道、新潟に次いで全国で3位の長野県は、その豊かで多彩な自然を生かした教育を推進するとともに、あらゆる場所に様々な自然体験教育センター、自然体験プログラムが存在し、官民の教育機関や旅行会社などの企画もあり、特に夏は多くの子どもたちを受け入れています。

軽井沢の森の中という、自然と比較的距離の近い場所で暮らしているわが家ですが、なぜわざわざ避暑地の軽井沢を飛び出して自然体験を軸においたサマーキャンプに参加したのかといえば、一つにはひと言に自然と言っても長野県の中でもグラデーションがあり、湖や川といった水資源も豊富な白馬はやはりスケールや関わり方、過ごし方が違うこと、そしてもう一つの理由は親や学校と違った価値観やコミュニティに参加することを通して世界を広げる可能性に触れて欲しいと考えたためです。

もともとわが家は都会暮らし。私自身は子ども時代は埼玉で比較的土にまみれて育ちましたが、夫は「江戸っ子」を自称する生粋の都会育ち。キャンプに行っても、気になるのはキャンプギアの方。魚釣りするぞー!沢登りするぞー!みたいなアクティブタイプではなく、焚き火でコーヒー豆を焙煎してコリコリ挽いてドリップする、のんびりチルタイプ。

それも豊かな過ごし方ではあるけれど、もう少し積極的に自然と関わったりアクティブに遊んだりしたいと思った時、私たちだけでは限界があります。

自然のプロの導きで自然に触れることの素晴らしさは、春休みの屋久島で体験済み。彼らの深度の深い自然への理解と愛、学びと実体験の繰り返しを通して学んできたその向き合い方は、むしろ大人でも驚愕し感嘆し、価値観を揺らがすほど。娘も帰ってきてから森についての発言や向き合い方に変化がみられました。

また、これまでのサマーキャンプは日帰りの登校スタイルだったけれど、今年は親と離れる泊まりがけのレジデンスプログラムにチャレンジ。学校やお友だちの家にお泊まりしたことはあっても、初対面の人たちとはじめての場所で1週間過ごすのは人生初です。

正直私の方が戸惑ったけれど「行きたい!楽しそう!!」と迷わず参加を決めた娘を送り出すことにしました。

「行ってくるね!」とギュッとハグしてからズンズンと待ち合わせの輪の中に入っていった娘の後ろ姿の頼もしいこと。

後になって「不安と楽しみな気持ちと両方あったけど、自分で楽しむために行く!って決めたんだよ」とその時の気持ちを明かしてくれました。

実はこの5日間、家で待っているだけだとソワソワしてしまいそうだった私と夫は、思い切って夏休み宣言をし白馬に滞在することに。過保護にならないように、娘の人生に過干渉しないようにと心がけてはいるものの(白馬にいる時点で十分過保護ですが笑)、親として大変未熟な私は時折さみしさや心配の波がやってきて、その度に夫に笑われておりました。

ジンギスカン屋さんのカウンターで新鮮なラムを焼きながら「このおいしい肉を娘にも食べさせたい。。」と娘シックになっていた私(濃いめのレモンサワーのせいもある)は、お店の大将にも心配されるほど(お恥ずかしい)。

けれど、振り返ってみれば私も若いころは親にさんざん心配をかけてきた身。どんな時もあたたかく見守って応援してきてくれた両親のありがたさを再確認するとともに、自分が親としてどうありたいかをゆっくり考えることができました。さらに、滞在中は軽井沢とはまた違う視点や深度を持った白馬の人々のチャレンジや出会いに心を動かされることがしばしばあり、学ぶべきことの多い充実した時間になりました。

帰ってきた娘の1週間はとてもとても充実していたそうで、国内のみならず海外から参加していた友だちやキャンプのスタッフとも再会を約束したほど。解散場所ではスタッフと離れがたくて泣いている子もいました。

「2日目と3日目の夜におうちを思い出して少しさみしくなった」と打ち明けてくれた娘は、しかしながら「湖での冒険が楽しかった!!」「忍者になった!」と目を輝かせながら5日間の経験や感じたことなど、話が止まらない様子でした。

さみしくなった夜は同じ部屋に泊まった子と励まし合って過ごしたそうです。これは子どもでも大人でも共通で、さらに軽井沢や屋久島(前回記事:「夏休みの旅行にもおすすめ|屋久島で学んだ自然との共生の新しいカタチ」)でも思うのですが、人工的なものや便利なサービスがぐっと少ない環境下では、人と人は協力し合う関係が生まれやすくなります。

サマーキャンプ中、子どもの携帯電話の使用時間が制限されていたのも、「さみしい」と感じたり時間を持て余したときにネット環境に依存するのではなくリアルな世界の中でその感情に向き合ったり解決をする経験を大切にするためとのことで、深く納得しました。

5日間の経験を、わが家はまだ消化中。いろいろ話をしてお互いの気づきや気持ちをシェアしているところです。けれど、「参加してよかったね」という点で全員一致。私も20-30代の右往左往で良いことも若気の至りも怖いこともいろいろな経験をしたけれど、すべてのことが今の私をつくっているから「やらなければよかった」と思うことはありません。

チャレンジしたからこそ自分でつかめることがあること、「できなかった」という悔しい気持ちと「失敗はダメなことじゃない」ことを経験から学ぶこと、自分の人生は自分で試行錯誤して築いていくことが大切であると娘にも知ってほしいと思っているからこそ、私もこれからの娘の大小様々なチャレンジを肚(はら)を据えて見守っていこうと、そして私自身もまだまだ経験が必要&チャレンジしていこうと心に刻んだのでした。


ところで、イングリッシュサマーキャンプに参加したことによる娘の英語の変化ですが、語学的なことでは目立った変化はなし。東京時代はバイリンガルのプリスクールに通っていたり、夫の海外の友人とはよく会っていたりと、もともと英語や多様な文化に触れる機会が多いため英語を怖がらないというところはあり、英語に関しては今回もその延長線上な印象。

ネイティブのスタッフと簡単なコミュニケーションはとれていたようだけれど、複雑な説明が必要なことは日本語OKのスタッフに聞きに行っていた模様です。海外から参加していた子たちは簡単な日本語が話せる子(トリリンガルの割合が高い)も多く、子ども同士の会話は日本語か簡単な英語だったそう。主催側も英語を身につけさせるというよりは、まずは楽しくチャレンジできることを大切にしてくれていて、英語が好きな子もはじめての子も楽しみながら参加できたようです。

自然の中で普段できないような遊びをしながら英語に触れられる、親子ともども小さなチャレンジと学びのあるイングリッシュサマーキャンプ、わが家的にはかなりオススメです。


〈川上ミホさん連載〉
子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし

       
  • マウンテンバイクにも挑戦

  • トレッキングに出発

  • 荷造りも自分で

          
  • 緑豊かな白馬の風景

  • 家庭菜園でニンニクの収穫

  • 緑あふれる夏の里山

  • 白馬でのサマーキャンプでは、マウンテンバイクでのサイクリングにも挑戦したようです。

  • 田んぼや山に囲まれた豊かな自然の中をトレッキング。

  • サマーキャンプに参加するにあたって、必要な荷物を娘自身でパッキングしました。

  • 娘のサマーキャンプに合わせて、私たち夫婦も白馬夏休み。雄大な白馬の風景を眺めながら、娘はどうしているかなぁ…と思っていました。

  • サマーキャンプから軽井沢へ戻ってきても、娘はアクティブに夏休みを楽しんでいます。これは冬に植えたニンニクの収穫を手伝ってくれているところ。

  • 手つかずの大自然とはまた違う、暮らしと結びついた里山の美しい風景にも心動かされます。