世界と繋がる日本のアートスポットへ!|親子で新ジャポニズム体験

Choice

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

名前
佐久間麗安 / Rena Sakuma
家族
4人 (15歳男の子と13歳女の子)
所在地
東京都
お仕事
Bright Choice編集長
URL
Rena Sakuma (@renanarena0513) Instagram

「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

"Wabi sabi gives you the discipline to shift your attention from impossible ideals to achievable standards"
― Adam M. Grant, Hidden Potential: The Science of Achieving Greater Things(アダム・グラント、『可能性の科学:あなたの限界は、まだ先にある』)

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インターナショナルスクールに子どもを通わせてはや10年。
子どもがミドルスクール・ハイスクールに進級する中で、子どもの将来に「日本での経験」をどう活かすのか、ということがますます大切になっていると感じます。
そんな中、親子で素敵な現代日本アート体験をしてきました。いま、「新ジャポニズム」という、日本の伝統文化の新感覚の発信が世界的に話題です。
それは、不確実性の高い21世紀の国際社会で役立つ国際教養かもしれません。
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先日、娘のベストフレンドのファミリーのご招待で、代官山に新しくオープンした「ディオール バンブー パビリオン」に行ってきました。

ママ友が話題のカフェディオールも予約してくれて、ガールズたちは「今日のプレイデートは特別だね!」と、いつになくウキウキ!

予約時間少し前に到着すると、そこは日本の現代アートが立ち並ぶ美術館のようなお店。自然との調和を大切にする日本の美意識と、ムッシュ・ディオールの自然への敬愛心が共鳴する、和洋折衷のおとぎ話の世界に飛び込んだような魅惑的な空間です。

まず、ボタニカルな日本庭園に佇む黄金のバンブーをモチーフにしたモダンな建築が私たちを迎えてくれました。「ひとの心に植物を植える」をコンセプトにする日本の代表的なプラントハンター西畠清順さん監修の庭園の池には、ガラスの鯉がキラキラと泳いでいました。「私たち、セレブみたいだね」とガールズたちも目を輝かせて、ゴールドのバンブーがあしらわれたファサードで記念写真。

店内に入ると、壁も天井も和紙張りのやわらかい空間に包み込まれます。中央には、京都の職人が手掛けた小花柄やてんとう虫柄の大ちょうちんが立ち並び、ディオールのコレクションと調和していました。和紙の貼られた壁一面に飾られたレディーディオールやブックトートが一層可愛く映える店内で、ガールズたちはウィンドーショッピング。

店内をぐるりとしたら、ママ友が予約してくれた「カフェディオール」へ。こちらでは、東信さんのフラワーアートに囲まれながら、まるでお花畑で食事をしている気分に。抹茶や柚子、日本酒など、日本の素材を取り入れたメニューは、一皿一皿アート作品のようで、思わずスマホ撮影が止まらない。東さんのシグネチャー作品「パルダリウム(温室)」の贅沢なインスタレーションには、ガラス張りの温室の中で季節の草花がぎっしりと生息し、店内では一年を通して日本の四季の移り変わりを感じられるようです。それは、床飾りの茶花を通して、四季を感じる茶室の設えにも通ずる空間です。

美術館の展示だったら退屈してしまうところ、この日のガールズたちは終始キャッキャしていました。このような没入型アート空間なら、知らずうちに日本の美的感性に触れられるんですね。

さて、最近世界的にも日本ツーリズムが大人気(ディオール バンブー パビリオンも外国人のお客様がたくさんいました)ですが、これは19世紀後半から20世紀初頭にかけて、欧州(特にフランス)で流行した「ジャポニズム」の再来ではないでしょうか。当時、浮世絵や伝統工芸品などの日本文化や美術が評価され、特に琳派は、フランスで「エコール・ド・コーリン」は呼ばれ、ゴッホやモネなどの巨匠にも影響を与えたといわれます。

以前、東信さんと村上隆のYouTube対談を視聴した際、村上隆さんも琳派にインスパイアされていると知りましたが、デフォルメされた草花柄で装飾されたディオールのボタニカルなコレクションも、やはり同じように琳派の影響を受けているのでしょうか?

私は子どもの頃から茶道を続けている関係で、最近日本の美術館に足を運ぶことが多いのですが、いつも多くの外国人観光客が日本の伝統美術を楽しんでいるのが見受けられます。根津美術館の琳派展、三井記念美術館の円山応挙展、大倉集古館の茶道具取り合せ展など、日本の美意識に触れる素敵な体験機会なのでしょう。

そして、この「新ジャポニズム」という流れを受けて、日本人である私たちこそ、日本の伝統文化を受け継いでいくための教養が必要ではないでしょうか?国際教育といえば、英語教育や国際的なカリキュラムが注目されがちですが、それはコミュニケーションツールでしかありません。インターナショナルスクールに子どもを通わせる日本人の私にはどうしても、日本人として私たちらしく意見・表現するための「中身」が抜けているような気がするのです。外交官であり、京都国際会館館長も勤めた中村順一さんは『日本人の感性と東洋の叡智』で、21世紀の国際社会では、日本人の感性や叡智という固有の特長が、平和と持続可能な方向へ導くことができると言います。私も、ディオールのバンブーパビリオンでガールズたちが日本アートを楽しむ様子を見ながら、このような海外発の「ジャポニズム」が、日本人によって内発的に発信される機会が増えたら良いなと思います。そのためには、日本人の国際教養として、「ジャポニズム×リベラルアーツ」という新しい科目があっても良いのではないか?」とも考えます。

