大きな実りとなったスイスのサマーキャンプ。経験の先にある「自ら育つ力」を実感!

子育ても仕事も自分らしく彩るマンハッタンの暮らし
- 名前
- 小浪良子 / Ryoko Konami
- 家族
- 3人(夫、8歳の女の子)と9歳の豆柴
- 所在地
- ニューヨーク
- お仕事
- IROHA NYC経営
- URL1
- 小浪良子 / Ryoko Konami インスタグラム
- URL2
- IROHA NYC
【子育ても仕事も自分らしく彩るマンハッタンの暮らし】
今年の夏も、娘と二人でスイスへ行きました。娘がサマーキャンプに通う2週間は、私たちにとって知らない街で少しだけ暮らしてみる特別な時間。こうして二人でのんびり旅ができる夏も、あと何回あるのだろうと思うと、キャンプでの体験はもちろん大切ですが、何気ない1日の出来事や会話も含めて大切な瞬間ばかり。
今年娘が通った学校には、語学やスポーツのほか、ロボティクス、プログラミング、アート、ダンス、乗馬、セーリングなど、さまざまなプログラムからあります。娘が参加したのはロボティクスとダンスです。学校に迎えに行くたび、同じアクティビティでできたお友達と楽しそうに出てくる様子にほっとしました。
昨年に体験した学校より施設が大きく、スイスはとても暑かったので学校全体で楽しむプールデイも何度かあり、これが娘にとってはお祭りのような一日だったようです。思い切り遊べたことをうれしそうに話してくれました。
今年は、娘を本来の年齢より一つ上のグループに入れたことも、昨年との大きな違い。少しチャレンジングでもあったようですが、事前に学校側とプログラムの内容を確認しながら、本人がどんなことを楽しみたいかを考えられたことも良かったポイントだったと思います。
どこへ行っても娘が一番年下でしたが、早めに学校の集合場所へ着くと「同じダンスクラスだから、彼女のことはちゃんと見ておくよ」と、声をかけてくれる子もいたり。先生だけでなく、年上のお姉さんやお兄さんたちが気にかけてくれたことも、娘が安心して過ごせた理由の一つかもしれません。
知らない環境に入り自分の居場所をつくって、少しずつその場になじんでいくって、子供にとっては簡単なことじゃないことだと思います。自分で何とかしてみたり、困ったときには誰かに助けてもらったり、そうしたこともキャンプを通して徐々に覚えているように見えました。
日に日にたくましく、のびのびとした表情の娘を見ながら、子どもは親の知らないところでもちゃんと成長しているのだと、改めて実感。その一方で、親として一番大変だったのは、キャンプの内容ではなく毎日の送迎でした。
滞在先から学校までは片道約30分。朝、娘を学校に送って戻り、夕方また迎えに行っては戻る。これを毎日繰り返すと、昼間も案外のんびりしていられません。その点では、ホテルの前までスクールバスが来てくれた昨年がちょっと恋しかったです。
海外のキャンプを選ぶときは、つい学校やプログラムの内容に目が向きます。でも、親子で滞在するなら「どこに泊まり、毎日どう通うか」まで含めてもう少し考えたほうがよかったかも。片道30分という数字だけではわからなかった、今回の実感です。希望するクラスの予約がいつ始まるかも、次はもっと早く確認しておきたいと思います。
週末には、娘と列車に乗ってシャモニーへ日帰りで出かけました。数日前から一緒に時刻表を調べ、列車を乗り継ぎ、ロープウェイで山の上へ。降りた先に景色が広がった瞬間、娘が無邪気に駆け出す姿が本当に清々しくて、美しい眺めの中を一緒に歩いた時間が、今も心に残っています。
学校で新しいことに挑戦する娘も、目の前に広がる景色に心を奪われて駆け出す娘も、無邪気にアイスを頬張る娘も、どれもこの夏の娘の姿です。サマーキャンプをきっかけに訪れた街で、そんな様子をそばで見られたこと。私にとっては、それも2週間をかけて得た大切なものだったと思います。
一方、ニューヨークはというと、秋は外で過ごすのが気持ちいい季節。そんな心地よい気候に相応しいに、Governors Islandにある「The Yard」というアドベンチャー・プレイグラウンドの記事が気になりました。
〜The Wall Street Journal, "Don't Call Me a Helicopter Parent. My Kid's in a Junkyard Playing With a Saw," September 2026.〜
ここは子どもたちが廃材や工具を使いながら、大人に細かく指示されることなく、自分たちで遊び方を考える場所。この場所で大切にされているのが、"self-directed play"という考え方で、大人が遊び方を決めたり、先回りして答えを用意したりするのではなく、子ども自身が「何をしたいか」「どうやってやるか」を考えながら遊ぶ時間です。
そうした経験の中で、創造性だけでなく、自分で決める力や、試して失敗してまた考える力、人と関わりながら調整する力も育っていくと考えられています。
スイスのサマーキャンプで、娘が自分で選んだプログラムに参加し、慣れない環境の中で少しずつ自分の居場所をつくっていく姿を見ていたときにも、似たことを感じました。
場所や形は違っても、大人がすべてを整えすぎず、子ども自身が選び、感じる余白を残しておくこと。その余白の中にこそ、子どもが自ら一歩を踏み出すきっかけが生まれるのかもしれません。
そして、それは私自身にも言えることで、日々の忙しさに追われていると、せっかく心を動かされる景色に出会っても、その感動をゆっくり味わう間もなく次へと足を進めてしまうことがちょくちょくあって、
美しいものに出会ったら、少し立ち止まり、その余韻に身を委ねてみる。
そんな時間の豊かさを、娘と過ごしたこの夏にあらためて教えてもらった気がします。
そしてもう一つ、NY初のベンチャー企業が先日発表した子供用スマホ「Freckle」も気になっていて、予約を検討中。これは7〜13才を対象にしたプロダクトで、ブラウザもアプリストアもSNSもなし。連絡できるのは親が許可した相手だけ。
そのかわり、カメラを向けると虫や鳥や植物の名前がわかって、図鑑みたいに記録されていく。そして「公園で虫を5種類見つける」「美術館で印象派を3枚撮る」みたいなお題を送ることもできるみたい。カメラで見つけた虫や鳥や植物はデジタルのシール帳に追加されていく仕組みで、創業者はリアル版ポケモンGOのような感覚と説明しています。
見守りや監視をすることよりも、子どもが自分で外を歩ける、歩きたいと思うことを優先し興味を広げていくことを後押しする設計思想に共感しました。子どもがテクノロジーに振り回されるのではなく、外の世界とつながるために使えるものが増えていくのは、大事な変化だと思いました。
〈小浪良子さん連載〉
子育ても仕事も自分らしく彩るマンハッタンの暮らし