物価急上昇に苦しむイギリス、チャリティー文化が学校を救う!?

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ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

名前
秋元玲奈 / Rena Akimoto
家族
5人(5歳の男の子、1歳の双子の男の子)
所在地
ロンドン
お仕事
フリーアナウンサー
URL
秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
URL1
Rena Akimoto Official Website

ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

明けまして、おめでとうございます! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆さんの年末年始はいかがでしたか?

我が家はロンドンに来て初めてのクリスマスお正月を過ごしました。 こちらのクリスマスはとにかく盛大。 ハロウィンが終わったらすぐに街はクリスマスイルミネーションだらけになり、1ヶ月半近くクリスマスムードを味わうことができました。

この期間のロンドンは子ども向けのクリスマスイベントが目白押しなので、子連れ旅におすすめです! あちこちで開催されているクリスマスマーケットはもちろん、「Grotto(グロット)」と呼ばれるサンタクロースに会えるイベントや、公園が期間限定で巨大な冬のテーマパー クに変身したり、子ども向けクリスマスコンサートやクリスマスキャロルなど、毎週末飽きることなく ホリデーシーズンを親子で満喫できます。

そしてクリスマスと言えば、この時期、長男の学校では毎週と言っていいほどチャリティーイベントが開催されていました。 チャリティーと言ってもいろいろありますが、中でも、学校運営のためのお金を募るイベントの多さに驚きました。

日本のインターナショナルスクールでもよくあるノーユニフォームデーに加え、 例えば、クリスマスジャンパーswap day (これは、2ポンド払って自分が着られなくなったクリスマスセーターを学校に寄付する代わりに、寄付された中から自分に合うものを選んで交換していい日)に加え、子どもたちがいちばん楽しみにしている最大のチャリティーイベント「クリスマスフェア」などがあります。

クリスマスフェアはイギリスの各学校でこの時期行われる、PTAによる学校運営のためのチャリティーイベントです。 お菓子やおもちゃを売ったり、ゲームができたり、サンタクロースに会えたり、子どもたちが喜ぶイベントが盛りだくさん。 私も子ども3人連れて参加しましたが、あまりの熱気と混雑ぶりに圧倒されました。
長男は自分のいらなくなったおもちゃを寄付し、クリスマスフェアで気に入ったセカンドハンドのおもちゃを買いました。幼い頃からチャリティー活動に参加し、サステナブルなことを実践できるのはチャリティー文化の根付くイギリス教育の醍醐味だと思います。

最近は、読まなくなった本を学校に寄付したいと言い出したり、長男に少しずつチャリティー精神が芽生えているのを感じ、嬉しいです。 ただ、忘れてはいけないのはこの頻繁に行われるチャリティー活動が子どもたちへの教育のためというわけではなく、「学校が本当にお金に困っているから」ということ。

先日、長男が通っている学校から、これまであった3歳から通えるナーサリークラスを、運営費が見出せないことを理由に、来年からは急遽閉鎖することが報告されました。長男の友だちの妹が入学予定でしたが、これからまた別のところを探さないといけないと、母親はとても困惑していました。

日本でも報道されていると思いますが、イギリスは去年から急激な物価上昇に苦しんでいて、特に電気などの光熱費の高騰は凄まじく、1ヶ月の家庭の電気代が6万〜8万円なんてことはよくあります。そしてこの光熱費高騰の影響は個人レベルにとどまらず、学校などの教育機関にも大打撃を与えています。もちろん、学校で働く先生方の生活にも。

長男の学校では9月の入学式から12月までの4ヶ月の間にクラスの先生が2人も学校を辞めてしまいました。キャリアアップのため別の学校へ行くという理由であれば、決してめずらしいことではないそうですが、学期の途中に、しかも連続で2人も先生がいなくなったので、保護者の間では大きな話題になりました。

生活のことを考え、より待遇のいいところに移籍する先生がここ最近増えているそうですが、コスト上昇に苦しむ学校側がいい先生を繋ぎ止めるためのお金を捻出することは難しく、生徒や保護者からの寄付に頼らざるを得ないというのが現状です。 少しでも困難な状況にある学校の力になれればと保護者の間では個人的に先生方への寄付を募る活動も行われています。

私も仲の良いママたちと長男の担任の先生に、ほんの少しですが、感謝の気持ちを込めて寄付をさせていただきました。日本だと先生にお金や商品券を直接プレゼントするということはなかなかないことだと思いますが、こちらでは学校からのお便りでも先生方への積極的な寄付活動をお願いしています。

世界情勢による経済悪化の影響が子どもの学校にも及んでいるというのは、親としてはとても気がかりです。 煌びやかなイルミネーションで溢れた華やかなロンドンの街並みとは裏腹に、教育現場には厳しい冬の風が吹きすさんでいるのを感じた年末でした。


<秋元玲奈さん連載>
ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

       
  • 学校の聖劇で演じたのは…

  • 楽しいクリスマスフェアもチャリティーの一環

  • ハイドパークも華やかなテーマパークのように

          
  • 家族で楽しんだクリスマスキャロルコンサート

  • 学校のクリスマスイベントのひとつ、nativity(聖劇)が行われ、長男は羊飼いを演じました。クリスチャンの学校なので教会に行く機会も多く、聖書の話などにも興味を持ち始めています。

  • クリスマスフェアで、手にタトゥーシールを貼ってもらいました。この時に払った2ポンドも学校への寄付金に。

  • クリスマスシーズン、ロンドン名所のひとつでもあるハイドパークが巨大なテーマパークに大変身。ラスベガスのような煌びやかな雰囲気で圧倒されます。

  • クリスマスイブは、ロイヤルアルバートホールで行われたクリスマスキャロルコンサートに参加。キャロルを観客全員で大熱唱するのは圧巻でした。