絵本の部屋5 ほわほわの手触りに一目惚れ、ぬいぐるみみたいな絵本

海のある町でのびのびと暮らす、クリエイター夫婦の子育て
- 名前
- ヨシタケシンスケ & 吉竹祐子
- 家族
- 中2と小3の男の子をもつ、4人家族
- 所在地
- 神奈川県
- お仕事
- 絵本作家(夫)、クリエイター(妻)
- URL
- くりひょうたん。by吉竹祐子
【ヨシタケシンスケ邸〈絵本の部屋〉から、家族の思い出が詰まったおもしろ蔵書をご紹介。妻の祐子さんが綴ります】
箱の真ん中の小さな丸い穴から、ほわほわとした茶色いファーがのぞいています。
触ると、ほわほわしていて、とっても気持ちがいいのです。箱から出すと全体が、このほわほわの茶色いファーで包まれていて、なんとも愛おしいのです。
この絵本は、私が30代の頃にお店で見つけたものなのですが、この装丁に一目惚れしました。絵本の内容は、クマの子どもが家族とともに森の中で過ごすなんてことのない日常。子どもが森の中へ冒険に行き、初めてのものに出会って帰ってくる、というもの。そんなの中に、家族のあたたかさや、森でのちょっとした出来事が、ほわほわとした様子で描かれているのです。
長男が生まれ、しばらくして、友達に赤ちゃんが産まれた時に、この絵本を思い出し、出産祝いにプレゼントしたことがありました。その時、この絵本の翻訳版が出ていることを知り、装丁の異なるこちらも購入することにしました。翻訳を手掛けられたのは、なんと! 谷川俊太郎さんなのです。読んでみると、ほわほわした様子を、短い言葉で、とてもかわいらしく翻訳されていました。息子たちへの読み聞かせは、こちらの翻訳版を使っていました。そして時々、このほわほわしたスペシャル版を出してきて、見せてあげたり、触らせてあげたりしていました。スペシャル版のほわほわは、息子たちも大好きで、ほおずりしたり、ぎゅっと抱きしめたり、絵本というより、まるでぬいぐるみを扱うような様子でした。
今、こうして原稿を書いている脇に、このほわほわした茶色いかたまりが、じっとしています。今にも動き出しそうです。もぞもぞと動きだしたりして?! なんて、妄想が広がります。
ぜひ手にとって見ていただきたい絵本です。
〈連載概要〉ヨシタケシンスケ邸のおもしろ蔵書の数々を、妻の祐子さんが心温まる子育てエピソードと共に綴る、その他記事はこちらより
ヨシタケシンスケ邸絵本の部屋