「お兄ちゃん」と呼ばない、我が家で大切にしたいヨコの関係。
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て
- 名前
- 佐久間麗安 / Rena Sakuma
- 家族
- 4人 (10歳男の子と9歳女の子)
- 所在地
- 東京都
- お仕事
- Bright Choice編集長
- URL
- Rena Sakuma (renanarena0513) Instagram
【「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て】
4人きょうだいの長女だった私は、母がアメリカ人だったこともあって、家族から「お姉ちゃん」と呼ばれることはありませんでした。きょうだいは皆名前で呼び合い、家族の一人ひとりが、1人の人間として尊重されているというか、なにか対等に扱われている感覚があったことを覚えています。一方で、年の近い弟たちにとって、私は姉というよりは、 "遊び相手"に近い存在だったと思います。そういった意味では、とても「子どもっぽくて頼りない姉」だったかもしれません。お友達の家に遊びに行くと、「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」という呼称に、何か大人びたものを感じたものでした。
我が家でも、1歳9カ月差の兄妹をニックネームで呼んでいます。上の息子は、少し幼く感じるくらいとても素直で、下の娘は、常に息子と対等を求めるような負けん気の強い性格です。息子はときに親を心配させるくらいに子どもっぽくて、娘とおちゃらけている様子などを見ると、幼小の頃の自分もこんな感じだったのかもしれないと思い返します。
息子が頼りなかったり、幼かったりする様子を見て、「お兄ちゃんだからしっかりしなさい」といったことがないのは、自分がそういわれたことがない、あるいは、そういわれた場合は嫌悪感を覚えるだろう、と想像できるからかもしれません。あえて「しっかりしなさい」というとすれば、「あなたの方が年上で、分別がつくだろうから」と伝えるようにしています。
子どもの年齢差は大きいものです。学年でいうと2つ上の息子は、娘に勉強も教えられるし、一緒に電車の乗り換えをして、テニスの練習に連れていってくれます。駅周辺で娘が財布を落とした時は、私の代わりに交番でのやりとりをしてくれました。娘が息子を頼るシーンも、たくさんあるのです。
そんな我が家で大切にしているのは、"ヨコの関係"。親子であろうが、兄妹であろうが、家族の一人ひとりが大切な存在であることには変わりないのですから。
社会に出ても同じことだと思います。学校では先輩と後輩の関係、会社に入れば、上司と部下の関係というものは存在します。もちろん、一定の敬意や礼儀も求められるでしょう。それでも、例えば学校の部活動や縦割りのグループワーク、仕事におけるプロジェクトでは、年齢関係なく一人ひとりが貢献できるものがあります。学校や会社で関わる人たちに対して、年齢や経歴という"タテの関係"を意識しすぎると、それが従属感につながって、自発的に貢献できる機会が奪われてしまうように思うのです。そういった無用な遠慮を取っ払って、一人ひとりが積極的に社会で活躍できる環境が、元気な社会の土台となるのではないでしょうか。
フリーランスや、クラウドソーシングも一般的になり、コロナ禍を経て私たちの働き方も大きく変わりつつある中、"ヨコの関係"がますます意識されるようになるでしょう。テクノロジーの進化を経て、"ヨコの関係"は国境や人種を越えて、今後ますます広がっていくのではないでしょうか。
そんなことを考えながら、家族という一番小さい単位の社会でも、"ヨコの関係"を大切にしています。少し頼りない息子、ときに主張の強すぎる娘を相手に試行錯誤しながら、それぞれが自我に芽生え、互いに尊重し合える家族の在り方を、今後も模索しつづけることになりそうです。
〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て