インター受験で準備しておきたい 親の面接で大切な5つのこと

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「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

名前
佐久間麗安 / Rena Sakuma
家族
4人 (13歳男の子と11歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
Bright Choice編集長
URL
Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

インター受験期まっさかり。オープンハウスやアプリケーション(願書)、文化祭への視察などで忙しい毎日の中、ヤキモキする時期でもありますね。

「子どもが主役」のインターナショナルスクールは、常に子どもの生きる次世代に目を向けられているから、子ども一人ひとりが、主体的に、そして前向きに学べる場所。(前回コラム「インター受験で大切な親の基本姿勢 卒業した今だから伝えられること」〈2023.09.22〉より)

我が家では、今年13歳の息子が8年間通ったインターナショナルスクールを卒業し、8月より新しい学校で新学期をスタートしたころ。今改めて、どんなに恵まれた学習環境であったかということを、日々実感しています。

まだ中学一年生の息子は、自分で次の進路を決め、いま新しい環境で果敢にチャレンジしています。
感心してしまうのは、ただ目の前にある課題をこなすのではなくて、
「将来は"Environmental Science"に関わる仕事に興味があるから、サイエンスは頑張りたい」、といった風に、自分の未来を想像しながら、いまの勉強に取り組めていることです。

これまで、インターナショナルスクールで過ごした8年間という土台があったから、その後の進路、その先の人生を自分で切り開けているのでしょう。今年インター受験を控える子どもたちにも、自分でその先の道を創造できるようなスクールに巡り合えることを心より願っています。

さて、先日、昨年老舗インターナショナルスクールにお子さんが合格された保護者に、アプリケーション(受験プロセス)について聞いたところ、わたしの息子が受験した頃と本質は変わっていない印象でした

最大の関門となる親の面接で、準備しておきたいことは大きく5つ。
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1. どんな大人になってほしいか
2. 子どもに望む学習環境
3. 子どもの性格、好きなこと
4. なぜ○〇スクールが合っていると思うのか
5. 主体性をもって会話をすること、意見すること
(1~4は意見、5は実際の伝え方になります。)
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オンラインアプリケーションシステムで願書を提出して、書類審査を通過したら、いよいよ面接です。
面接では、カジュアルな会話が中心となるので、直球質問がないかもしれません。会話の中で、自分から話題を作ってアピールすることが重要になってきます。


【1. どんな大人になってほしいか】
これは、「子どもはどんな世界を生きるのか」「なぜインターナショナルスクールで学ぶのか?」という、「オリジナルな教育方針」の軸になる、大切な部分。
「インター受験で大切な親の基本姿勢 卒業した今だから伝えられること」2023.09.22
「インターナショナルスクール受験対策で家族が心掛けるべきポイント」2023.01.25

インターナショナルスクール人気の背景には、「時代に合ったグローバル教育」を希望する親が増えていることが伺えます。世の中の変化に敏感な親たちには、「こんな大人になってほしい」という願いがあるはず。

この質問は、まずは受験プロセスの最初の願書提出の際に、問われることが多いかもしれません。面接に進んだら、願書に書いた内容を、改めてアピールして。子どものエピソードを交えながら語ると、効果的かもしれません。

「子どもはどんな世界を生きるのか」ということは、ある程度想像することができます。加速度的にテクノロジーが進化し、私たちの生き方や働き方は大きく変わりました。実質空間・仮想空間(メタバース)を介して、人・モノ・情報・マネーが国境を越えて行き交うボーダレス社会では、多様な社会や人種との距離がギュギュっと縮まります。
子どもたちが生きるのは、オンラインで世界中の人たちと簡単につながることのできる時代であり、仮想通貨やNFTなど、デジタルに、そして瞬時に、売買取引が成立してしまう時代。そのうちに、車の自動運転が当たり前になって、地上だけなく空にも交通網ができるようになって、宇宙旅行もするようになるでしょう。
また、環境問題や世界紛争など、国境を越えて取り組むべき問題も、今後ますます増えそうです。

私たちの場合は、
「多様な社会で、他人への思いやりと共存意識を持って生きてほしい」
「クリエイティブなアイディアを持って社会に働きかけてほしい」
「学びのプロセスを楽しんで、深く考えられる子になってほしい」
というようなことを、いろんな会話を交えて話しました。

未来志向の学習環境を提供するインターナショナルスクール側も、教育者として同じ課題認識を持っているのですから、共感してもらえるように、丁寧に伝えたいところです。


【2. 子どもに望む学習環境】
この質問も、願書で問われることが多いかもしれません。次時代を生きるために必要なのは、英語力だけでなく、グローバルスタンダードの教養。これからの時代、英語だけでなく、アートな表現力やプログラミングなどのデジタルツールを用いて、世の中をデザインしていく力が問われると感じています。(STEAM教育が重視される所以でしょう)
将来必要になる"グローバルスキル"を習得できる学習環境を求めるからこそ、私たちはインター受験を検討するのではないでしょうか?

インターナショナルスクールというのは、常に次世代を意識して学習環境やカリキュラムを更新していきます。特に老舗インターナショナルスクールでは、シアターやミュージックスタジオ、スポーツ施設やサイエンスラボ、立派なライブラリー、アトリエやSTEAM教育用の教室など、いま必要とされる学習環境が充実しているものです。

でも、学習アプローチは子どもそれぞれ。将来、アートが好きな子どもだったら、デザインする力を活かして仕事を創造できるかもしれないし、数学が得意だったらブロックチェーンのような新しい技術を編み出すかもしれない。そんなことを想像しながら、受験するインターナショナルスクールのウェブサイトでは子どもの得意を伸ばせる学習施設、カリキュラム、環境をチェックしておいて。
子どもの得意なことをアピールしながら、スクールへの志望動機を効果的に伝えられる貴重な機会だと思って対話したいものです。

そして、常に「子どもになったつもり」で、子どもを主語にして語ることも忘れないで。個性重視の学習環境では、親にとっても、スクール側にとっても、主役はいつも「子ども」なのですから。


【3. 子どもの性格、好きなこと】
"Hi, Nice to meet you..." と挨拶し、席についたら、 "So, what is he like?" といった具合に、面接の最初に「で、どんな子なの?」と聞かれたことを覚えています。

日本の小学校受験と違って、お勉強ができる、お行儀がよい、ということ「以外」のことの方が評価されるのが、インター受験の特徴。なぜかといえば、皆と同じでないところに「子どもの個性」が現れるからです。

インターナショナルスクールの授業は、双方向のコミュニケーション、グループワークをベースにした参加型の少人数制クラスで行われます。子どもの個性が生きてくる授業スタイルなので、先生たちは子ども一人ひとりがどんな子であるのか、ということに大きな関心を寄せてくれるのです。

子どもの性格や好きなことについて、家族の中での役割や、友達関係、はまっているアクティビティや習い事など、親が誇り(proud)に思える点から、愛しい(adorable)と思える点まで、ハード面もソフト面も全部ひっくるめて、子どものキャラクターを魅力的に表現したいところです。

また、志望理由としてアピールできるのであれば、子どもの課題を伝えたって大丈夫。私たちは、「優しくて家族思い。兄妹喧嘩では妹に泣かされてしまう」「思いやりはあるけれど控え目なところもあるので、これからもっと意見を言える大人になってほしい」なんてことも話しました。面接官の先生も、共感してくれたのを覚えています。

【4. なぜ○〇スクールが合っていると思うのか】
どの学校でも、必ず質問される質問でしょう。独自のカリキュラムを持つインターナショナルスクールでは、学校の規模、エリア、家からの距離や通学時間、人種の多様性、カリキュラム、学習設備、アフタースクールアクティビティ、学校の文化など、学校によって特徴が異なります。

まずは、子どもの性格や好きなことに沿って、そのスクールの提供する学習環境をしっかりとリサーチして。面接で子どもにとってなぜスクールの学習環境がフィットするのかを説明できないとなりません。

カリキュラム面でいえば、高等教育でアメリカを考えているのであればアメリカンスクール、イギリスなどヨーロッパを志向するのであれば、ブリティッシュカリキュラムや国際バカロレアプログラムのある学校が良いでしょう。

また、学習面に限らず、課外活動の充実度にも力を入れているスクールもありますから、重要な検討ポイントになり得ます。アクティブな子どもであれば、アフタースクールでバスケがしたい、インターで人気のチェスクラブに参加したい、日本語クラスに興味があるなどといった点も、アピールになるのです。

