カナダへの母子留学で「英語力」「水泳のタイム」「親子の絆」はどう変わったか?

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カナダに「教育移住」した私の「母子留学つれづれ日記」

名前
高田さおり
家族
4人家族(14歳と12歳の男の子)
所在地
カナダ・ブリティッシュコロンビア州
お仕事
Study & Stay代表
URL
Study & Stay Instagram

カナダに「教育移住」した私の「母子留学つれづれ日記」

2人の息子を連れ、2020年の秋からカナダのBC州へ母子留学に来ている我が家ですが、よく「カナダに移住して息子さんたちはどう変わりましたか?」との質問を受けます。

もっとも聞かれるのは、英語力に関して。

カナダに渡り、1年以上はコロナ禍によるマスク着用で「相手の口の動きが見えない状況」が続いていました。そんな厳しい環境の中でも、息子たちは英語を学ぶ上で次のことを頑張っていたと感じます。それは、「自分がどうすれば相手に理解してもらえるか」という伝え方の工夫と、「相手の言いたい事を状況から判断して聞く」ということ。

カナダ
は、移民もさることながら、留学生も多く受け入れており、完璧な発音でなくても一生懸命に相手を理解してくれようとする人が多いように感じます。そういった現地の方の優しさもあり、彼らが学校に通い始めて4か月を過ぎた頃から、相手の話す内容を汲み取り、自分の意見も少しずつ発言できるようになってきました。

長男は元々おしゃべりなタイプでもなく、中学生で少し難しい年ごろでした。性格的に自分から積極的に話しかけるのも得意ではなかったので、何か聞かれない限りは自分から英語を話しませんでした。

ただ、日本の中学校の授業で少し英文法を学んでいたからか「ELL(留学生が学ぶ英語の補習授業)」にはスムーズに取り組めたようです。また、学校で分からない単語が出ると辞書で調べたり、習い事の水泳クラブでは練習のルーティーンを掴んだりと、その場に応じて冷静に対処している様子でした。

次男は小学校高学年でしたが、まだまだ精神的に幼く、遊びの中で友達ができるまでにそれほど時間はかかりませんでした。学校の体育の時間にTag(鬼ごっこ)をしたり、放課後は友人たちとゲームを通じて楽しむ時間が多かったように思います。彼の場合、幼いころから洋楽を真似て歌う事が得意だったので自然と英語の音を掴めていたのかもしれません。

2人の息子を側で見ていて強く感じたのは、同じ兄弟でも得意不得意がある事。語学も「勉強する」のか、遊びや会話の中で「習得する」のかによって、覚えるスピードも意欲も全く異なります。食べ物に関しても、洋食でも違和感なく受け付けるタイプと、慣れ親しんだ和食を好むタイプと、我が家の場合は兄弟全く違うタイプでした。どちらかといえば、全てにおいて受け入れる幅の広い弟の方が、カナダ生活をエンジョイしているように感じています。

息子たちが熱心に取り組んでいる水泳に関しても、カナダで大きな成長を感じます。

こちらでは日本にいた頃よりも練習がぐんとハードになりました。というのも朝は6時から1時間半。たとえ外が雨であろうと気温が11℃であろうと、屋外プール(温水プール)で練習が行われます。

朝練があった日の午後は「Dry Land」という、筋トレやヨガ、縄跳びを取り入れた陸上トレーニングをします。長男も次男も、水泳クラブの同じグループでは最年少のほう。彼らより2歳年上の子と一緒にトレーニングメニューを組まれていたので、毎回ヘトヘトになりながら帰宅し、口を揃えて「今日は休みたい」という日も少なくありませんでした。

どうやら息子たちの所属する「Hyack swim club」は、私たちが住むブリティッシュ・コロンビア州の中でもトップを争うチームだったようで(入って初めて知ったのですが...)、チームメイトにはカナダの競泳記録を更新するスイマーがいたり、コーチの中には元・競泳ハンガリー代表の方もいました。

日本では滅多に競泳用シュノーケルやフィンを付けることがなかったのに対し、カナダでは道具を付けて練習をする事が多く、日本とは違う内容のレッスンを受けていました。その甲斐あってか、長男はBC州の水泳連盟で50mバタフライ2位、次男はカナダの水泳連盟で50/100/200mのバタフライで全て1位という成績を収める事ができました。

親子としての「チーム力」が深まったことも、カナダで得たことの大きなひとつです。

それは昨年、私の姉がカナダへ遊びに来た時のことです。「僕はさ、まだ子供でお母さんを守れないから、お母さんの事よろしくね」と、次男がこっそり姉に伝えていたそう。11歳ながらに母親をサポートしようとしてくれたことに、今まで気付かなかった息子の優しさを知りました。

海外生活ではいつも不安と隣り合わせ。それに加え、我が家は日本に夫を残しての母子留学だったため、私なりに、なるべく息子たちには不安を感じさせないよう振舞っていたつもりでした。が、きっと彼らなりに「お母さんにもしも何かあったら...」と考えていたのでしょうね。

ご飯を食べた後には自分から率先して食器を洗ってくれたり、お風呂のお湯もためてくれたり。ちょっとしたサポートですが、カナダに来てから日々の暮らしの中で、母子で過ごす時間が増え、親子としての「チーム力」が強くなったように思います。これも日本で生活していたら感じられなかった成長かもしれません。


〈高田さおりさん連載〉
カナダに「教育移住」した私の「母子留学つれづれ日記」

       
  • クラスメイトと下校

  • 参観できた音楽会

  • 先生のお誕生日に…

          
  • 息子たちが通っている屋外プール

  • Swim BCの賞状

  • バンクーバーに近いスタンレーパーク。

  • 次男がカナダの学校に通い始めてすぐ仲良くなったお友達と。車で送迎がメインでしたが、お天気が良い日は徒歩に。この日はお迎えに行ったら「お友達とゲームの話をしたいからお母さんは後から付いて来て!」と言われてしまい、後ろから見守っていました。

  • カナダに来てからの学校行事で、初めて親が参観できたイベント。皆それぞれ個人差があり、楽器を演奏したい子、歌いたい子、音とリズムにのって体を動かしたい子…などさまざま。皆が整列して演奏する日本の雰囲気とは異なり、のびのびしていました。

  • 「今日、学校に先生の奥さんと子供たちが来たよ」と教えてくれた息子。どうやらその日は担任の先生のお誕生日で、生徒たちにお菓子を配るために来ていたようです。先生が生徒に自分の家族を紹介する事も日本では珍しいですよね!

  • 我が子たちが通っているスイミングの 屋外用の温水プールには大抵、湯気が立ってます…。眠い中、朝練に行くのを嫌がるのは我が家だけかな、と思っていたらロシア人のお子さんも、中国人のお子さんも皆アクビをして眠そうに来ていました(笑)

  • チームのコーチからメールで受け取ったBC州 水泳連盟の賞状。日本で競泳の全国大会に出場するためには、定められたタイムを切らないと参加できないので、証明になりそうなこういった書類は貴重です。

  • 観光スポットとして有名な公園ですが、去年はコロナ禍であまり人が訪れず、元々生息していたコヨーテが行動範囲を広げてしまい、人(主に子ども)を襲うようになったそう。自然豊かなカナダだからこそ、野生動物との付き合い方も考えさせられます。