今年から、息子がイギリスボーディングスクールに進学することになったのですが、昨年受験で何校か学校訪問した際も、日本人学生として個性を発揮することの重要性を感じました。どの学校も、アジア系留学生は多いのに日本人学生が少ないんだそうで、日本に対する興味関心の強さを感じました。進学の決まった学校の願書で書いたパーソナル・ステートメントという作文では、志望理由に日本の個性的なエピソードを織り交ぜながらアピールしました。エンジニアリング分野に興味のある息子は、あまりアートなことを語れるタイプではないのですが、もしかしたら、夏休みに大阪万博で観た大屋根リングの釘を使わないサステナブルな木造建築の技術とその機能性に驚いたことや、隈研吾をはじめとする日本の建築への興味関心があることを書いた点が、評価されたかもしれません。
そうやって、自分のアイデンティティを再認識する経験を経て、息子は一回り大きくなったと思います。海外を舞台に、今後ますます頑張ってほしいものです。

そういえば、息子はいまの留学先の寮で炊飯器を置かせてもらって日本米を炊いているのですが、同級生たちも「ご飯ちょうだい」と言って、いつもおすそ分けをせがんでくるそうです。息子は、そうやって日本のお米の美味しさを海外のお友だちと共有できるのが嬉しいんだそう。
ここ最近は、アニメ、マンガ、ゲーム、食べ物など、日本のカルチャーが世界的にも人気ですから、そこからいくつも共通点を見つけて友情を育んでほしいなと思います。

中村順一さんによれば、「共感と調和」を重んじる日本人は本来、多様性と直面する国際社会にもっと貢献できるコミュニケーション力を持っているといいます。今の国際社会は、個を重視し「分立と独立」を前提とする西洋のコンテクストが色濃いがゆえに、さまざまな場面で多様な権利や主張が対立しているといえます。環境問題、紛争問題、関税交渉など、国境を越えた課題は協調なくしては解決できそうにありません。良い国際社会つくりのため、日本人がもっとリーダーシップを発揮できるためにも、いま、子どもたちには自分らしく意見し表現するためのアイデンティティの土壌を築いてほしいと願います。

また、この日本人特有の資質は、個人のスキルアップにも重要な役割を果たしそうです。ペンシルヴァニア大学ウォートンビジネススクール教授の心理学者アダム・グラントは、世界的ベストセラーである自己啓発本『Hidden Potential 可能性の科学:あなたの限界は、まだ先にある』の中で、日本の茶道の侘び寂びの精神や安藤忠雄さんの建築に見る「不完全の美」に着目し、これからの時代は「不確実性と調和」が成功のカギだといいます。多様性溢れる国際社会は、コントロールできないことばかり。正解のない世の中では、適切な妥協と柔軟な適応能力が個人の可能性を最大限に引き出すといいます。「 Imperfectionist(不完全主義)」であることが、不確実性の高い困難な状況を乗り越えるための忍耐力、それを乗り越えるための成長力を育ててくれる重要な「キャラクタースキル」の1つだというのです。

「新ジャポニズム」時代、日本でも、子どもたちが退屈しないで楽しめる日本のアート展やインスタレーションがまだまだありそう!「調和を重んじる表現力」という日本人固有の豊かなコミュニケーションスキルを育むためにも、娘とまた素敵なアート体験ができる機会を見つけたいと思います。

〈佐久間麗安連載〉
「子どもの好き」が最大のモチベーション!な国際派子育て

  • 開放的で和モダンな庭園に入ると、池にはガラスの鯉のアートがキラキラと輝きます。中国の故事「鯉の滝登り」に由来し、出世や成功、長寿・健康の象徴なんだそう。ガールズは黄金色に輝くバンブーパビリオンを前に大盛り上がり。

  • 東信さんのフラワーアートに囲まれて、カフェタイム。やはり、見どころは「パルダリウム」内に生き生きと咲く季節の草花。一見、食べるのがもったいないくらい可愛いケーキたちは、一度口にすれば美味しすぎてペロリと完食。

  • 先日、12日で京都へ。シックスセンシズに宿泊しました。清水寺近くで偶然立ち寄った、スターバックスコーヒー京都二寧坂ヤサカ茶屋店は、築100年超の町屋を利用した世界発の「畳のあるスタバ」。暖簾をくぐって入店すると、そこは日本とは思えないほど外国人旅行客で溢れていました。

  • 子どもの頃から続けてきた茶道は、作法が厳しいと思われがちですが、実はその醍醐味は「ただ茶の湯を楽しむ」という飾らない精神性に尽きます。茶室で日本の四季を味わいながら自身と向き合う、最高のメディテーションではないでしょうか。最近は海外旅行客にも人気で、稽古用の抹茶が品薄です。

  • いま気になっているアート展は、今年初夏に東京ドリームパークにオープンする「レーヴ・デ・リュミエール」。パリで絶大な人気を誇る巨大デジタルアート施設の上映作品の第一弾は、日本の琳派の影響も受けたという「ゴッホ」です。