7歳になった長男がロンドンで育む、日本人としてのアイデンティティ
ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース
- 名前
- 秋元玲奈 / Rena Akimoto
- 家族
- 5人(7歳の男の子、2歳の双子の男の子)
- 所在地
- ロンドン
- お仕事
- フリーアナウンサー
- URL
- 秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
- URL1
- Rena Akimoto Official Website
【ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース】
日本を離れ、ロンドンでの生活が始まってから2年以上経過しました。 この時間の中で、 イギリスの文化から学ぶことも多々ありますが、それ以上に母国日本の素晴らしさが際立って見えるようになっています。 街のバスの中で日本に関する話題を耳にするたび、心が温かくなるのを感じ、こちらで出会った友人に「日本の文化はこうなんだよ」と誇らしげに語る自分に気づくことも多く、外国に住む中で日本人であることのアイデンティティがより一層強固になっていることを実感しています。
同時に、子どもたちにも日本人としてのアイデンティティをしっかりと受け継いでほしいという願いが強まります。我が家の課題は、子どもたちが日本人としてのアイデンティティをイギリスにいながらどのように育むかということです。 長男は1歳半から日本のインターナショナル保育園に通い、4歳でロンドンに移ってきました。ロンドンに来たばかりの頃、アジア人の見た目にも関わらず流暢に英語を話す自分を不思議に思ったのか、「ママ、僕は半分日本人で、半分イギリス人だよね?」なんて面白いことを尋ねてきました。私が「いいえ、あなたは日本人よ」と答えたときの、彼の複雑な表情は今でも心に残っています。
現在2歳の双子の次男と三男は、生後7ヶ月でロンドンに来たため、彼らにはおそらく日本の記憶はありません。来年1月から幼稚園に通うことが決まっているため、それまでに少しでも日本語を身につけさせようと、家庭内では日本語を話すことを心がけています。しかし、ナニーが英語を話し、習い事も英語のため、次男は英語が得意で、三男は日本語が得意というカオスな状況に。それでも、幼稚園が始まれば英語が主流になるのは明白なので、 私は家庭で根気強く日本語を使い続けるつもりです。
アイデンティティ教育の道のりは決して平坦ではありませんが、 彼らは日本人として生まれ、これからもそのアイデンティティを持ち続けます。だからこそ、海外で育てながら日本文化や日本の価値観を学び、将来の選択肢を広げてあげたい。一歩外に出たらダイバシティの刺激を受ける一方、家庭でアイデンティティを育むことがいかに重要であるかを痛感しています。
そんな中、 最近長男に自身のアイデンティティを見出す特別な機会が訪れました。
トラファルガー広場で毎年開催されるジャパン祭りの閉会式で、キッズダンサーとしてステージに立つことになったのです! ロンドン在住の日本人の代表として舞台に上がるとなれば、彼の心に何か響くものがあるのではないかと、私自身とても楽しみにしていましたが、当初あまり乗り気ではなかった長男、 、 、 。
ところが、当日会場に足を運ぶと、色とりどりの日本の美味しい食べ物やアニメグッズの出店が並び、日本 一色に盛り上がる雰囲気に気持ちが高まったのか、「僕は日本人だから、これが何か知っているよ!」と通りすがりの人に話しかけたり、なんだかとっても嬉しそう。
彼の気持ちをさらに盛り上げるために、事前に学校の友人家族にも声をかけ、踊りを見に来てもらうことにしました。この応援が彼の心のスイッチを完全にオンにしたようで、本番では、トラファルガー広場を埋め尽くす大勢の観客の前に堂々と立ち、日本の半被を羽織り、見事な踊りを披露しました!
初めての大舞台をジャパン祭りで経験し、私の期待通り、彼自身込み上げるものがあったようで、 、 、 学校では毎週 「show and tell 」 (発表会)が行われるのですが、クラスのみんなにジャパン祭りの話をしたいから写真やビデオを先生にメールで送って欲しいと頼まれました。
後日担任の先生から「日本のお祭り文化ついての説明とともに、自分のステージでの体験を誇らしそうに披露していましたよ」と聞き、いつの間にか彼の中に芽生えた日本人であるという誇りを嬉しく思いました。なかなか体験できない貴重な経験は、彼の心にしっかりと刻まれたようです。
言語やその国のことを学ぶだけでは簡単に構築されるわけではないアイデンティティ。身を持って経験し、それを通じ何かを感じる事が形成を促すのだと感じました。今後もこうした日本にまつわるイベントなどはできる限り参加させ、家では日本食を作ることを心がけるなど、日々の小さな経験を大切に、海外生活においても、自然と日本人としての誇りを育んでいってほしいなと思っています。まだ芽生えたばかりの小さなアイデンティティの芽ですが、いつか大きな木となり、心に根付き、自らのル ーツを誇りに思いながら世界の中で自信を持って歩んでいく。
そんな息子たちの姿を想像しながら、我が家は地道に日本人としてのアイデンティティ教育を進めていきます。
〈秋元玲奈さん連載〉
ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース