あなたの子どもが「のび太」だったら。「できないこと」も諦めない心

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て
- 名前
- 佐久間麗安 / Rena Sakuma
- 家族
- 4人 (11歳男の子と10歳女の子)
- 所在地
- 東京都
- お仕事
- Bright Choice編集長
- URL
- Rena Sakuma (renanarena0513) Instagram
【「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て】
私の息子は、「のび太」のようです。これをいうと、多くの方々が「うちの子も!」といわずにはいられないのではないでしょうか。
「取り柄がない」
「やる気がない」
「根気がない」
「ゲームばかりしていて、勉強しない」
「ない、ない、ない」
「できないこと」ばかりが気になって、ついそういってしまう親心。
息子にいたっては・・
「できないこと」や「うまくいかないこと」があると、すぐめげる。
さすがにテストが0点ではないけれど、凡ミスが多く、根気がない。
マイペースで「朝寝坊」に「遅刻」の常習犯。一学期でなんと遅刻は10回。
喧嘩が苦手で意地悪をいわれるとすぐシュンする。
「しっかりしなさいよ!」と、何度いったことか。
もう、本当に「のび太」みたいです。
親があれこれお膳立てしたって、「~しなさい」といったって、 "暖簾に腕押し"。
この歯がゆさは、どんな親でも身に覚えがあるのではないでしょうか。
子どもたちの大好きな、ドラえもん映画『のび太の新恐竜』*のクライマックスで、飛べない恐竜 キューが飛べるように、必死になるのび太がこんなことをいうシーンがあります。
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「どうしてみんなみたいにできないのさ!」(のび太)
そう言ってしまったとき、自分の胸がはりさけそうだった。
君は何度も練習した。(中略) 仲間に傷つけられたって、ばかにされたって、君は折れなかった。見返してやるんじゃなく、できるようになるために、君は頑張り続けた。
新しい自分になろうとしていた。
のび太は震える。キューを見て震える。
ドラえもん。
ぼくね、ドラえもんがぼくのこと、どんな思いで見ていてくれたかわかったよ。
すごくつらくて苦しいんだね。
でもドラえもんは、絶対にぼくを見捨てなかった。
いつだって僕を応援してくれた。
僕が一人で立ち上がれるように、ずっとぼくを見守ってくれた。
―――ドラえもん・・・!今度は、ぼくがドラえもんになるからね。
「飛べ、キュー!飛べー!」
君はすごく弱い。
だけど、君はがんばれる。強くなれるんだ。
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子育てに奮闘している親にとって、なんともぐっとくるシーン。
「期待を裏切られるような気持ち」
「心配で苦しくなる気持ち」
「不甲斐ない気持ち」
愛する子どもの人生が 「うまくいかない」と、いろんな気持ちが入り混じってしまうもの。
でも、忘れてはならないのは、「ドラえもん」の主役はいつも「のび太」なのだということ。
『のび太の新恐竜』
『のび太の宝島』
『のび太の月面探査記』
映画ドラえもんのタイトルを見れば一目瞭然、ですね。
思えば、「ドラえもーん!」と、どんなに泣き叫んだって、のび太の置かれた状況が決して変わることはないのです。ジャイアンにはボコボコに殴られるし、スネ夫には嫌味をいわれる。テストの点数が良くなることはない。
ドラえもんがどんなに便利なひみつ道具を出したって、
いつだってがんばらねばならないのは、のび太なのです。
そうして、のび太は「できないこと」があるから、がんばる。
「弱い」からこそ、「強い」夢があって、諦めない。
だからこそ、「ドラえもん」って面白い。
私の場合、第一子の子育ては特に、「失敗したくない」、「守ってあげたい」と肩に力が入ってしまって。
息子の人生だというのに、なぜ私が力むのか。
息子の「のび太」な一面は、そんな私の親心にグサリと突き刺さって、たびたび反省を強いるのです。
息子だって、泣いて悔しがることがあります。それは、"がんばっても"「なりたい自分」になれないとき。"がんばっても" テニスの試合でサーブがスパンと決まらないときや、"がんばっても" テストで凡ミスしてしまうとき。そういう時、彼は本当に悔しそうに泣きます。
「がんばってもうまくいかない。」すごく可哀そうに思います。
でも、それでいい。
そういうとき、私たち親にとって大切なのは、
子どもの「なりたい自分」を理解すること。
「新しい自分になりたい」という子どもの気持ち、強い夢や欲求を認めてあげて、「がんばってごらん」と促してあげること。
「諦めない心」を育ててあげること。
のび太って、どんなにポンコツでも、いつも諦めないで頑張りますよね。そして、その内から湧いてくる、「諦めない心」の芽を伸ばしているのは、ドラえもんです。
それは、どんなスキルよりも大切なことなのだということを、「ドラえもん」は教えてくれているのかもしれません。
器用に生きていくことよりも、むしろ多少「できないこと」があった方が、宝が見つかったりするのが人生なのですから。
『のび太の新恐竜』は、こんな風に幕を閉じます。
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学校のグラウンドで、のび太は鉄棒につかまっていた。何度も失敗してもうボロボロだ。
(中略)
挑んでは落ちる。のび太は、そのたびに歯をくいしばる。
何度挑戦しても、キューだって飛べなかった。
でもキューは飛んだ。
何度失敗しても、キューはあきらめなかった。
だからキューは飛べた。
ぼくだって・・・!
「ふんっ!」
頭の中でキューが飛びたつ。それに合わせて思い切り土を蹴った。
グルンと世界が回った。いつもより高いところから学校が見える。
いつもとちがう景色。見たことのない景色。
「・・・できた!」
これだって、新しい世界だ。
のび太の未来が、また広がった。
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子どもはみんな、「のび太」だから頑張るんだ。
だから、私はドラえもんみたいな存在になれたらいいな、と思う。
子どもの未来を広げるために。
〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て