好きこそものの上手なれ! イギリス教育からヒントを得た我が家の勉強法

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ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

名前
秋元玲奈 / Rena Akimoto
家族
5人(5歳の男の子、1歳の双子の男の子)
所在地
ロンドン
お仕事
フリーアナウンサー
URL
秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
URL1
Rena Akimoto Official Website

ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース


2月ですね。

日本の学校だと、そろそろ新学年の準備を始める頃でしょうか? イギリスは9月スタートなので、新学年が始まってやっと半年。 先日、長男の学校の授業参観に行き、日本の小学校との勉強へのアプローチの違いに驚かされました。

イギリスでは5歳になる年に、レセプションというクラスに入り、小学校に通い始めます。ここから義務教育が始まるので、中にはナーサリー(編集部注:イギリス式の学校でレセプションのひとつ下のクラスを指します)などを経ず、学校に通うのはレセプションが初めてという子も少なくありません。

長男の日本の友だちは、年中さんでもひらがなを読んだり書いたりできる子が結構いるのですが、入学当時、長男の通う学校で英語の読み書きができる子が少ないことがとても印象的でした。

日本のインターナショナルスクールで、読み書きや足し算などをすでに習っていた息子は、先生たちに勉強が進んでいると驚かれることが多く、親としては鼻高々だったのですが、 これから「ABC」や数の数え方といった基礎を始めるというゆっくりペースの学校の教育に、最初は焦りと不安を感じていました。

実際授業を見た限り、ゲームをしたり、教室で突然エアロビクスが始まったり、みんなとっても楽しそうではあるのですが、日本の小学校のように、勉強机に座り、黒板を見ながら勉強するという感じではまったくありません。
では、代わりにイギリスの学校は早期教育において何に力を入れているのかというと、 第一にとにかく遊ばせる。第二に本を読み聞かせる。そして第三に自然に触れさせる、です。
本の読み聞かせについては、学校から週2回本を借りてきて、親と一緒に読み、感想を書いて提出するという決まりがあったり、毎週保護者がクラスルームに入って子どもたちと一緒に本を読むイベントがあったり、幼い頃から読書が生活の習慣となるように、家庭でも積極的に子どもと一緒に読書することを推奨しています。 想像力、独創力を養うという意味で、読書が一番効果的だそうです。
自然教育に関しては、毎週「フォレストスクール」という課外授業があり、近くの緑豊かな公園に出かけています。この授業があった日、長男は必ず何か新しい発見をして、嬉しそうに私に報告してくれます。寒い日も、雨の日も雪の日も行うことで、自然の厳しさを学ぶことも目的のひとつとしているそうですが、室内で勉強しているだけでは出会わないような様々な分野への興味や知識を深めていっているように感じています。
学校の教育方針については、よく保護者の間でも話題になり、私は「日本ではしっかり勉強をするところも多いのよ」と話すのですが、その度に他のママたちが口を揃えて言うのは「この時期は遊ぶことがとにかく大事」。小学校低学年の間は勉強と遊びを区別せず、遊びの中から自分で疑問を持ち、考え、発見し、身につけることが、こちらでは重要とされているということも聞きました。
今の時期、子どもは学校で先生が遊びの一環として教えてくれるものを勉強と思っていません。だからこそ家でも、楽しかった学校で習ったその「遊び」を自主的にやってみるし、自分で色々な実験をしてみて、習ったことのその先を見つけようとします。教えられたものを暗記するという勉強法ではなく、興味を持ったことに対して「自分で考える」能力が自然と養われ、これこそが教育において最も大事なことだと考えられているそうです。
そうした教育方針がよく表れているなと思ったのは、息子は時々スペルを間違えるのですが、今の段階で先生はスペルミスをいちいち指摘しません。 自分が耳で聞いたものを一生懸命書こうとする姿勢が学ぶ上で重要で、それを親や先生がすぐに否定すると、子どもは自分で考えて書くのをやめ、スペリングは人に教えてもらって覚えるもの、つまり「勉強」という認識になってしまい、それは一番避けたいことだからだそうです。
もちろん、日本の学校のように小さい頃から机に座らせて、ドリルをやらせ、○か×かをしっかり教えるという教育方針の良さもあると思います。 でも、長男の性格上、どちらが向いてるかと考えたところ、最近はイギリス教育の方が向いているかもしれないと感じています。

というのも、こちらに来てから日本語をあまり使わなくなってしまった長男に、「日本語でしゃべり なさい」「日本語のアニメを見なさい」と言っても「嫌だー!」と言ってなかなか成果はなかったものの、彼の大好きなマンモスなど、絶滅した動物について日本語で書かれた図鑑を与えてみると、もっと知りたいという欲求からか、自力で一生懸命読み始め、いつの間にかカタカナまで読んだり、書いたりできるようになっていたのです。

まさに、「好きこそものの上手なれ」

「勉強」を「勉強」と捉えるのではなく、好きなことや遊びを通じて自然と身につけていく、というイギリスの学校教育からヒントを得て、我が家の勉強法も一気にそちらの方に舵を切りました。

バスに乗っている時や夕飯時、夫がクイズ形式で算数の問題を出します。以前から数字が好きで、算数を勉強とは思っていない長男は大喜び。 今度はブロックを使いながら、自分で算数の問題を作ってそれを解こうと奮闘したり、この勉強法、なかなか良い感触。そんな息子の姿を見た夫も嬉しそうで、最近は火山のしくみや雨が降るしくみなど、小学校の理科で習いそうなことをふたりで絵を描きながら楽しそうに話しています。

こうなったらトコトンこの勉強法を貫きたい私たち夫婦の今後のミッションは、長男の興味が湧きそうな 楽しいアプローチをたくさん考え、彼がどれだけ長く、勉強を勉強と感じずにゲームや遊びだと考えられる時間を引き伸ばせるか? ですが........子どもの頃勉強が大嫌いだった私の遺伝子を継ぐ息子に、この作戦、果たしていつまで有効なのでしょうか。


<秋元玲奈さん連載>
ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

       
  • 絵を描きながら自然界や宇宙を学ぶ

  • 学校のフォレストスクールで

  • 熱心に学ぶ様子を評価され、賞状も!

          
  • 宇宙の授業では、宇宙飛行士になって

  • 長男が家で自分で描いて楽しんでいる絵。左から、火山の仕組み、惑星、雨の降る仕組み。

  • 自然に触れることも重視している長男の学校では、週に一度「フォレストスクール」という課外授業を行っています。いつ雨が降るかわからないので、長靴を必ず履いて参加するのもイギリスならでは。

  • 学校からもらったスーパースター賞やスターリーダー賞などの賞状。今は少しだけ、勉強が周りより進んでいるみたいです。

  • 学校で宇宙飛行士の衣装を着せてもらったようです。この週の学校のテーマは宇宙。いかにして子どもたちが興味を持つか、先生方がいろいろな策を考えてくれます。