軽井沢の自然の姿を見て噴き出す「なんで?」の種を子どもと一緒に探す冬
子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし
- 名前
- 川上ミホ / Miho Kawakami
- 家族
- 3人(7歳の女の子)
- 所在地
- 長野県軽井沢
- お仕事
- 料理家、エッセイスト
- URL
- 川上ミホ オフィシャルHP
- URL1
- miho.kawakami.5
- URL2
- miho.kawakami.works
【子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし】
森のくらし12月。
今年は軽井沢も夏が長く、やっと秋が来た・・・と思ったら、一瞬で冬に様変わりしました。
めまぐるしい変化に対応するのは大変なことで、体調を崩される方もチラホラ。。。と思っていたら、今年は自然も勝手が違ったようです。
例年、軽井沢の紅葉の見頃は10月中旬から11月上旬です。
雲場池やタリアセンなどの名所を始め、国道沿いや別荘地の紅葉やカラマツ、あらゆる樹々が美しく色づいてそれは見事。錦のような景色を楽しもうと場所によっては夏よりも人出があります。
ところが今年は色づき始めがまばらで、「見頃を迎えた」と思ったらあっという間に散ってしまいました。かと思えば、11月下旬でも紅い葉を輝かせている樹があったりと、少し不思議な感じ。
もちろん、日当たりや樹種など様々な条件によって変化が違うのは当たり前よね、とスルーしていた私をよそに、娘は「どうしてなんだろう?」と興味を持った様子。
久々の「なんでなんだろう?」が噴き出しました。
「なんで同じ森でも色のつき方が違うんだろう」
「なんで葉っぱが落ちる樹と落ちない樹があるんだろう」
「なんでうちの紅葉は去年より色が濃いんだろう」
「なんで黄色になるのと赤になるのがあるんだろう」
「なんで?なんで?」
娘が「なんで?」モードになった時、私は「そうだねぇ」からはじめることにしていて、
余裕があれば「あの樹とあの樹の同じところと違うところって、ほかに何があるんだろうねぇ」と一緒に観察します。そうすると、同じ樹でもみんな同じ色じゃないとか、葉っぱや幹が違うから樹の種類が違いそうだとか、こっちは元気そうだとか、色々と気づくことが出てきます。
そうすると、今度は違う「なんで?」が出てくるループにはまるわけですが、どこかのタイミングで「そうか、きっとこういうことなんじゃないかな」という予測が出てきます。出てこなかったりもあります。
そうしたら、どうしてなのか調べてみようか、と、やっと本を開きます。
ピンポイントの本もあるし、全然答えとは違う、もっと「なんで」を引き出してしまうような楽しい本もあります。同じように「なんで?」と言っている絵本もあります(笑)。
「なんで?」の答えにつながる仕組みがわかっているものもあれば、「実はまだ詳しくはわかっていません」というようなものもあって、それに対する反応も「そういうことなんだ」とか「すごい仕組みだね」とか「へー、不思議がいっぱいなんだね」、「よくわかんない」まで、わかることもわからないことも様々。
でも、できれば答えがあるところを最終地点にしないで、その答えからも「なんで」を引き出したり投げかけたりするようにしています。私は娘に物知りになって欲しいというよりは、「なんで」の種を見つけて育てられるようになって欲しいと思っているからです。
「こういうことだ」と答えがあると、人はそこで自分で考えることをやめがちです。
答えがない、あるいは「こういうことだ」という答えを「本当にそうかな?」と観察して考えるのは面白いものです。学校の勉強は「答え」があるものが多く、私はそれはそれとして学び身につけることは大切と理解しているものの、一方で答えがないものの面白さや疑問に対して自分なりの答えを導くことの楽しさを娘に経験して欲しいと考えていて、その環境こそが自然の中にあるのではないかと思っています。
レオナルド・ダ・ヴィンチのパリ手稿の中に、「自然は、まだ人に試されたことのない無数の原理に満ちあふれている」という一節があります。私自身も、今の環境の中にいて「ええっ!」と驚くこと多数。
今年の冬も娘と一緒になって「なんで」の種を探しています。
〈川上ミホさん連載〉
子どもが教えてくれる軽井沢森のくらし