加えて、スクール文化を知っておくことも重要です。文化祭に足を運んだり、在校生ファミリーに会っておくなど、スクールコミュニティに触れておくことで、そのスクール固有の価値観や共通言語がわかったりします。各地からスクールバスで通える大規模で活気ある学校、徒歩圏内のコミュニティを大切にする小規模な学校、PTAの活動に重きを置いている学校、女子校・男子校ならではの教育理念を持つ学校、国際バカロレアの特色の強い学校、ブリティッシュ、アメリカンなど・・、スクール文化についても事前に予習して臨めると、「文化祭に行った際に、子どもだけでなく、親も生き生きしていることが素敵だと感じた」「バスケが上手な〇年生の〇〇くんに、スクールのバスケ部の話を聞いた」など、共通の話題を作れたりもするので、お互いにとってより好印象な面接になりそうです。老舗インターナショナルスクールを受験する場合は、特に意識しておくと良いでしょう。


【5. 主体性をもって会話をすること、意見すること】
インター受験対策」なんて言葉を耳にするようになりました。昔はそんなものはありませんでしたが、日本人にとっては慣れない英語での受験ですから、それなりに「対策」も必要でしょう。
難しいのは、インター受験の面接では、とてもカジュアルで自然に「会話」することを求められるという点です。英会話の文脈の中で、願書で述べたことや準備した意見を話せる柔軟なコミュニケーション力が必要となります。当然、質疑応答形式ではないので、聞かれたことに答えただけでは会話になりません。何か質問をされたら、それに対して関連する話題を上乗せしていくつもりで、主体的に会話を創造し、雰囲気を盛り上げたいところです。

会話の中で求められるのは、「子どもはどんな世界を生きるのか」「なぜインターナショナルスクールで学ぶのか?」という、「オリジナルな教育方針」を軸に、「意見」すること。英語に自信がない場合、願書で書いた自分の英作文を何度も読み上げ、どんな文脈でも話せるように頭に叩きこんでおくと良いのではないでしょうか。そして、夫婦で何度も英語で会話する練習を実践することです。大事なのは、英語力よりも何よりも、「自分の言葉」で話すことにあります。子どもの一番の理解者として、子どもの魅力を表現し、なぜ〇〇スクールで学ぶのか、という想いを伝えてください。

また、スクール固有の言語というのもあるので、受験校の公式ウェブサイトやパンフレットを何度も読み返し、ボキャブラリーを確認しておくこともおすすめです。アメリカンスクール、ブリティッシュスクール、国際バカロレアのスクールなど、同じ英語でもそれぞれの文化や教育カリキュラムによって、言葉の使い方に特徴があります。夏休みなどを利用して、何度も読み返しておくと英語の補強になるのではないでしょうか。

たとえ途中で英語が詰まったとしても、英語を母国語としない日本人なのですから、大丈夫!ネイティブではないことは相手もわかっているのですから、そこは開き直って。最後は度胸をもってあきらめずに意見を伝えてください。その想いは、必ず伝わるはずです。

インターナショナルスクールに入学したら、親と先生は対等に会話するものです。ですから、子どもに限らず、素敵なファミリーだな、と思ってもらえることも大切だったりします。

お互いに子どもがそのスクールで生き生き学習する姿を想像でき、「この子に入学してもらいたい」、と思ってもらえるようなスクールが見つかったら、そこが子どもにとって一番可能性の広がる場所なのでしょう。

面接では、「子どもになったつもり」で「子どもの未来を想像」しながら、たくさん会話をして、たくさん意見して。スクールと直接対話できる貴重な機会に、子どもにとってベストな環境を見つけ出してあげてください。


〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

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  • 子どもが主役のインター受験

  • 面接で心がけたいこと

          
  • 日本のメディアでなかなか触れられない、世界のヘッドライン満載のNEWSWEEK。グローバルスタンダードの情報に常に触れておくだけでも、自分の意見を磨くことができると思うんです。日本語で読めるから、世界のニューストピックをしっかり理解できるのも良いです。

  • 私が受験をした当時、面接で「週末は家族でどんなことをしますか?」と質問されました。家族の週末の話を通して子どもの話をたくさんしたら、会話が弾んだのを覚えています。インター受験は英語力や面接や願書などが気がかりですが、スクールが一番知りたいのは、子どものことなのですね。

  • 面接はZOOMで行われることが増えました。当たり前ですが、オンラインであっても、目を見て話す、きちんと会話をする、熱心に意見することが大切。熱意の度合いはきちんと伝わります。