降誕劇や讃美歌など伝統的な行事を今年のクリスマスはいっそう楽しんで

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ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース

名前
秋元玲奈 / Rena Akimoto
家族
5人(7歳の男の子、3歳の双子の男の子)
所在地
ロンドン
お仕事
フリーアナウンサー
URL
秋元玲奈(@rena_akimoto)Instagram
URL1
Rena Akimoto Official Website

ロンドン発、アナウンサー秋元玲奈の海外子育てニュース
クリスマスムードが高まるロンドン

友だちの家でリースを作ったり、夫と2人でイルミネーションを眺めながら歩いたり。そんな何気ない時間のひとつひとつが、今年はいつも以上に充実している気がします。

考えてみると、その理由はとても単純。

今年は双子がナーサリーに入り、初めて迎えるクリスマス。私自身、時間に余裕があり久々に"母として"ではなく、"ひとりの人として"このシーズンを楽しめているのだと思います。

イギリスの学校の12月といえば、やはり nativity play キリスト降誕劇。

双子がナーサリーに通い始めた頃から、「今年はどんな劇になるのかな」と家族で想像をふくらませ、ワクワクしながらその日を待っていました。

そして先日、とうとう"初舞台"の幕が上がりました。

思い返せば、私自身も幼稚園時代に毎年降誕劇を経験しました。カトリックの学校だったこともあり、劇は"聖書に忠実"。練習を重ねるうちに自然とキリスト生誕の物語を覚えていき、物語が自分の中に静かに根づいていったことを今でも覚えています。

ところが、イギリスのnativityは私の記憶にある降誕劇とは少し違いました。

双子の配役が「ねずみ」と「ぶた」と知らされたとき、「そんな動物登場したかな?」と首を傾げたのですが、実際の舞台は想像以上に自由でにぎやか。動物たちは元気いっぱいに歌い、羊飼いは軽やかに踊り、星が突然しゃべり出す。こちらのnatitityでよく使われる劇の脚本にはラクダが主役の物語や、おっちょこちょいの天使に焦点を当てたストーリーもあったり、とにかくさまざまです。

キリスト教国ゆえに、聖書のメインストーリーは"みんな知っているもの"として扱われ、nativityでは子どもたちが自由に演じるサイドストーリーがたっぷり用意されています。伝統を大切にしつつ、子どもの創造性を思いきり受け入れる。この"ゆるやかで寛容な文化"は、イギリスらしさそのものだと思います。

そして子どもたちがYear3(3年生)に進むと、nativityからは卒業し、今度はChoir(クワイア)と呼ばれる讃美歌隊がクリスマス行事の中心になります。

特にカトリック系の学校ではChoir教育に力を入れていて、学校によっては"Choir scholarship 合唱奨学金"といって、Choirの才能がある子がSecondary School(中学・高校)に入りやすくなる制度があるほどです。音楽が文化であり、教養であり、日常のなかに自然に組み込まれている。そんな教育観を感じます。

歌うのが大好きな長男は学校のChoirにさっそく入り、この冬はイギリスの老舗デパートで行われたキャロルサービスにも参加しました、古い建物に子どもたちの歌声が響きわたる光景は、親としても忘れられないクリスマスの思い出になりました。

また今年初めて教会のキャロルサービスにも参加し、上級生や教会の讃美歌隊が歌うなか、nativityの演技をする子どもに立候補し天使役になり、歌声が響く会場を盛り上げました。

異国に暮らす中で、その土地に根づく宗教や文化に触れ、敬意を持つことの大切さを日々感じます。子どもたちが歌い、演じ、学びながら文化に出会っていく。その積み重ねはきっと、彼らの未来に静かに息づく"文化の種" となるはずです。

ロンドンでは今年、移民に対しての大規模な反対デモが行われました。別の国からイギリスに移り住んだ者として、胸がざわつくような、さまざまな思いを抱いた出来事でもありました。

世界がどこか不安定で、分断や対立の空気が報じられることも多い昨今だからこそ、こうした"小さな文化体験" の力を信じたくなります。知らないものを怖れず、違いを受け入れ、他者に敬意を向けられる感性は教室だけでは育ちません。

子どもたちの歌声や舞台の余韻が、いつの日か"誰かを思いやる力" へと育っていくことを願いながら、今年のロンドンのクリスマスを心に刻んでいます。


〈秋元玲奈さん連載〉
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