「父の日」もお父さんは休日出勤。お母さんの陰に隠れた父子の絆

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て
- 名前
- 佐久間麗安 / Rena Sakuma
- 家族
- 4人 (12歳男の子と11歳女の子)
- 所在地
- 東京都
- お仕事
- Bright Choice編集長
- URL
- Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram
【「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て】
あっという間に7月。もうすぐ梅雨明けです。
5月、6月のファミリーイベントといえば、「母の日」と「父の日」がありましたね。
皆さんどのように過ごされましたか?
母の日に比べると、なんだか地味~な父の日。そんなご家庭が多いのかもしれません。「父の日と母の日の格差を感じるお父さんが9割」という民間調査を報じたニュースも目にしました。我が家も例外ではなく、今年なんて、夫が仕事で大きな案件を抱えていたこともあって、父の日も週末出勤。母と子どもでお父さんのいない日曜日を過ごしました(涙)。
私の父もまた同様に、家にいることがあまりありませんでした。
父親の存在というのは、どうしても母親の陰に隠れてしまうもの。
4人きょうだいだった私の育った家庭でも「お母さんは絶対」で、母の存在というのは、私たちにとって大きすぎるほどでした。
基本ワンオペの子育ての日々、子どもたちは必然的にママっ子になります。
私も、子どものころから割と最近まで、「お母さんがいなきゃ生きていけない」と思っていました。自分自身が母親になったときは、(お父さんではなく)「お母さんって偉大だな」って思いました。
それでも、最近思うんです。
父親というのは、子どもに向けてあまり誇示されることはないけれど、本当は私たちを笑顔にしてくれていた存在なのだと。
そう思うようになったのは、自分の母を病気で亡くしてから。父と過ごす時間が増え、母に甘えていた私は、父に頼るようになりました。そうして、母の大きな壁の陰に隠れていた父の存在が、ぐぐっと前面に出てきたのです。本当は、お父さんだって、ずっとずっと心の拠り所だったのでしょう。
思えば、父は母の一番の味方でした。いつもそばにいられなくても、父の愛情は母の支えであったし、「愛情ある家庭」を作りました。週末は母に代わって食事を作り、つかの間の家族の時間を楽しみました。父のバケットサンドイッチと、ミートボールシチューが美味しかった。また、自然と花が好きで毎朝欠かさず実家のプランターに水やりする父。それと同じように、家では母を笑顔にし(もちろん夫婦喧嘩も多々ありましたけれど)、一緒に温かくふっくらとした土を作って、その笑顔ある家庭に私たちきょうだいは根を生やして、心も身体も育ててもらいました。そうやって父は、見えない愛情で以って、私たちきょうだいを幸せにしてくれていたのだと思います。
父親というのは、母親にできないことがあります。
私の父の場合は、週末のキャッチボールであり、受験算数の難問を解説してくれたことでありました。家の前の路上で投げ合ったキャッチボールでは、父は童心に戻っていたのでしょうか。父が本気で投げてくる野球のボールの重みは、バシンとグローブに当たって、私の手のひらにジーンと響いたものです。また、アメリカにMBA留学もした経営者の父は、受験算数の難問も、スイスイっと解いてくれて、文系だった高校生の私に「経済では微分積分が大事なんだよ」とよくいったものです。子どもと一緒に童心に返って遊び、たまに理屈っぽいことを口にする。一貫して躾に厳しかった母とは対照的に、父と過ごしたコントラストのある時間には、母との時間にはないユニークさがあって、鮮明に記憶に残っているのです。
「父の日」に不在だった夫の話に戻って、我が家でも夫と過ごす子どもたちの表情には、私といる時よりも躍動感や、浮き沈みがあるように思えます。父子でつい寝る時間を忘れて、ゲラゲラと笑いながらマリオパーティのゲームに没頭してしまうのは、「子育てに従事」する母親である私よりも、夫が子どもと楽しみを共有するのが上手だから。また、眉間にシワを寄せて、ときに手厳しいことをピシャリと言って子どもを黙らせてしまうのは、職場で歯を食いしばって競争している時間が長すぎるからでしょう。夫にもまた、母親である私にはできないこと、私とは違った役割があります。
世界経済フォーラム発表の「ジェンダー・ギャップ指数2023」では、日本は先進国の中でも最低レベルの146ヵ国中125位と過去最低。相変わらず男性に長い労働時間が強いられ、父親という役割を担う時間は限られています。だから、子育ての最終責任を負うのは、母親であることが多い。「ジェンダー・ギャップ指数」の順位の低さは、「母の日と父の日の格差」に相対するのかもしれませんね。
「(家にいられないのは)俺のせいじゃない」
30代の子育て真っ盛りの時期の夫婦喧嘩で、家事と育児の負担の大きさに嘆いた私に、夫にいわれた言葉は今でも忘れません。
そうだよね、子煩悩の夫だから、本当は家にいる時間がもっと欲しいよね・・。
私以上に子どもとの時間を欲している夫。息子の海外進学が決まったとき、神妙な面持ちをしていたのが印象的でした。「子どもの成長を心底喜びながらも、心底さみしい」といった気持ちだったのでしょうか。
子育てというのは、大切な誰かと共有できる方が幸せだとは思いませんか。
年をとって、子どもが大きくなったら、アルバムのページをめくりながら、夫婦で子どもの成長や過去の思い出を共有して笑顔になれる時間が長い方がいい。
母親である私が日々笑顔であるためにも、今できることは、父子が心を通わせられる時間をなるべくたくさん作れるよう、工夫することなのかもしれません。
「父の日」をもっと祝福できるように。
Happy Father's Day to all the wonderful dads out there!!!
〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て