長男が通うロンドンの公立校、 ドキドキのオフステッド調査の巻
ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース
- 名前
- 秋元玲奈 / Rena Akimoto
- 家族
- 5人(6歳の男の子、2歳の双子の男の子)
- 所在地
- ロンドン
- お仕事
- フリーアナウンサー
- URL
- 秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
- URL1
- Rena Akimoto Official Website
【ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース】
長男のYear1生活も終わりに近づいてきた6月のとある日、彼の通う小学校は歓喜の渦に包まれました。Ofsted(オフステッド)のインスペクション(調査)があり、学校は引き続き、最高評価である「Outstanding」を得ることができたのです。
オフステッドとは、イギリスの学校を評価する教育技能省から独立した準政府機関です。 国内のあらゆる教育機関が監査の対象となり、生徒の学習レベル、行儀、教師の質、さらには学校の設備や財務状況、トイレの衛生面までもチェックされます。 この徹底した調査により、 オフステッドはイギリスの親たちから厚い信頼を得ていて、 学校選びの際、まずチェックするのはオフステッドの評価と言われるほどです。実際、私たちも渡英した際、オフステッドの評価を頼りに学校を探し、とても参考になったのを覚えています。
オフステッドの評価は5段階に分かれ、上から「Outstanding(素晴らしい)」「Good(良い)」「Adequate(可)」「Requires improvement (改善が必要)」「Inadequate (不適切)」。 教育に熱心な親が子どもの入学先として検討するのは、上から2番目の評価のGoodまでと言われているため、オフステッドでどう評価されるかはその後の学校運営にも大きな影響を及ぼします。
実際、 長男が以前通っていた公立校は入学時は 「Outstanding」 の評価でしたが、 次のインスペクションでは、「Requires improvement」 に格下げとなり、他の学校へ転校する生徒が急激に増えました。
こうした背景から、学校にとってオフステッドのインスペクションは非常に頭の痛い問題。 昨年、イギリスでは ある学校の校長がインスペクション後に自殺するという事件が起こり、 オフステッドのあり方について国内で大きな議論が巻き起こりました。
学校にとって、ドキドキ、ハラハラのインスペクション。 長男の学校では、インスペクターが訪れていた1週間、先生方が登校時に校門にズラリと集結し、教室に入る前に生徒たちの身だしなみを注意したり、手を洗うよう促したり、いつもとは違う重々しい空気が漂っていました。インスペクターは授業を見学し、子どもたちにも抜き打ちで質問をしたりするので、いい評価を得るには子どもたちの協力ももちろん不可欠です。
私たち保護者も「先生の態度はどうか?」「今通っている学校を他の人に推薦できるか?」 など学校についてのアンケー トをオフステッドに提出し、評価を決める材料を提供するのですが、 長男の学校はコミュニティの団結力が強いので、学校に対して、100% の保護者が 「満足している」と答えま した。
そのことをOutstandingの評価と共に、インスペクターからのフィードバックで聞いた校長先生は、他の先生方と嬉し涙を流さずにはいられなかったそう。そんな話を聞くだけでも学校にとってオフステッドで高評価を得ることが、どれだけ大きな意味を持つかが伝わってきます。
オフステッドのインスペクションという大イベントを乗り越え、みんなが一丸となって「Outstanding」の評価 を維持できたことに大いに沸いている長男の小学校。もちろんオフステッドの評価がその学校の全てを映し出しているわけではありませんし、評価ばかりを気にしてい ては本来の教育の目的から逸れてしまいます。
しかし、この学校に改めて好印象を抱いたのは、日頃から学校側が積極的に保護者とコミュニケーションを取り、良好な関係を築けているという点です。「オフステッドの最高評価を維持し続けよう」という共通の目標が、学校側だけでなく、保護者や生徒にも共有、賛同され、皆がその目標に向かって努力している姿勢が素晴らしいと感じました。
オフステッドのインスペクションは、 学校全体で何かを成し遂げる喜びを子供たちと共有できたという意味でも、とても意義のある経験になったと思います。
〈秋元玲奈さん連載〉
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