「子どもの夢が、子どもを強くする」思春期子育てで大切に思うこと
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て
- 名前
- 佐久間麗安 / Rena Sakuma
- 家族
- 4人 (13歳男の子と11歳女の子)
- 所在地
- 東京都
- お仕事
- Bright Choice編集長
- URL
- Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram
【「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て】
少年は太陽の位置をもう一度たしかめながら、
夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろいのだ、と思った。
「僕が真剣に自分の宝物を探している時、毎日が輝いている。それは、一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部だと知っているからだ」
―――――― 『アルケミスト~夢を旅した少年~』(パウロ・コエーリョ著 / 山川紘矢+山川亜希子 訳 / 角川文庫)
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先日、長男が13歳のお誕生日を迎えました。晴れてティーンエイジャーです。
そして、もうあと数週間で海外に進学します。
新天地で、これから青春の日々が始まる。
親元を離れるというのに、寂しそうにすることもなく、進学準備をする息子。
もともとお勉強は得意でしたが、進学先が決まってからは、今まで以上に前向きに勉強するようになり、最終学期は優良成績をおさめて賞状をもらってきたほど。
進学先でもごはんが食べられるように炊飯器を持っていくというので、この夏休みは自分でおにぎりを握るようになりました。
これまで、たくさんお弁当を作ってきた私は、もうお役御免。
13歳で巣立つなんて、思ったよりも早かったけれど、こんなにも明るく前向きな息子を見ていると、これが親として身を引く良いタイミングとも思えます。
それにしても、私たち両親が考えていたアメリカのボーディングスクールというレールから大脱線するとは思いませんでしたが・・、もう、子どもの決断力をリスペクトするしかありません。
今回の学校選びで私たちが大きく見直したのは、「学業とスポーツの比重」。
いま、夏の甲子園シーズンですが、スポーツには夢がありますよね。「明日は絶対勝つ」、「優勝したい」、「プロになりたい」・・など、程度の差はありますが、子どもは夢を描いて、努力して、強くなるものです。
進学校であるアメリカのボーディングスクールの学業とスポーツの比重は、どんなにスポーツに熱心な学校でも、9対1~8対2でしょうか。(この場合でいうスポーツは、カリキュラム外の競技スポーツのことです)
一方、息子の進学先は、1対1です。
「お勉強もスポーツもまだまだ頑張りたい」。いま、大学テニスや野球から、プロに転向する選手も増えていますが、「知的探求と夢の追求」というのは、両立できるものなのでしょうか。一ついえるのは、どちらも「人生を面白くしてくれるもの」であり、「人間力を育ててくれるもの」だということ。
ジュニアテニスに打ち込んできた息子の選んだ進学先では、TENNIS+SCHOOLカリキュラムがあり、テニスとお勉強に同じ熱量を注ぐことができます。テニスも成績表が出るというから、「テニスも教育の一環」。それをよく象徴しているのが、入学が決まって届いたInvoiceだったのですが、なんと学費もTENNISとSCHOOLで半々くらい!当然、教育への投資配分も、学業とスポーツで同等なのです。
偏差値勝負の受験競争が殆どだった私たちの学生時代は、学校は机上の勉強をするところ。学業とスポーツの比重をどうするかなど、考える余地もありませんでした。東大に行ける学力があれば、東大を選んだし、受験期に入れば、部活動や恋愛といった青春は諦めて、塾に缶詰めで勉強するものでした。特別な理由がなければ、学歴、そしてその先の就職というゴールのため、お勉強以外の活動は、優先度を下げる以外に生きる方法はありませんでした。
でも、振り返ってみると、そうやって世間にいわれるがまま受験をして、与えられた選択肢の中から学校選びをした私は、どこか「退屈な人生」を送っていたような気がします。
いまの子どもは、机上の勉学だけでは将来が約束されません。人々の働き方や暮らしが多様化する社会で、自らの生き方を見出す能力がないとなりません。
「生きる力」が必要とされる今の時代、「自分の人生を自分事として捉えること」が大事なのだと思えます。これからは、正解のない問題や、国境を越えた課題解決のため、能動的に社会に働きかける主体性が必要なのですから。
そうはいっても、未成年の子どもにとって「自分の人生を主体的に生きること」は決して簡単ではありません。でも、「夢を持つこと」は、子どもが自走を始めるきっかけの一つになり得ます。
心身の飛躍期成長の見られる思春期に、子どもに夢があるのなら、「夢を持ち続ける選択」をしてもいいのかもしれません。スポーツでも、アートでも、アウトドア活動でも、何かの開発や研究でもいいのです。果敢な時期に、「人生がおもしろい」と思えるポジティブな実体験をすることで、子どもの生き方に前向きな力が生まれそうです。
だから、「どうせ叶いっこない夢」なんていわないで、思春期のうちは「子どもの夢」に託して。いまは、子どもの夢に子どもを育ててもらえばいいのかもしれません。
思春期にオススメの名著「中南米版の星の王子さま」といわれる『アルケミスト』の言葉を引用すれば、「夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろい」のであり、「一瞬一瞬が宝物を見つけるという夢の一部」なのですから。
ところで、最近、子どものいじめや自殺に関する悲しいニュースが絶えません。2023年3月に厚生労働省と警察庁が公表した「2022年中における自殺の状況」によれば、小中高生の自殺者数は過去最多の514人にのぼるそうです。中でも、学校問題が原因と考えられるケースが5割、家庭問題が2割を超えているといいます。
本来、子どもを育てるはずの学校と家庭で、子どもが生きる活力を喪失しているのは何故なのでしょうか。もしかしたら、多くの子どもたちが「人生がおもしろい」と思える体験をできずにいるのではないしょうか。
そうだとすれば、子どもは親や学校の期待外れに生きるくらいの方が、幸せなのかもしれません。
さて、息子の冒険が始まっても、私の子育ては終わりません。
夢に向かって、笑顔あり、涙あり。
涙だって「夢の一部」であり、人生を彩る布石になる。
きっと子どもはそうやって強くなるのだと思います。
だから、「いつでも泣きつける心の拠り所」でいてあげることが、これからの私の役割。
正直なところ、もうそれ以上、親としては何もしてやれないなぁと思うのです。
〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て